>> 逆重力 >>
過去の日記  もくじ  新しい日記

 祖父が死にました。  
 2003年10月05日(日)
 深夜1:30ごろ,家に電話がありました。
祖父の血圧が下がってきているので
家族は至急病院に来て欲しい,と。

病院について病室に向かうと,
病室には灯りがついていませんでした。
小さな光があるだけで。

看護士が来て,説明をしました。
上の血圧が50しかないと。
測りにくいほどだと。

祖父は浅く小さい息をしていました。

しばらくしてもう一度
看護士が血圧の計測に来ました。

もう本当に測るのすら困難なほどらしく
何度もやり直していました。
上が30。

看護士は詰め所に戻り,
すぐに心電図の装置を持って戻ってきました。
不整脈。と思いました。
心拍数が150から40まで色々と変化していました。

祖父は目を開いて,口で息をして。
わたしはふとある小説を思い出
しました。
主役の男性の弟が癌を発病し,
その死までを描いた小説なのですが,
その中に「顎で息をし始めたらもう死が近い」とあって
そうなってはいないかと,見つめていました。

祖父の呼吸が小さくなり,
下顎が呼吸に合わせて動きだしました。

医師が病室に来て脈をとり,
心電図計を見ていました。
何をするでもなく。
できるでもなく。

祖父の呼吸が止まりました。
そのすぐ後,
心拍0を表す心電図計の音が鳴り響きました。

不快な「ピー」という音の中,
瞳孔を確認した意思は頭を下げ,
「残念ですが…」と言った。

握っていた手が
徐々に白く,冷たくなっていった。

抜けていく魂を縫いとめようとするように
強く握ったけれど,

その手に残る体温はもはや祖父のものでなく,
生きているわたしのものだった。
 


 

    Home  Bbs  Mail