どんぐり1号のときどき日記
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| 2008年08月13日(水) |
押井のインタビュー等 |
今回のお盆も、どんぐり2号が弘前日帰りとなる。今年はいろいろあるから仕方がない。自分は自分で靴を買ったり、旅行の準備をしたりで結構時間がとられる。
とか言いつつ、ネットで押井関係のインタビュー等を探す。 氷川竜介の最新インタビューがなかなか参考になる。これを読むと押井監督が目指すものは宮崎監督とは正反対だというのが、本当に良く判る。どちらが良いとか悪いとか言うのではないが、実は日本のアニメというのは末期状態だという認識があれば、押井監督の姿勢が正しいというのはすぐに理解できる。 要はアニメーターがいないのだ。以前は世界でも稀なほどに優秀なアニメーターが大勢いたが、彼らも40代50代に突入して監督になったりしているのに、後続の若手が育っていない。
本来アニメーターというのは体力勝負の部分がある。年を取って経験値が上がるという事よりも、年とともに体力と持続力、精神力が落ちてくるのをカヴァーできなくなる方が大きい。だから若手の優秀な人材が必要になるのだが、実際はどんどん減っている。 実際、今回の「スカイ・クロラ」では必要なアニメーターの半分も集められなかったそうである。よもや押井本人が生きているうちにこんな事態になるとは考えていなかったそうだ。だからデジタルというテーブルの活用も今後は必要なのだが、デジタルはあくまでテーブルであって、本当に必要なのは優秀なアニメーターだというのが、どうも理解されていないらしくアニメーターの不足は業界の構造的問題になってしまっている。そもそもデジタルはあくまで道具であり、宣伝の材料でしかないのだから、デジタルだから何とかなるという話ではないのだ。それでは「映画」は作れない。
そんな、アニメーターが今後も減っていくという事実を視野に入れ、「攻殻機動隊 2.0」ではあえて素子を3Dに置き換えてみたらしい。彼の意見ではモーション・キャプチャーでは創造力に限界があり、アニメーションの手助けにはならないので、今回の素子の違和感は織り込み済みの上で実験してみたというところか。
そして若手アニメーターの育成は、そのトップに君臨する宮崎監督が残念ながらそれほど熱心ではない。彼の作品を作るため人材は作っているようだが、「優秀な若手」を育てていないのである。 これは絵が描けない押井監督には出来ない事だと押井本人も言っているし、やはりここらで宮崎監督は引退するべきなのだ。もし本当に本のアニメの将来を考えているのなら、だが。もっもと映画会社が彼の引退を許さないのだろう。それは容易に想像できる。
それから最近は、押井監督の映画の作り方で第一に優先されるのは「世界観」だと良く書いている。 これはハリウッドの製作姿勢とは反対で、彼らは「キャラクター」から入る。つまり「まずスーパーマンというキャラクターがいたら、次にハデに活躍するストーリーを作り、最後にそれが成立する世界観を作る」というものだ。結局今のハリウッド映画が何故つまらないかが、これで明白になる。これでは世界観の統一がないし、そもそも脚本の変更によって世界観が崩れてしまうからだ。 そしてこれが同じようにアニメ版の「ドラゴンボール」や「クレイモア」が後半つまらなくなっていく理由であり、ジャンプの方法論が間違っている理由でもある。後半どんどん強くなっていくキャラクターが、それを成立させている世界観からはみ出していくからなのだ。 こういったインタビューを読んでいると、つまらない作品の理論的裏づけもはっきりしてくるのは楽しい。
ちなみにこの中でも言及していたが、最近のアニメ作品は彩度をわざと落としているのだという。確かに言われてみれば、最近自分で見た作品はすべて彩度が低いという事に気がつく。「パトレイバー」等のリニューアルDVD版もそうだ。実は彩度を下げると全体の色調が整って見えやすくなるからだ。 実際自分もこういうカラーが好きなのだが、考えてみればこれは写真の世界で普通に使われていたテクニックであり、私には馴染みがある。意外と写真の世界のカラーは参考にされているようだ。
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