裁判長 「 ただいまより、被告人 Oldsoldier TAKA の “ 不倫疑惑事件 ” の審理を開廷いたします 」
( 中略 )
検事 「 ・・・とまぁ、こういうわけで、被告人は紛れも無く有罪であります 」
( 中略 )
弁護人 「 しかしながら裁判長、被告人は自らの意思を持って “ ハグ ” したのではなく、やむを得ぬ事情により “ ハグ ” したのであります 」
裁 「 弁護側の述べる [ やむを得ぬ事情 ] とは何ですか? 」
弁 「 それは、被告人の [ カウンセラーとしての職業習慣 ] に起因しており、泣き崩れる相手を放置できないという習性によるものです 」
検 「 異議あり! それでは、被告人はたとえ相手が [ 美しい人妻 ] でなくとも、相手が泣き崩れた場合には “ ハグ ” するのでしょうか 」
被告人 「 うッ!・・・しないかも・・・ 」
検 「 それでは、被告人に伺います。 あなたは “ ハグ ” した時に、相手の髪の匂いを嗅ぎましたか 」
被 「 嗅ぎました 」
検 「 どうしてですか 」
被 「 ・・・どこのメーカーのシャンプーを使ってるのか知りたくて 」
検 「 それは詭弁ですな。 手元の資料によると、あなたは好きになる女性の条件の上位に “ いい匂いのする女性 ” というものを挙げている 」
弁 「 裁判長! これは誘導尋問です 」
裁 「 異議を却下します。 検察側は続けて 」
検 「 ありがとうございます。 さて、あなたは匂うために鼻を近づけ、相手の髪に自らの顔を埋め、モシャモシャと髪を食べましたか? 」
被 「 食べたりしません、ただ・・・ 」
検 「 ただ、何ですか? 」
被 「 指で髪を撫でました 」
弁 「 あっ、馬鹿野郎! 」
検 「 ほう、これは新たな事実が浮き彫りになりましたな 」
弁 「 論告求刑に無いことまで喋りやがって・・・ 」
検 「 たしか被告人は、心理学をたしなんでおられましたな。 男女の間柄で “ 相手の髪に抵抗なく触れる ” というのは、どういう状況ですか? 」
被 「 ・・・性的接触に準ずる行為です 」
ワイワイ、ざわざわ
裁 「 静粛に! いったん休廷します 」
( 中略 )
弁 「 この馬鹿は、いや被告人は、事件後、強く反省しており、通常よりも深酒しつつ、二度とこのような過ちを犯さぬよう努力しております 」
裁 「 その “ 通常 ” がどの程度か、他人にはわからんが・・・ 」
検 「 しかも、どうでもいい “ 酒量 ” をネタにして、エンピツの投票ボタンを押させるという小細工を施しております 」
裁 「 うむ、北陸の主婦からその件で抗議が来ておる。 罪状に加えよう 」
検 「 だいたい、[ 忘れるために酒を飲んだが、酔えば心にまた浮かぶ ] という、昭和演歌チックなシュチエーションも考えられるはずだ 」
弁 「 それだけではありません。 彼女のことを忘れるために、別の女性の “ あらぬ姿を妄想する ” という、積極的な努力も続けております 」
被 「 こら弁護士! それを言うな。 イメージダウンになるだろうが 」
弁 「 それに、既婚男性 S氏から [ 感動して心が震えました ] といった、減刑嘆願とも思えるメッセージも頂戴しているようで 」
裁 「 まぁ、あの人もちょっと変わった人だから参考にならんが・・・ 」
( 中略 )
ざわざわ、がやがや
裁 「 静粛に、判決を言い渡す。 被告人は前へ 」
被 「 はっ 」
裁 「 肉体的接触が殆ど無かったとはいえど、妖艶な人妻に心を奪われるなどとは、けして人道的に許される振る舞いではない 」
被 「 はっ 」
裁 「 しかも、被告人の胸中にある [ 挿入してないんだから、いいじゃん ] みたいな安易な倫理観と自己弁護には、まことに憤りを感じる 」
被 「 はっ 」
裁 「 よって、本法廷は被告人を 『 有罪 』 と認め、“ 二日間の遠島 ” 及び、“ 二度と、この件を日記に書かないこと ” を申し付ける 」
被 「 はっ 」
裁 「 これからは、主婦を見たら “ こいつ、本当はオカマなんだぜ、きっと ” と思い、独身女性一筋に励むように 」
− 閉廷 −
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