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2004年03月31日(水) データ集 2003年度


(画像サイズ、デカくてすいません)

 まずは基本説明を。上記一覧表は、私が観戦した試合における「私が集計した記録」のうち、公式戦(クラブ選手権、東海プリンス、高円宮杯、Jユースカップ)のものを、統計にしたものです。それ故に、公式記録と違い、誤りがあります。傾向を掴む程度に捉えて頂ければ、有り難く思います。スタッツは、徐々に統計対象を増やしています。そのため、母数となる対象試合数には、それぞれ差異があります。
 用語説明については、こちらを参照下さい。


▼出場時間

−−−−− 鈴木真 −阿部−−−−−−

−−大瀧−−−−−−−−− 山本真 −

−−−−−−枝村−−森安−−−−−−

− 篠田大 −高柳−−石垣−−村越−−

−−−−−−− 山本海 −−−−−−−

1. 阿部(2369)、2. 大瀧(2363)、3. 枝村(2360)、4. 森安(2167)、5. 海人(2061)
6. 真希(1988)、7. 村越(1964)、8. 高柳(1830)、9. 真司(1766)、10.大輔(1232)、11.石垣( 971)

12.谷野( 851)、13.美臣( 751)、14.岡村( 682)、15.柴田( 607)
16.悠輔( 569)、17.雄也( 385)、18.上埜( 355)

 以上、上位18人。18人は、ユース年代の標準的なベンチ入りメンバー数である。以下、19.八木 (354)、20.前田 (309) と続き、21番目の獅子内は計124分、22番目の田淵が21分と差が開く。
 前任の行徳氏は、手堅い起用をする監督だったが、築館氏は柔軟な運用や、大胆な抜擢が見られる。18人中、3年生6名・2年生6名・1年生6名と、下級生の起用が多くなった。無論、固定できなかったという面もあり、特に右SHは谷野・柴田・上埜の他、終盤戦では大瀧や真司がコンバートを試されるなどしたため、専門的に右SHを担当する選手は、一人も11傑に割り込めなかった。そのため、上記図は、上位11名による布陣であるが、実際にそれで戦った試合はないはずである。


 以下の統計は、統計対象試合で通算300分以上出場した選手(前田以上20名)を対象にしている。


▼得点・シュート
[90分間あたり得点率] 清水累計:2.20、相手累計:1.13
1.阿部( 0.91)、2.悠輔( 0.63)、3.枝村( 0.38)、4.八木( 0.25)、5.大瀧( 0.23)、6.森安( 0.17)

[90分間あたりシュート数] 清水累計:14.7、相手累計:13.0
1.阿部( 3.91)、2.枝村( 2.94)、3.大瀧( 2.06)、4.真希( 1.77)、5.悠輔( 1.74)、6.真司( 1.53)

[シュート決定率] 清水平均:15.0%、相手平均:9.4%
1.悠輔(36.4%)、2.村越(33.3%)、3.阿部(23.3%)、4.八木(20.0%)、5.森安(19.0%)、6.谷野(16.7%)

[枠内シュート率] 清水平均:49.0%、相手平均:43.7%
1.悠輔(72.7%)、2.阿部(64.1%)、3.森安(57.1%)、4.大瀧(53.7%)、5.岡村(50.0%)、5.枝村(45.5%)

 4つの項目を、エース2名が仲良く2つずつトップを分け合った。少々厳しい状況でも強引にシュートに持っていく力のある阿部、ここぞという決定機を確実にモノにする悠輔、2人の特長がよく表れている。逆に、下位に沈んだ項目を見ることで、2人の課題が見えてくる。阿部はシュート決定率が、チーム3位。昨年の数字、決定率16.1%・枠内率51.6%から大きく向上し、浩太のパスを失ったチームを引っ張ったが、今後、プロの舞台で、さらなる向上が望まれる。一方の悠輔の課題は、枝村らMF陣より少ないシュート数。大外しが殆どないため、シュートをブロックされることが多いという事情もあるのだが、独力でシュート場面を創るプレーも期待したい。
 ただ、残念ながら2人が組んだのは、525分間に留まり、悠輔復帰までは、阿部の相方探しに苦しんだ。主に組んだ真司の統計は、シュート本数で6位に入ったのみで、FWのそれではない。確かにドリブルという数字に残らない武器があるが、真司はアシストこそ若干増えたものの、クロスも含め、昨年より軒並み数字を落としている。他に、1年の八木が高い決定力を残したが、試合の趨勢が決まった後に交代出場で決めたもので、量の点で物足りない。仁科卒業の穴を痛感させられるが、それを補ったのがMFの得点力である。特に枝村は、昨年の1.5倍近い頻度でシュートを放っており、阿部が不調だった東海プリンスの前半戦では、エースの活躍を見せた。課題はミドルが多いせいでもあるが、45.5%の枠内率。最終学年を迎えた森安は、SBで前に出る機会が少ない中、ミドル中心とは思えない枠内率で、チームを救った。大瀧は昨年より数字が落ちたが、なお攻撃の中心である。
 チーム全体の傾向としては、高いシュート決定率が特長。昨年のチームと比べると、シュート本数や枠内率が落ちる中で、決定率は依然、高い水準を保っており、FW陣、特に阿部の奮戦が窺える。


