どんぐり1号のときどき日記
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| 2009年05月17日(日) |
「秒速5センチメートル」 |
朝から雨である。そんな今日はまたも実家の買い物の手伝い。結構時間がかかるものである。
色々と忙しく、なかなか落ち着いて見る時間がなかった「秒速5センチメートル」を、ゆっくりと見る事が出来た。これはもう見事なまでに青臭い話ではあるが、青春期を遙かに過ぎてしまった人間にはかなり泣ける話である。もちろん泣ける話が必ずしも良い話ではないのは常識だが、この作品に関しては、青臭さ、懐かしさ、そして痛さがすべて揃っていてなかなか良い。
第1話「桜花抄」 シリーズの主人公である遠野貴樹と、篠原明里の幼く切ない初恋である。 とにかく純粋で、だからこそどうして良いか判らない、実に切ない恋物語でもある。自分も転勤族の家庭だったので、こういう感覚は率直に理解できるし、そしてそういう感覚が長くは保てないというのも理解できる(ただし男の方が長く保持しているような気はするが…)。 だからここで終わらないと言う事は、ラストの展開も想像できてしまうのである。13歳では、その後の人生は永遠に等しいのだ。
第2話「コスモナウト」 私はこの話が大好きだ。 言ってみれば澄田花苗の失恋の話なのだが、種子島とロケットが日常に溶け込み、そして題名と悩める少女の澄田花苗が、痛いほどにシンクロしてしまったあのラスト・シーンは素晴らしい。第1話以上に泣ける。しかしこの時点でシリーズの主人公である遠野貴樹の未来が完全に読めてしまうから、これは構成に問題あり、だろう。 ただしこの第2話は、「ロケットのある風景が描きたかった」から作った話ではないかと思っている。高校生の貴樹と花苗が立っている先でロケットが打ち上げられるシーンの、なんと感動的な事か。恋愛とロケットをセットで描かれては、ロケット大好き人間としては、ぐっと来るところだ。 もちろんこの場合、孤独の旅をする探査衛星と、顧みられない恋愛感情を持つ花苗が同一レヴェルになっている所がミソで、そのために打ち上げられたロケットの煙が徐々に風によって消えていく描写までしているのである。 ひたすら美しい映像だ。
第3話「秒速5センチメートル」 この話は「山崎まさよしのPV」と揶揄する意見もあると何かに書いてあったが、これはある意味正しい。作者の新海監督は、脚本も演出も投げてしまったとしか思えない。 もっとも予想通りの内容になった訳で、1〜2話と続いた世界観の中では辛すぎる結末なのは確かだ。ここは別のエピソードを作るべきだったろう。もちろん、別にハッピーエンドにして欲しかった等とは思わないが、あれではあまりに中途半端だろう。しかも2話と3話の相谷はもう少し何らかの話がないと、全体の構成としてあまりにアンバランスになってしまう。 色々と痛すぎて、この第三話だけはそう何度も見る事はないだろう。
それでも、こういう作品の良さを素直に理解できる事は良い事だと思う。逆にこういう作品を見て何も感じないようでは、あらゆるジャンルの「作品」からは無用の人間だ。 ついそんな事を思ってしまう。
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