Tonight 今夜の気分
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2005年03月06日(日) 罪の意識が薄い人たち



「 後悔とは、指紋と同じく個人的なものです 」

                       マーガレット・C・バニング ( 作家 )

Regrets are as personal as fingerprints.

                         MARGARET.C.BANNING



生まれてから今までの間に、どれだけ 「 悪いこと 」 をしただろう。

犯罪に抵触するほどでなくても、何一つ悪いことをしなかっただろうか。


本当はそれほど好きじゃなかったのに、「 世界中で一番好きだ 」 と偽って女性を口説いたのは、ある意味 「 詐欺罪 」 じゃなかったのか。

競争していた 「 恋のライバル 」 に対し、「 俺の女に手を出すな 」 と凄んだのは、ひょっとすると 「 脅迫罪 」 に該当するかもしれない。

ドライブ中に、片手を彼女の膝に乗せていたのは 「 安全運転義務違反 」 であるし、「 嫌よ 」 と照れる相手をホテルへ誘ったのは 「 強姦罪 」 か。

そしてなにより、彼女の心を奪ったのは 「 窃盗罪 」 で、付き合って間もなかったことを思えば 「 スピード違反 」 なのかもしれない。

うん、うまいこと言うなぁ。( そうなのか? )


ともかく、「 相手の理解 」 の有無によっては犯罪行為であったり、そこまでいかなくとも 「 嫌がらせ 」 だったりすることがあるかもしれない。

若い女性に、脂ぎった中年男性が付きまとうのは客観的にみて犯罪的だ。

しかし、高校球児の下校時刻に、可憐な乙女が 「 渡せない恋文 」 を携えモジモジしながら見つめているのは、微笑ましく美しい光景である。

それを、「 精神的苦痛を受けたので、ストーカー規制して欲しい 」 と訴えるような 「 無粋な人 」 は少なく、そんな話は聞いたこともない。

過去の 「 悪いこと歴 」 を振り返る過程で、特に人的交流の面においての 「 人に迷惑をかけたのか 」 という点は、相手の印象に委ねる部分が多い。


中には、そんな曖昧な話ではなく 「 明らかに犯罪 」 というものもある。

他人の物を借りて返さなかったとか、喧嘩をして怪我をさせたとか、未成年なのに飲酒や喫煙をしたとか、そういう経験をした人は多いはずだ。

それらは、「 多くの人がやっているから 」 という理由で大目に見られがちだが、迷惑を被った側からすれば、腹が立つのはもっともな話である。

その被害が 「 洒落にならん 」 ほどなら、なおさらであろう。

ただ、怒りというものは時と共に緩和されることが多く、法的にも 「 時効 」 というものがあるし、多数の人が 「 若気の至り 」 に寛容なのも事実だ。


少し前の話だが、とある女性タレントがテレビ番組の中で 「 過去に窃盗をしたことがある 」 という話を、面白おかしく武勇伝のように語ったらしい。

途端に視聴者からテレビ局へ、抗議の電話が殺到したという。

騒ぎが大きくなったことで、警察が事情聴取を行い、タレント活動は自粛され、本人と関係者は痛烈な批判を 「 浴びる 」 ことになった。

なぜ、この事柄に関して世間は 「 若気の至り 」 に寛容でなかったのか。

彼女の犯した罪は、それほどまでに凶悪で特殊な事件だったのか。


この問題に関する社会の反応は、とても興味深い 「 教訓 」 を含んでいる。

世間は、彼女の犯した 「 過去の罪の重さ 」 を糾弾しているわけではない。

それよりも、「 犯した罪に対して、反省していない 」 という、罪への意識が欠落していることに対して、激しい憤りを感じたのである。

いくら 「 時効 」 や 「 若気の至り 」 というものを周囲が認め、それを赦したとしても、本人が自慢話のように披露すべき話ではない。

本当にそれを反省し、恥じているのであれば、過去の失策を掘り返して 「 袋叩き 」 にしようとするような人は、それほど多くはないはずだ。


インターネットで 「 不倫しています 」 と公言する人や、この世は生きていてもつまらないので 「 自殺したい 」 という主張を発信する人がいる。

それに対し、憤りや抵抗を感じ、批判的な意見を述べる人もいる。

その議論はいつでも堂々巡りだが、「 自分の勝手だ、何が悪い 」 といった強気の反発をする人は少なく、大抵が 「 悪いこと 」 だとは自覚している。

苦言を呈している人の多くは、「 悪事を駆逐したい 」 のではなく、どちらかというと 「 罪の意識をもて 」 というメッセージを飛ばしている。

攻撃されている方は、相手に 「 悪事を裁かれている 」 という意識で臨んでいるものだから、いつまでたっても話が通じないのが実情のように思う。


以前、不倫に関しては 「 どっちでもいい 」 という見解を述べたが、善か悪かと尋ねられれば、当然 「 悪 」 と答えるほかにない。

それでも、「 やる人 」 はやるだろうし、それを止める気はない。

ただ、やはり世の中が 「 悪行 」 と評価する行為に、堂々と自分が荷担していると発信するのは、「 反社会的で、公序良俗に反する 」 はずである。

その悩みを吐露して、世間に救いを求めるのならともかく、恥じらいもなく 「 ラブラブどえ〜っす♪ 」 みたいなことを書くのは、社会への反逆に近い。

警察でも文部省でもないので、「 悪いことはやめましょう 」 などと書くつもりもないが、堂々と語る 「 罪の意識の低さ 」 には、少し憤りを感じる。






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