| 2005年07月11日(月) |
相談されやすい人と、されにくい人の違い |
「 人に好かれるのは、人を好きになることの裏返しにすぎない 」
ノーマン・V・ピール ( 聖職者 )
Getting people to like you is merely the other side of liking them.
NORMAN.V.PEALE
たえず頻繁に、部下や知人から相談事を持ちかけられやすい人がいる。
いささか面倒ではあるが、それなりに 「 人望がある 」 と考えてよいだろう。
一般的に、相談しやすい人のタイプには、以下のような特徴がある。
親しい人、利害が対立しない人、秘密を守ってもらえる人、自分のことをよく理解している人、弱みを見せられる人、黙って聞いてくれる人・・・など
反対に、相談しにくいタイプの人には、以下のような特徴がある。
怖い人、すぐ怒る人、世間の常識に凝り固まっている人、硬すぎる人、過剰に反応して心配する人、結論を決め付ける人、すぐ馬鹿にする人・・・など
また、いつでも話を聞いてくれそうな人は相談されやすく、いつも忙しそうにしていて近寄り難いような人は、相談されにくいという傾向もある。
だからといって、「 自分は忙しく働いているから、誰も相談に来ないんだな 」 などと、管理職が 「 自分には人望がない 」 ことに気づかないのは問題だ。
よほどの暇人でなければ、誰にでも忙しい時期があり、それでも人望のある上司なら、たえず部下から悩み事や相談を持ちかけられている。
場合によっては、上司が相談に来たり、同僚や、取引先や、馴染みの店の店主やら、スナックのママ、ホステスさんからも、相談を受けたりする。
カウンセラーと違って企業の管理職というものは、相談を受けること以外にも多くの使命があるけれど、「 誰からも相談されない 」 ようでは少し困る。
とりたてて 「 人格者 」 になる必要はないが、自分の能力を 「 他人にまで良い影響を及ぼす 」 ことに使えないというのは、ずいぶん淋しい話だ。
悩みのある人間というものは大抵、我侭なもので、相手の都合ではなくて、「 自分が相談したいとき 」 に話を聞いてくれるかどうかを問題にする。
既婚の男性に多いのは、疲れているときや、忙しいときに妻子から、学校や家庭の話題を切り出され、ちゃんと対応しないというケースだ。
本人は、「 家族のために働いているのだから、疲れているときぐらい察してくれよ 」 という気持ちでいるのだろうが、妻子には別の感情がある。
妻や子供にとっては 「 声をかけたときこそ、話したいとき 」 だったわけで、その気持ちを 「 門前払いされた 」 という “ しこり ” が残ってしまう。
しかも、よくないことに 「 いま疲れているから、あとで 」 とか、「 忙しいから、あとで 」 と断った 「 あとで 」 を、すっかり忘れてしまう人も多い。
これが繰り返し起きると、妻子の心の中にある 「 聞いてくれる人リスト 」 の中から、しだいに名前を削除されてしまうのである。
基本的に、一家の主として頼りにされているはずの家族でさえも、この調子なのだから、仕事上の人間関係となれば、もっと面倒な話になる。
たとえば、大事な会議に参加する直前になって、普段は口の重い部下が、「 ○○さん、ちょっといいですか 」 と相談に来たとする。
用件を尋ねると、さほど急ぎの問題でもなさそうだが、本人は何やら悩んでいるらしく、手短に話を聞きだせる様子ではない。
こんなときに、どのような対応をとるべきだろうか。
A さんは、「 急ぎじゃないのか? だったら、あとにしてくれよ、もうすぐ会議が始まるんだ。時間がない。 」 と、少し突き放したように断る。
おそらく、A さんが後日、「 あのとき何か言いたそうだったけど、なんだ? 」 と改まって聞いたとしても、部下は 「 もういいです 」 と答えるだろう。
A さんは、この部下の 「 聞いていただけませんかリスト 」 から、半永久的に削除されてしまったのである。
そうはいっても、たしかに 「 込み入った話に付き合えるとき、付き合えないとき 」 があるのは事実だ。
だったら、以下のような切り返し方はどうだろうか。
B さんは、「 急ぎじゃないのか? じゃ、ゆっくり聞かせてもらう時間をつくらなきゃな。会議の後でもいいか? 俺でよければ、話してくれよ 」 と言う。
A さんと B さんの大きな違いは、相手の 「 いますぐ話を聞いてほしい 」 という気持ちに配慮しているかどうかである。
どちらも話をするタイミングを先延ばしにしているのだが、前者は 「 自分の都合 」 だけで、後者は 「 話そうとする相手の気持ち 」 を尊重している。
つまり前者は、相手がどれほどの勇気をもって話し掛けてきたのかという点をまったく無視しており、一切の配慮がない。
後者は、「 勇気を出して声をかけてくれたので嬉しい。 ぜひ、聞かせてもらうよ 」 という気持ちを表現している。
当然、「 聞かせてもらうよ 」 という約束をしたら、できるだけ早いタイミングで時間をつくるべきであり、そうしないと何の意味もない。
そのとき、「 待たせて悪かったね。 いまからでもよかったら、聞かせてもらえるかな? 」 と声をかけるのも、大事なポイントである。
話す側の心理として、「 約束を守ってくれた相手に対しては、心を開きやすくなる 」 という効果もあり、この方法は大抵、よい効果をもたらす。
悩みのある者からすれば、タイミングよく聞いてもらえることで、抱え込んでいた重荷をそれだけ早く下ろすこともできる。
部下が悩みから開放され、仕事に打ち込んでくれることは、上司にとっても有益な結果をもたらすだろうし、お互いの絆もより一層深くなる。
管理職になったのならば、「 人望 」 とか 「 人間力 」 のある管理職になり、少なくとも自分の部下からは、相談を受ける立場になることが望ましい。
管理職以外でも 「 よい相談相手 」 になろうとするならば、相談者の 「 話したいという欲求には、賞味期限がある 」 ということを知ったほうがよい。
話したいという欲求の賞味期限が切れたあとでは、もう聞いてもらいたいという気にはなれないもので、相手は 「 もう、いいです 」 としか答えない。
カウンセリングの技法にも 「 傾聴法 」 などの 「 聞く技術 」 があるが、最も大事なことは、「 聞く技術 」 よりも 「 聞くタイミング 」 である。
なにかと相談される人は、「 聞いて 」 というサインを送られた瞬間を見逃さない人であり、そのためには他人に対する敬意と関心を持つ必要がある。
|