Tonight 今夜の気分
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2005年11月07日(月) 個人の責任、組織の責任



「 厳しく自己管理ができていれば、部下を管理する必要はない 」

                              石坂 泰三 ( 財界人 )

If you can manage yourself strictly and with integrity,
you don't have to manage those under you.

                               TAIZO ISHIZAKA



第一生命の社長、東芝の社長などを歴任し、経団連の会長も努めた。

大蔵大臣へと吉田茂に請われ、断ったというのも有名な逸話である。


毎回、著名人の名言を取り上げているが、財界出身者の名言の中には、明日からでも現実的に使えそうな教訓が含まれていることも多い。

冒頭の名言は、古臭い 「 管理 」 という概念について疑問を投げかけているように思え、石坂氏の 「 先見性 」 みたいな部分に脱帽してしまう。

一般的に 「 管理 」 といえば、序列階級の上に立つ者が、目下の者を管理するような図式を思い浮かべることが多い。

それに対して 「 自己管理 」 というのは、誰が誰を管理するという問題ではなく、自分自身が誠実に、真摯に生きることを指している。

部下を正しく導くのには、己が率先して範を垂れれば足りるという発想で、お互いが人間として誠実に生きることを出発点にしようという戒めである。


巷では、「 NHK記者による連続放火事件 」 なんてことが起きている。

どこの企業や団体でも、それを構成するメンバーすべてが善人であるという保証はないし、犯罪に加担するような愚か者が生まれる危険もある。

そのため、「 組織から悪人が出るのは防ぎようがない 」 だとか、あるいは、「 個人の犯罪に、所属する組織は責任がない 」 とする考え方もある。

たしかに企業というのは、利益追求など忘れて、個人のモラルを高めたり、聖人を輩出することなどを第一の目標にしているわけではない。

そのうえ、四六時中すべての社員を見張っているわけにもいかないので、ある程度の割合で犯罪者が出ることは、仕方がないかのようにもみえる。


しかし、この 「 組織人の犯罪は個人の責任であり、企業に過失はない 」 という概念は、一昔前の発想であり、現代には通用しないのである。

たとえば、「 セクハラ 」 に関しては企業内の防止対策が問われ、エッチな社員一人が悪いのだからクビにすれば済むという話では収まらない。

あるいは、「 食肉偽装表示事件 」 が起きた際にも、企業は個人の責任だと主張したが、司法も、民意も、「 企業悪 」 であるという判断を下した。

学校を出て職に就き、働いている人間を 「 社会人 」 と呼ぶが、大部分の人が企業や組織に属したり、あるいは社会に係りながら暮らしている。

つまり殆どの人は、「 一個人 」 であると同時に、「 組織人 」 であり、社会を構成する一員であることが、犯罪の面でも認識されてきている。


それに現実問題として、有名な企業や団体に属している人間が悪いことをすれば、所属する企業や団体の印象が悪くなるのは自然の摂理である。

テレビで顔の売れている芸能人が、道端で立小便したり、格好の悪いことができないという悩みと同じで、いわゆる 「 有名税 」 みたいなものもある。

私自身も、若い頃に 「 有名企業に勤め、有名ブランドを扱う者は、あらゆる事柄について模範的であらねばならない 」 と、よく注意された経験がある。

名刺を渡した相手に対しては、自分の能力や態度を基準に、企業全体の評価が上がったり下がったりするのだから、個人の問題では済まない。

そんなプレッシャーを 「 誇り 」 と感じて受け止める人は伸びるし、「 苦痛 」 にしか感じない人の多くは、ストレスを抱えて潰れやすい。


事実、たとえばNHKの例をみると、問題の記者に対して企業側 ( NHK ) が常に 「 模範的な姿を示してきたか 」 というと、どうにも共感し難い。

前会長の問題やら何やらで、かなりの失態が暴かれたばかりである。

こういうときに、「 企業の思想、哲学がいい加減だから、ろくな社員が育たないのではないか 」 と揶揄されても、強くは否定できないだろう。

日頃から評判の良い企業に、ある日突然犯罪者が出た場合と、普段から批判の多い企業から出た場合では、世間の反応が違って当然なのだ。

こういう 「 バカ 」 を出さないためには、がんじがらめに管理することよりも、経営陣、幹部社員などがこぞって模範を示すほうが、より効果的である。


また、「 NHK だからといって特別に非難するのはおかしい 」 みたいなことを言う人もいるが、この考え方も違う気がする。

たしかに、NHK だろうが民放だろうが、悪いことをしてはいけないのだが、日頃から 「 品行方正 」 を売り物にしている分だけ、前者の罪は大きい。

単なるレイプ犯より、教師や聖職者のレイプ犯のほうが 「 悪い奴だなぁ 」 という印象を強く持つ人が多いはずで、批判が集中するのも当然だ。

それを同じように判断せよというのは、公平、不公平などの問題ではなく、「 対象者への倫理観に関する期待度 」 の違いが大きすぎて難しい。

NHK以外でも、現在、「 うちの会社も、模範的とはいえないなぁ 」 と感じている経営者の皆様には、早めに対応されたほうが望ましいだろう。






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