「 優しい人を探しなさい。 金持ちは除外することです 」
エスティ・ローダー ( 化粧品会社役員 )
Look for a sweet person. Forget rich.
ESTEE LAUDER
誰かへの、「 配偶者の選び方についての アドバイス 」 だそうである。
お金で得ることのできる幸せは、長続きしないという意味か。
会いたいと言われたら、当然、会わないわけにはいかない。
時間を調整して、指定の待ち合わせ場所へと向かった。
気のせいか、少し元気を取り戻したようにも見える彼女は、春物のシックなベージュのスーツに身を包み、先に到着して待っていてくれた。
パスタとワインで軽めの夕食をとり、喫茶店では話をするのに騒々しすぎるので、静かなホテルの BAR へ案内することにした。
込み入った話になりそうなので、隅のテーブルを頼み、席についた。
話というのは、「 固定資産税と、相続税の話 」 である。
彼女のご主人はお金持ちの家系で、いろいろと不動産やら資産を擁しているのだが、そろそろ高齢になる親の心配を始めているらしい。
こちらは大した財産も無いが、数年前に父が死んだときに 「 その方面 」 では苦労したので、そのときの経験談などを話したりした。
ある程度、電話では聴いていたのだが、「 色気 」 など微塵もない話だ。
勘違いして 「 新品のトランクス 」 など買って行かなくて、大正解である。
一部の読者の方には、「 不倫 」 だとか、「 TAKA さま ご乱心! 」 などとも賑わっていただいたようだが、そんな話には発展していない。
もちろん、「 好意を抱くこと自体が汚らわしい 」 と言われれば反論の余地も無いが、それ以上でも、以下でもないことをご承知いただきたい。
男女でも 「 友情は成立する 」 のであり、年をとればなおさら、そこに恋心が潜んでいたとしても、お互いに抑えることができるものだ。
我々に歯止めをかけるものは、倫理観というよりも 「 互いへの敬意 」 だとご理解いただいたほうが、より真実に近いだろう。
以前のような 「 切なさ 」 は無いが、お金持ちも苦労が多いという話には、少々の 「 敵意 」 も感じる次第である。
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