「 人間は何事も人に教えることはできない。 ただ、人が自分の中に
ある能力を発見するのを手伝うことならできる 」
ガリレオ・ガリレイ ( イタリアの物理学者、天文学者 )
You cannnot teach a man anything; you can only help him to find it within himself.
GALILEO GALILEI
適性検査の結果を示されただけで、簡単に 「 自己認知 」 などできない。
自分が何者で、何の仕事に相応しいかを知るには、かなり時間が掛かる。
コンサルタントという仕事は幅広いが、私の場合は 「 企業 」 の業務改善や社員教育という分野を、主に担当してきた。
ようやく軌道に乗ってきたが、「 飽き性 」 というか、「 好奇心が旺盛 」 というか、新しい仕事、刺激的で創造的な新事業に参加する誘惑に勝てない。
そんな折、公共的な人材教育の民間委託事業に関与する知人から、個人を対象とした 「 カウンセラー 」 の仕事を引き受けるように依頼があった。
たまたま、某資格を持っていたことや、本業の大半を任せられる人材にも恵まれ、彼が短期間で著しい成長を遂げてくれたので、条件は整った。
長い下準備を経て、カウンセラーとしての第一歩を踏み出したのである。
多くの 「 プロ・カウンセラー 」 がそうであるように、私の場合も、それだけでは、たいした報酬にありつけない。
だから、カウンセラーの中には 「 隠居したような老人 」 や、年金、副業などによる 「 別所得 」 を擁する人が就いているケースが多い。
そのため、最近は平日の大半をカウンセリングに充て、夜間と休日に本業の事務処理、整理などを行う生活が続いている。
好き好んで始めたことなので、忙しいとか、儲からないとか、愚痴や不満をこぼす気はないし、実際のところ、刺激的な新生活を大いに楽しんでいる。
過去の 「 お金儲け 」 とは正反対の仕事だけれども、そういった過去があるからこそ、自分の特性を見込まれ、また、それを活用できるのである。
プロの仕事とは、「 対価に相応する実績を提供すること 」 という概念を持ち続け、いままでは仕事をしてきたつもりである。
それが 「 私 」 であり、それ以外の生き方は考えられなかった。
映画 『 七人の侍 ( 54東宝 ) 』 に登場する侍の如く、ボランティアでもなく、かといって高額の報償が目当てでもない仕事がある。
今回は、それと同じように、自分の腕を見込んでくれた依頼者に対し、薄給と、義侠と、己の意地を賭けて、新しい闘いに挑む心境になった。
あの侍たちを駆り立てた 「 何か 」 が、今は少し理解できる気がする。
私の人材教育は、以前から 「 コーチング 」 の技法を執っている。
医者や教師というのは、「 こちらが知っていることを一方的に伝える 」 のが仕事だが、ビジネスマンを育成する場合に適しているとはいえない。
コーチングでは、正解を教えるのではなく、「 答を自分で見つけさせる 」 とか、当事者に 「 気づかせる 」 ことを目的としている。
だから、こちらが正解を知らなくても問題ないし、正解かどうかということよりも、本人の 「 気づく 」、「 やる気が起こる 」 ことこそが成果となる。
人間は誰にでも 「 無限の可能性 」 が与えられているもので、それを引き出そうなんて楽しい仕事は、お金には換えられない醍醐味があるのだ。
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