どんぐり1号のときどき日記
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割と近くの本屋で、どんぐり2号が「犬狼伝説 紅い足痕」を見つけてゲット。中を見るとおまけ的扱いだった「THE KILLERS」も載っていたので、一安心である。 しかし新作のコミックで400ページ近い厚さというのには驚いてしまう。結局原作とは言え「押井守」というネームヴァリューが物を言ったというところだろう。いくら作画の杉浦守氏の実力があったとしても、この厚さと価格では普通に出版するのは難しかったのではないだろうか。このあたりは「イノセンス」の効果である。
ただ連載時から思っていたのだが、どうも杉浦氏の演出は判りにくい。コマの前後の繋がりが不明確な部分が多いのである。もっと単純に言えば、繋がっていない部分が時々あるのだ。 多分杉浦氏の描く犬狼伝説のベースは、映画の「紅い眼鏡」なのだと思う。夢と現実の混ざり合った構成はそれを端的に示している。だがその組み立て方があまりにも独り善がりなのだ。 「紅い眼鏡」が映画として良く出来ていると思うのは、演出、構成とも非常に判りやすいし、流れがスムーズに進んでいて、つまりはちゃんとエンターテナーしているからである。この映画はどこも複雑ではないし、難解でもない。映画をある程度見ている人になら、少なくとも演出レヴェルでは実に判りやすい作品だと言える。
多分沖浦氏は押井監督のそういう部分はあまり好きではないのだろう。良く言えば芸術肌である。だがこの作品はベースが押井監督であり、それをあくまで沖浦氏の土俵に持っていくなら、100%持っていった上で加工しないと、結局は中途半端なイメージにしかならない。 だから脚本を書いた押井監督に、「これは自分の作品とは違う、彼の作品だ」と言わしめた「人狼 JIN-ROH」は、見事なまでに沖浦監督作品に仕上げる事に成功したが、この「犬狼伝説 紅い足痕」は、押井作品に初期から付き合ってきた身としては、非常に中途半端な作品というイメージにしかならない作品だ。
もっとはっきり言うが、実にもったいない作品だ。これなら大野安之氏に描いてもらった方が、絶対に良かったと思ってしまう。
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