銀行員時代の同期の子の「はい」という返事が、どうもぎごちな くて、言われた方の人間が機嫌が悪いのかと気にしていたことが 有った。 そのことを、彼女に訊いてみたところ、彼女はほとんど「はい」 という返事をしたことが無かったということだった。 学校では、「はい」ということは有ったろうが、それは出席をと るときくらいではなかったのだろうか。 一番「はい」という返事を多用するのは、家庭の中なのかもしれ ないと、その時思った。 小さい頃から、家庭の中で「はい」という返事をしないで育つと、 社会に出てからぎごちない「はい」を言ってしまうのではないの かと思った。 イントネーションの問題で、「は」よりも「い」の方が低いと、 どうも不機嫌な「はい」に聞こえるらしい。 普通は、「は」も「い」も同じ高さだと思うのだが、どうだろう?
言い慣れないことは、上手く言えない。 やり慣れないことが上手くできないのと同じだ。
人を思いやるということも、やり慣れないとうまくできないのだ。 思いやっているつもりで、かえって負担に思われてしまったりす るのは、自分ではなかなか気が付かないものなのだが、そうなっ てしまいがちなんだよね。
それはさておき、やっぱりちゃんと返事をする習慣というものは、 大事なことなんだなと、社会人一年生のわたしは思ったのだった。
返事一つで、その人の印象が分かってしまうことも有る。 都会では「ええ」という返事が普通に使われるが、母の実家の若 いお嫁さんが嫁いで来たばかりの頃、聞き返す時に「ええ?」と いう言い方を多用していた。 田舎のお母ちゃん達からすると、その「ええ?」と聞き返す言い 方は、とても冷たい反応だと感じたらしい。 「はい?」といって聞き返すのも、言い方次第なのだろうが。 田舎では、訛ってるから「はえ?」と聞き返すか、「なえだべ?」 という聞き返し方になるので、「ええ?」とか「はい?」とかの きっぱりとした発音が、冷たい感じを与えてたのかもしれない。
返事一つでも、難しいもんだなぁ。
叫んでも何も帰って来ないほど積もった雪を思い出してる(市屋千鶴)
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