どんぐり1号のときどき日記
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2008年07月12日(土) 監督も変わってきた

 あいも変わらず粗仕事な日である。どうでもいいが。

 ところで「スカイ・クロラ」公開をひかえた押井監督の、各メディアへの露出度は凄い。前作までの様子からは本当に考えられないほどだが、これは「イノセンス」で勝負に出た2004年のカンヌ映画祭がかなりこたえたためだろう。なにせ当時は現地入りしたとたん、マイケル・ムーア監督の「華氏911」の攻勢の嵐に呆然としたそうで、その瞬間これは負けたと悟ったらしい。
 つまり、いくら良い作品であっても、話題を作らなければ商売には繋がらないという事を、いやというほど味わったのである。苦労をかけたスタッフのためにも賞を取りたかった押井監督としては、かなりショックだったろう。そしてこの経験は押井監督だけでなく、IGの石川氏も痛感したはずだ。IGには営業部がなく、「良い作品を作ればそれが名刺になる」という極めて真っ当な考え方をしているのだが、やはり賞を取るにはそれなりにタネをまく必要があるのも事実だ。
 賞を与えるのは権威という物を持っている人間なのだから、真正面からの攻撃だけでは不充分なのである。

 だから今回の「スカイ・クロラ」における彼の攻勢は、今までの押井監督のやり方からするとかなり異質なのだ。話題を作るために何でもやるといっている通り、いつものスタイルを捨て去っているのには驚く。
 そして過去、彼の発言を見ていると絶対にやってはいけないという事がいくつかあるのだが、それを平気でやってしまっている。つまりこの作品で彼は、勝負に出たのだ。これがコケたら、メジャーな作家になるチャンスはもうないかも知れないのだ。
 もっとも失敗してもプロデューサーや営業のテクニックは吸収するから、無駄になる事はないだろう。

 ただ、いくら話題づくりとは言え、以前押井監督が否定していた若い俳優による声優初採用だけはどうかと思う。所詮シロートはシロートなのだ。
 加瀬なんたらという俳優も、納得するまで17時間もアフレコをやったというが、それは周囲に対して仕事の邪魔をしているという事に気づいていない。スタッフはプロなのだから、こんな余計な仕事を増やせばそれだけ金が余分にかかってしまう。そういう事にも気づかないからシロートは困るのである。自分を納得させたいなら、事前に準備を重ねておくべきであって、スタッフの邪魔をするべきではない。

 そして一番驚いたのは、押井監督がそれを許した事である。以前なら絶対に考えられない。そういう意味でも彼は変わってきた。願わくは、作品のレヴェルが落ちない事を祈る。


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