「 あなた以外に、あなたに平和をもたらすものはない 」
ラルフ・ウォルドー・エマーソン ( 思想家 )
Nothing can bring you peace but yourself.
RALPH WALDO EMERSON
日中首脳会談の実現によって、きな臭い雰囲気は収束しつつある。
これでまた、日本は 「 平和である 」 という妄想の世界に引き戻される。
中国における暴徒化した抗日デモは、けしからん話であったが、今の日本の平和が 「 安泰ではない 」 という事実を伝える教訓にはなった。
常に北朝鮮にばかり気をとられ、もっと強大で、経済、文化の面などで密接な関係にある中国が、ある日突然 「 牙をむく 」 脅威を忘れかけていた。
あの国が、溢れる民衆のエネルギーを自在にコントロールすれば、どのような結果を招くかということについて、改めて知った人も多いだろう。
韓国も、潜在的に 「 日本の安全保障上の脅威 」 になる可能性はある。
我々が好むと好まないとに関わらず、日本が戦争の放棄を謳い続けたところで、戦争が永遠に、日本を放棄してくれるとはかぎらない。
ただ、そんなことを悲観しながら生きていてもしょうがない。
いつか 「 空が落ちてくるんじゃないか 」 などと心配しているようなもので、そんなことに神経をすり減らしても、あまり意味など無い。
大事なことは、国の平和よりも 「 自分自身の心の平穏 」 にある。
いくら世界が平和でも、自分の心の平和が安寧でなければ、たえず悲観的に、いらぬ緊張をしながら、ビクビク暮らすことになる。
そんなことでは仕事の業績など上がらないし、人生を楽しむなんてことからは、よほど縁遠い生活になってしまうだろう。
中国のデモにかぎらず、国内の平和を訴えるデモや、集会などを煽動している人たちの多くは、とても殺伐とした顔色をしている。
どちらかというと、主張そのものより、その人の内的な不満の捌け口として、シュピレヒコールを叫んでいるような素振りもみえる。
むしろ戦争を起こすのは、こういう 「 殺伐とした連中 」 のストレスが、大衆に伝播するケースが多いのではないかとも思う。
心が穏やかで、自分のストレスと上手く付き合っていける人たちは、そういう騒ぎの片棒を担ぐこともなく、いたって平和に暮らしている。
すべてとは言わないが、大声を出して練り歩くデモ隊も 「 一種の攻撃 」 であり、騒音による迷惑などに無配慮な、暴力的行為の一環である。
本当に平和を望むのならば、まず、自分の心を平和に保つことである。
それは、どこの国の軍隊でも、憲法9条でも成し得ることはできず、自分の気持ちの持ちようによってしか、平定することはできない。
自己主張の強い人は、すぐに 「 他人をコントロールしよう 」 とするけれど、自分自身の心や感情を制御したり、平穏を保つ能力に欠けている。
これでは、いつまでたっても 「 幸福な未来 」 などやって来ない。
仮に周囲が 「 思い通り 」 になったとしても、自分の中に平和が訪れないのだから、永遠に、平穏とは無縁の存在に孤立してしまうのである。
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