ダイエーの創業者がモデル。 メーカーが小売価格を決める世の中で、安売り店を始める男の話です。
矢口は、現金一括払いで、問屋から安く仕入れて安く売るので、同業者から睨まれます。 肉を卸してもらえず、自分で牛を買ってきて、さばきます。 「大卒の社員にそんなことさせるなんて!」と非難されるのですが、今だったら、京大卒の猟師が居るくらいなので、そこまでくそみそに言わなくてもと思う。
家電メーカーは、矢口のスーパーに卸した問屋を突き止めようと、あらゆる手を尽くします。 望遠鏡でのぞいたり、隠し番号入れたり。 スパイ小説か! と突っ込みたくなる。 そんなにまでして、強制的に高い価格で売らせようとするなんて、えげつない。
「流通は、生まれ持った才能を必要としない。運がまわってくるまで、しつこく努力できるかどうかにかかっている」という、主人公の信条が印象に残りました。
流通のしくみがよく分かるので、面白かったです。
城山作品読むの、「官僚たちの夏」に続いて二作目ですが、文章が読みやすい。 出だしの、主人公の性格を印象づけるシーンが上手。 ありそうであまり無い名前で(尾頭とか)、登場人物の名前が覚えやすいです。
未だに、価格再販制度の残っている出版業界は、この先どうなるんだろうなぁとか、色々考えてしまった。
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