「 歳をとっての幸せは、何にも増して、プライバシーの優先を
維持することだ 」
作者不詳
Happiness in old age is, more than anything else, preserving the the privileges of privacy.
ANONYMOUS
4月1日、「 個人情報保護法 」 が全国で施行されることになった。
特定の顧客を持つ企業の大半は、この法律に無関係ではない。
さて、「 個人情報保護法 」 とはいかなる法律か。
原則としては、「 5千人以上の個人情報を持った民間事業者 」 が対象で、利用目的を特定し、情報の漏洩を防ぐ措置を講じることを求めている。
本人の同意なしに第三者に情報を提供することはできず、目的外の利用に対して本人が利用停止を求めることができる。
不適切な情報の取り扱いをして、国の命令に従わない場合は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられることがある。
その情報が不正に使用された場合は、当然、賠償責任も生じることとなる。
このところ金融機関で、情報管理を巡る不祥事が、相次いで発覚している。
みずほ銀行では、約27万人分の顧客情報の紛失が判明し、あおぞら銀行でも、約2万6千人分の紛失が見つかった。
紛失というが、実際には 「 何者かによる盗用 」 ないしは 「 銀行員による流用 」 と考えるのが妥当だろう。
過去において、「 ヤフー 」 や、「 ジャパネットたかた 」 などでも個人情報の漏洩はあったが、銀行の場合は、それ以上に問題が多い。
なぜならば、いずれも顧客名に加えて、預金残高や融資金額など、厳重に管理すべき情報が数多く含まれているからである。
両行とも 「 不正使用された報告は無い 」 と話すが、紛失情報には名前や住所とともに、年収や金融資産といった悪用されかねないものが含まれる。
顧客からすれば不安はぬぐえず、保護法が全国施行されて状況の把握が進めば、他行でも同様の事例が発覚する可能性もある。
保険会社でも情報管理を巡る不祥事は相次いでおり、アメリカンファミリー生命保険は30日、約1万7千人分の契約情報の紛失を発表した。
各社とも、情報管理者の任命や、社員教育の徹底などデータ管理強化に取り組んでいるが、過去の保管状況の再確認まで踏み込むところは少ない。
それに、流用した張本人らは 「 悪いことだと知っていた 」 はずで、それを既得権益のように考える輩を教育したところで、効果など期待できない。
個人情報を漏らされたくなければ、個人保護法に頼るよりも、はじめから 「 信頼の置けない銀行などに個人情報を渡さない 」 のが一番である。
内容は似たり寄ったりではあるが、銀行の中でも比較的に不祥事が少ないところと、頻繁に世間を騒がせているところがある。
融資などを受ける際には、そのあたりも十分に吟味し、信頼に欠ける銀行とは、一切の接触をしないことが肝要となる。
利用者がそうした評価を下すことで、彼らの胸中にも少しは 「 危機意識 」 が芽生え、内部の害悪を取り払うことに注力できるかもしれない。
一部の不心得者だけに限らず、銀行全体が個人情報の保護という問題を疎かにしていた事実は明らかで、今後、その実態が暴かれていくだろう。
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