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2005年04月14日(木) 大義なき主張の弱さ



「 世の人はわれをなにともいわばいえ、わがなすことはわれのみぞ知る 」

                           坂本竜馬 ( 土佐脱藩浪士 )

Whatever people may say about me, I understand what I'm doing.

                             RYOMA SAKAMOTO



坂本竜馬を研究すればするほど、彼が 「 変わり者 」 だったことがわかる。

当時の武士の概念から外れていただけでなく、日本人的でもない。


日本に来た外国人の教師が、英会話の授業で必ず戸惑うことがある。

それは、日本人の生徒に意見を求めると、助けを求めるかのように周囲を見回して、なかなか自分の意見を言わないという現象だ。

日本文化の顕著な特徴の一つに 「 集団主義 」 があり、日本人の行動は原則に基づくと言うよりも、周囲の人間との調和を基点としている。

坂本竜馬らは、冒頭の名言のように 「 他人がどう思おうと、自己の信念に生きて行動した 」 極めて珍しいタイプの日本人である。

少数派ではあるが、日本の歴史を創ってきたのはそういう人々で、これは皮肉だが示唆的な歴史の現実ともいえるだろう。


自分の意見を持たず、あるいは ( 持っていても ) 言わずに、全体の流れに乗っているだけではつまらないし、組織全体の成長もない。

かといって、確固たる根拠もないのに、常に多数派を疑いの眼差しで眺め、闇雲に異論を唱えるのは、ただの 「 天邪鬼 」 でしかない。

論拠を固め、多数派を圧倒するほどの説得力を持ち、その主張が全体のためになることを理解させ得る 「 プレゼンテーション能力 」 が必要となる。

自己の信念を貫きたいと願う人は大勢いるが、交渉力、プレゼンテーション能力、コミュニケーション能力などが欠けていて、大抵は成功しない。

あるいは、その人自身の 「 人徳 」 とか 「 人間力 」 みたいなものが未熟では、上辺で支持する人はいても、最後までついてきてくれない。


持論を展開する際に、反対意見を持つ人が何人いてもかまわないけれど、最後まで支持、賛同してくれる人間が何人いるかが大きな問題となる。

ある会社で若手幹部が 「 謀反 」 のような発言を興し、ちょっとした騒動になったのだが、火種はやがて小さくなり、いつの間にか消えてしまった。

誰が 「 もみ消した 」 わけでもなく、自然に鎮火したのである。

言ってる内容は正論だが、発言者自身の人格や、私的な損得へのこだわり過ぎる傾向を悟り、最初は支持した人たちが徐々に離れてしまったのだ。

日頃は労働を 「 生活のため 」 と嘯いている人たちも、実際には 「 大義 」 を求めていて、生半可な人間の誘いには乗らないことを改めて感じた。






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