「 銀行と提携するぐらいなら、紫の帽子をかぶった売春宿のオヤジの
ほうがマシだ 」
ピート・ザマレロ ( 不動産デベロッパー )
I'd rather be a pimp with purple hat...than be associated with banks.
PETE ZAMARELLO
日本の銀行は質が悪いと思ったら、海外にも 「 銀行嫌い 」 はいるらしい。
彼に何があったのかは知らないが、私自身は別に何の恨みもない。
ただ、ここにも以前から何度か書いているように、今日の日本経済を悪くした張本人は銀行の連中であり、その罪は重いと思う。
だいたい、かぎりなく 「 0 」 に近い金利で預金者からお金を集めて、最大十数%を乗せて他人に貸す商売ができ、「 損をする 」 ことが不思議だ。
その経営は、よほど軽率か、あるいは無能かということを証明している。
たまたま最近、銀行へ出向く用事があったのだが、二回連続で 「 無能 」 な銀行員に出くわし、「 アホなのは、トップだけではない 」 ことに気付いた。
中には、「 アホではない 」 銀行員もいるだろうし、アホな組織の体質を改善しようと努力している人もいるだろうが、あまり出会ったことはない。
一人目は、大手都市銀行支店の 「 アホ課長 」 である。
窓口が五つあって、けっこう混雑しているにも関わらず、三人の女子行員が対応しているだけで、二つは閉鎖されていた。
しかも、二人はテキパキと仕事をこなしているが、「 素人目に見ても 」 残る一人は作業が緩慢で、仕事がはかどっていない様子だ。
自分も含め十五人前後のお客さんが、整理券を持ち順番を待っている。
そこへやってきた次のお客さんが、発行機から整理券を取ろうとしたのだが、プリント用紙が切れたせいか、券が出てこなくなってしまった。
そのお客さんは窓口の女性に、故障の旨を伝え、窓口の女性が、奥のほうにいた 「 問題のアホ課長 」 に、事態を報告したのである。
もちろん、この時点では 「 アホ 」 かどうかわからなかったが、神経質そうな40歳前後のひ弱な小男で、交換用のプリント用紙を携えて登場した。
しばらくは、一人で機械をいじくり回していたのだが、うまくいかないらしく、途方にくれた表情で 「 お手上げ 」 といったポーズをしている。
その後、彼は、こともあろうに混雑する窓口の 「 有能な女性行員の一人 」 をロビーに呼び出し、結局、彼女に修理してもらったのである。
その間、約5分ほどだったが、ただでさえ待ちくたびれている我々は、さらに長引かされ、お客さんの 「 イライラ 」 は、つのる一方であった。
それほど腹が立ったわけでもないが、ちょっと 「 非常識 」 だと感じたので、自分の番が来たときに、窓口の女性に苦言を呈した。
その窓口の女性というのが、新人 ( ドン臭いほう ) だったせいか、対応が悪く、さらに遺憾に思ったので、先刻の男性を呼んでもらった。
ほどなく彼がやってきて、別の空いているカウンター越しに話をした。
当然、先ほどの対処はまずいとか、「 混雑状況を考えなさい 」 といった内容の文句を言ったのだが、あまり真剣に聞いていない様子だ。
それで仕方なく、「 おたくの○○さんとは、一緒に仕事をしてるのですが 」 という 「 脅し 」 を与えると、たちまち態度が豹変した。
平身低頭、「 絵に描いたような 」 平謝りである。
大手銀行の課長といえども、これが実態なのかと思うと、怒りを通り越して 「 呆れて 」 しまうほどで、余計に憤りを感じる結果となった。
彼には、顧客満足など眼中になく、己の保身のみが大切なのである。
よほど 「 ○○さん 」 に報告してやろうかとも思ったが、そこの大物と言われる 「 ○○さん 」 も、あまり好きな人物ではないので関わりたくない。
それに、顧客に目撃されない部署にも 「 アホ 」 はいるはずで、彼のように店舗要員をしている者は 「 不利 」 なことを思えば、少し可哀相でもある。
二番目の 「 アホ 」 は、「 誰が 」 ということでもない。
別の銀行で、たまたま 「 閉店間際 」 に入ることになった。
思えば今まで、「 閉店間際の銀行 」 に入る経験が無かったので、ひょっとすると 「 そこでの体験 」 は、ごく普通の日常的なものかもしれない。
午後2時45分、手にした整理券番号は 「 14番目 」 のものだった。
銀行は3時で閉まるものという認識があったし、それより遅くなるようであれば翌日にしてもいいかなという気持ちで、本を読みながら順番を待つ。
前回以上に時間がかかり、なかなか順番が回ってこない。
ふと見ると、やはり五つある窓口の二つしか、行員の姿がない。
奥には多くの行員が居るのだが、彼らは彼らで別の仕事をしているのだろうから、窓口に回ってもらうわけにもいかないのだろう。
もし、時間に間に合わず、出直すことになったとしても、それは閉店間際に来た自分も悪いのだから、仕方のないことだと思う。
そうこうしているうちに3時になり、表のシャッターが音を立てて降りる。
ありゃりゃ、「 シャッターが下りちゃったよ 」 と不安になっているとき、急に窓口の様子が慌しくなってきた。
見ると、窓口のすべてに行員が座り、どんどん順番を呼び始めたかと思うと、一つの窓口に二人の行員が構え、さらに次のお客さんを呼んでいる。
すぐに自分の番がきて、ちゃっちゃと用件が片付けられ、守衛さんの案内で扉を開けてもらい、すぐに解放されたのである。
早く処理されたのは嬉しいのだが、それならなぜ、3時前に 「 総動員 」 してくれなかったのか、どうにも解せない気分になった。
銀行業界に詳しい人なら、それが 「 普通 」 なのか、「 異常 」 なことなのかご存知だろうが、素人の私にはよくわからない。
もし 「 異常 」 だとすれば、その支店は 「 アホ 」 だし、「 普通 」 だとすれば、業界自体の商慣習や、顧客への接し方が 「 アホ 」 である。
ちなみに、某大手都市銀行の大型店支店長と海外に出張したが、口ばっかり達者で、中身のないスピーチと、品性の無い 「 ご乱行 」 に辟易した。
上も 「 アホ 」 なら、下も 「 アホ 」 で、その後も相当数の銀行員と知り合いになったが、「 優秀 」 と思えたのは一部の女性行員だけである。
それは、職業的な差別感情ではなく、実際に体験した 「 出会い 」 がベースとなっているので、統計的な感想と思っていただくしかないだろう。
なぜ、この業界では 「 優秀な人間 」 が育ちにくいのだろうか。
一昔前、「 阪神タイガース 」 から放出されたトレード要員が、移籍先の球団では大活躍するという事例が多かった。
高校、大学で活躍し、ドラフトの上位で阪神に入団したものの、ぱっとしない成績で数年を過ごし、他のチームに移った途端に本領を発揮する。
ちょっとした銀行の銀行員も、そこそこの大学を出て、華々しく入行する。
他の企業に入った同窓生が、社会常識や仕事のキャリアを積み重ねていく中で、いまひとつ成長できないのは、個人ではなく 「 組織 」 に問題がある。
いまでも、「 銀行に就職したい 」 という学生は多いけれど、特に男子には、あまり勧めないようにしている。
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