| 2005年04月11日(月) |
窮地に立つ管理職の対応 |
「 中間管理職と真のリーダーシップとの微妙な半歩の違いは、
プレッシャーの下で優雅さを保てるかどうかだろう 」
ジョン・F・ケネディ ( アメリカ合衆国第35代大統領 )
The elusive half-step between middle management and true leadership is grace under pressure.
JOHN.F.KENNEDY
ケネディの名言には、「 古臭さを感じさせるもの 」 が少ない。
若くしてこの世を去ったからか、あるいは先見の明があったのか。
企業で管理職を経験している人ならば、ケネディが遺した冒頭の文の意味するところを、十分に理解できるだろう。
ありがちな 「 仕事に追われる → 忙しくなる → 部下や周囲への気配りが足りなくなる 」 というパターンに、誰しも一度は悩むものである。
特に若いうちは、管理職とはいえども 「 プレイングマネージャー 」 として、指導するだけでなく、自らも行動し、結果を出すことを要求される。
こんなときに、「 能力の低い部下 」 の存在などは、実に厄介なものだ。
平時なら、「 それも、その人の個性 」 として認め、なんとか良い部分を引き出してやろうと努力できても、緊急時になると追い詰められてしまう。
部下からみると、「 普段は親切なのに、忙しくなると手のひらを返し、自分のことで精一杯になってしまう 」 ような上司を、どう評価するのか。
独善的な偽善者、器の小さな奴、そんなところだろう。
むしろ、普段は厳しく叱責するけれど、肝心なときにこそ動じず、細かいミスなど笑って許し、でんと構えている上司のほうが頼もしい。
厳しく指導してきたのは 「 この時 」 のためだと諭し、責任は俺が取るから、自分の力を信じて思い切りやってみろと、発奮させるほうが効果的だ。
追い込まれたときの態度こそが、その人の 「 真の姿 」 なのである。
英語では、「 窮地にあって勇敢に頑張る、動じない、元気をなくさない 」 という意味のイディオムに、[ keep a stiff upper lip ] という表現がある。
緊張したり、動揺したりすると唇が震えることから、その言葉が生まれた。
上唇をしっかりと固定して、的確な指示を自信たっぷりに与えるためには、普段から繁忙時、緊急時を想定した修練を積んでおくことが重要となる。
自信とは、経験や知識から生まれるものなので、小さな仕事で成功事例を積み重ね、暇なときには誰よりも知識や情報を集めて武装しておくことだ。
暇だからといって怠けたり、ろくな指導もせずに部下を放置していると、窮地に立ったときに 「 手のひらを返す 」 しかなくなってしまう。
ダメな集団をみると、忙しくなると上司が狼狽し、部下は青ざめている。
優秀なチームは、まずコーヒーでも飲んで一息つき、上司から静かに短い指示が出ると、「 何をすべきか 」 知っている部下が、いきいきと活動する。
消防の避難訓練と同じで、普段の修練が厳しければ厳しいほど、いざという時に落ち着いて、円滑に作業が進められるものである。
部下から嫌われたくないがために、普段 「 甘っちょろい接し方 」 しかしていない管理職にかぎって、自分が追い込まれると豹変することが多い。
部下というものは、自分が困っていないときの 「 上司の対応 」 には無関心なもので、有事の姿勢にこそ興味を持っていることを忘れてはならない。
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