Tonight 今夜の気分
去るものは追わず、来るものは少し選んで …

2005年03月19日(土) 永遠のライバルたち



「 自分の無知さ加減がどれくらいか、それがおよそ計れるようになって

  はじめて、人間は賢くなる 」

                         ジアン・C・メノッティ ( 作曲家 )

A man only becomes wise when he begins to calculate the approximate depth of his ignorance.

                              GIAN.C.MENOTTI



久々に、古い仕事仲間と会って、昔話などを肴に深酒した。

けして人の事は言えないのだが、皆、ずいぶん歳をとった感じだ。


この連中が居る会社は、実は学校を出て最初に世話になった企業で、コネやら、周囲の多大な努力のおかげで、なんとか入れてもらった経緯がある。

当時、なぜだか 「 商社 」 の仕事に過度の期待と憧れを持っていたので、自分が情熱をもって活躍する舞台はここ以外にないと信じていた。

それなりの苦労もあったが、運良く 「 社内留学制度 」 の対象者に選ばれ、ほとんど日本人の卒業者が居ない学校で 「 MBA 」 も取得できた。

今と違って、企業として 「 かなりの投資 」 だったし、後の人生に大きな影響を及ぼす貴重なキャリアを与えてくれたことは、たいへん感謝している。

しかし、皮肉なことだが、この体験が 「 外の世界を知る 」 きっかけとなり、しばらくして外資系の企業に転ずる足がかりになっていった。


彼らはまだ、その会社で頑張っていて、それなりの地位を獲得した。

ありがたいことに、今でも情報交換やら、「 誰それが転勤から戻った 」 やらの口実をつけては、時折、飲み会に付き合わせてもらっている。

私は彼らを、ありったけの羨望と皮肉を込めて 「 大企業のお偉いさん 」 と呼び、彼らは私を、同じような感情を込め 「 気ままな自由人 」 と呼ぶ。

お互いに、ほとんど何の後悔もなければ、今の自分を哀れむこともないが、違う生き方を選んだ同期を、「 自分の分身 」 を観るように観察している。

たぶん、この関係は今後も続いていくだろうし、続けていきたいと思う。


最近は、「 引きこもり 」 の若者が多いという。

一つの生き方として悪くはないが、「 未知の自己との遭遇 」 は他人を通してなされるもので、他人との関わりをなくしては難しい。

一人では対比の尺度がないから、自分自身が何者であり、社会的にどんな位置にあるのか、わかりにくいものである。

同窓会、クラス会など、他人を通して、我々は間接的に違った世界を体験することができ、それが自分の 「 人生のクオリティ 」 を高めることもある。

自分自身を発見するのは、ことにふれ、他者と出会うことで可能となる。


この日のメンバーに共通しているのは、皆、勉強好きで、大半が現在でも、なんらかの資格を得たり、専門分野に精通するための研究に就いている。

出身校別にみると、国立、私立の有名校、海外の名門が並ぶが、誰も自分が賢いとか、特別だなどと勘違いしている輩はいない。

誰でも、「 知らないことは知らない 」 し、「 知るべきことは学ぶしかない 」 という当たり前の原則を、普通に実行しているだけである。

また、生意気な若僧の時代に、何にでも 「 上には上がいる 」 ことを痛い目に遭って思い知らされてきた共通の体験があり、奢り高ぶる気になれない。

飲み会での話題の中心は、けして 「 お堅い話 」 ばかりでもないが、彼らとの交流が 「 まだまだ勉強しなきゃな 」 という発奮材料にはなっている。






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