どんぐり1号のときどき日記
DiaryINDEX|past|will
| 2008年05月27日(火) |
どうなる、スカイクロラ |
押井監督の「スカイクロラ」の宣伝DVD「Countdown of "TheSky Cralers" 3」「同2」を見る。 この中には製作発表の様子なども含まれているが、ここで押井監督は、今作品では今までのフォーマットを全て崩し若者へ向けてのメッセージを出したいといっている。特に未来に夢がない老人のような今の若者に対して、生き方の指南をしたいようなのだ。
この部分を聞いていて、ついに彼は後進を育てようという気になったのかもしれないと感じた。つまりアニメ関係の若者を育てるため、あえて若者向けのプログラムにしたのかもしれない、という事だ。なにせプロダクションIGという高度な組織ですら高齢化で限界が近いと、他ならぬ押井監督が「人狼」の時に発言していたではないか。このままでは日本のアニメはなり行かなくなると、この時点で訴えていたのだ。
ただし押井守というブランドは、海外での評価と違い日本ではマイナーである。そんな彼が後進を育てるには時間も金もなかったというのが正直な所だったのではないだろうか。 だから「イノセンス」の製作は大きかった。やりたい事がやれたし、今までの自分の技能の他に「アヴァロン」以降のデジタル技術もマスターできた。さらに鈴木プロデューサーから売り方も盗んだだろう。 そして一番大きかったのは、カンヌでのマイケル・ムーアの自作品の売り込みの凄さを、嫌というほど見せ付けられた点だ。良い作品はある程度黙っていても世間は評価してくれる。それは確かなのだが、ライヴァルがいる時の賞取り合戦は、半端な事では絶対に勝てないと痛感したはずである。
だからこの辺で、かなり考え方が変わってきたと思うのだ。作品を作るだけではダメで、時には明確なメッセージや、場合によっては売るための戦略が必要なのだという事に気づいたのである。それが後の評価にプラスとなるからだ。 監督というのは、次を作るために今の仕事をしなければならない部分もある。そのためには金を出した連中に対しても責任がある。今までの押井監督は、その部分を意図的に避けてきた(それですらああいった作品群を作るのだから、やはり凄い事ではある)。避け続けてきたが、それでは自分の作りたい作品を作るという勝ちを取れない可能性が出てきた訳である。 彼も自分の賞味期限を実感しているという事で、だからあえて自分を変えようとしているのだ。
ただし、今後も絶対に変わらないと思われるのは、音楽に対する姿勢だ。これだけ映画に対する音楽の重要性を理解し、かつ実践している監督は珍しい。日本においてはほぼ皆無といっても良い。だからこの部分の考え方だけは絶対に変化しないと断言できる。この部分を蔑ろにしたら、彼の考える映画ではなくなるからだ。
そういう意味で、今度の「スカイクロラ」は注目作となる。押井ブランドがどう変化するのかが見られるからだ。
|