「 自分をコントロールできない者に、自由はない 」
ピタゴラス ( ギリシャの哲学者、数学者 )
No man is free who cannot control himself.
PYTHAGORAS
酒量の多い人が、けして 「 アルコールに強い人 」 とはかぎらない。
さほど強いわけでもないのに、つい、多量に摂取する傾向のある人もいる。
夜の六本木というのは、なんとなく 「 飲みたくなる 」 風情がある。
いい頃合に酩酊し、店を出て歩き出すと、前からキレイな女性が来る。
そこで、「 建物の壁に体を押さえつけて、服の中に手を侵入させ、思い切り胸を鷲掴みにする 」 なんて気分になることも、考えられなくもない。
しかしながら、圧倒的大多数の人間は、実際にそんなことをしないし、もし、そうしようと心に決めたとしても、それなりの “ 手続き ” を踏むはずだ。
いきなり、何の交渉もなく 「 鷲掴み 」 に及ぶことは、殆ど考えられない。
中西 一善 という国会議員が、それを堂々とやってのけた。
当然、「 あるまじき暴挙 」 で、厳正な処分を課すべき犯罪行為である。
この事件は、被疑者が 「 国会議員の立場であること 」 とは、あまり関係がないように思える。
その立場を利用したとか、偉くなったと勘違いしたとか、「 思い上がり 」 による愚行と考えるには、あまりにも無軌道、無計画すぎる。
つまり、この人物は、職業が国会議員ではなくて、民間企業の従業員でも、学校の教師でも、同じ事をやったのではないかと考えられる。
本人は記者会見で、「 国会議員に対する信頼を傷つけ 」 とか、党全体への余波を気に掛ける素振りを見せたが、その心配は少ない。
酒癖の良し悪しは、きわめて個人的な習慣であって、組織の文化や体質といったものとは無縁の位置にあり、誰も 「 自民党の問題 」 とは思わない。
個人の責任が追及されるだけの範囲で、すべて決着するだろう。
もちろん、他人の揚げ足をとるしか能のない 「 民主党 」 が、今回の事件をネタにして難癖をつける可能性もあるが、たいした効果は期待できない。
あまりしつこく追求を続けると、ますます国民から馬鹿にされる。
理性が行動を制限できず、簡単に本能や欲望に支配されてしまうようでは、それはもはや 「 ヒト 」 とはいえない。
一昔前に、「 覚せい剤やめますか、人間やめますか 」 といった公共広告の名作もあったが、まさに、それと同じである。
酒を飲むことは、自由な個人の権利でもあるが、それで自己を抑制できないという者からは、その自由を剥奪する必要があるかもしれない。
ただ、世の中に 「 酒好き 」 は多く、これを 「 性犯罪 」 として処理するべきところを、「 まぁ、酒の席だから 」 と甘く捉える人たちも多い。
本人は、「 もう飲みません 」 と反省しているらしいが、二度と酒を売らない、買えないぐらいの措置を、徹底するぐらいでないと困る。
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