▼アシスト
[90分間あたりアシスト数] 清水累計:1.41、相手累計:0.87
1.柴田( 0.44)、2.大瀧( 0.34)、3.枝村( 0.31)、4.八木( 0.25)、5.真司( 0.20)、5.阿部( 0.15)

[アシスト率(=アススト÷ゴール)] 清水累計:63.8%、相手累計:71.9%

 1年生の柴田がトップ。先発ではユース年代のプレッシャーに苦しむことも多かったが、途中出場でスペースがあれば、そのスピードとテクニックで決定的な仕事ができた。2位には、昨年のアシスト王・大瀧が。総数では変わらず首位だが、昨年に比べ半減した。慣れない右SHやCHでの起用が増えたこと、左SHで起用された際も、1年生が多く務めた右SHに比して、相手の警戒が強まったことが、要因か。代わって、枝村が昨年の5倍近い頻度でアシストを記録、浩太から司令塔の座を引き継いでいる。
 全体的にゴールにアシストが絡む確率が低く、独力でゴールを奪う傾向が見受けられる。


▼クロス
[90分間あたりクロス成功数] 清水累計:5.42、相手累計:3.22
1.八木( 1.51)、2.谷野( 1.47)、3.柴田( 1.04)、4.岡村( 0.99)、5.森安( 0.84)、6.大瀧( 0.81)

[90分間あたりクロス数] 清水累計:19.1、相手累計:15.2
1.上埜( 5.26)、2.柴田( 4.08)、3.大瀧( 4.04)、4.谷野( 3.07)、5.岡村( 2.69)、6.森安( 2.60)

[クロス成功率] 清水平均:28.3%、相手平均:21.2%
1.八木(74.2%)、2.谷野(47.9%)、3.村越(38.9%)、4.枝村(37.8%)、5.雄也(37.7%)、6.岡村(36.9%)

 成功数(頻度)トップの八木は、やや対象数が少なく参考記録気味。FWとして前線に位置しながら、ロングボールから巧く裏に抜けて、それを折り返す動きが見られた。右SHのポジションを激しく争った谷野と柴田は、量の柴田、質の谷野という構図が見られる。縦突破からクロスの形を持つ柴田、強靱な体で相手を押し退け、視野を確保してクロスを上げる谷野、と言えるだろうか。キックに自信のある上埜や大瀧は、少しぐらいマークが付いていても、巻くクロスでブロックされずに、積極的に上げてくるタイプ。本数は多いが、サイドを抉ってマイナスのクロスを上げる割合が少ないため、成功率に劣る。その成功率では、サイドアッタカーの他に、高精度ロングフィードを装備する村越と、盛んに中盤の底から飛び出して相手に的を絞らせない枝村が、上位に名を連ねた。
 チーム全体としては、本数が減った一方、成功率が向上。浩太が抜けたため、サイドを崩すような展開力が落ちたが、最終学年を迎えた阿部が、ターゲットマンとして機能した、と分析できるだろうか。対戦相手の累計クロス数が激増しており、加えて相手の成功率も向上(=自軍の阻止率が低下)、昨年に比べサイドの守備に脆さを見せていたことを伺わせる。


▼反則・警告
[90分間あたりファウル数] 清水累計:16.9、相手累計:15.5
1.悠輔(3.01)、2.岡村(2.78)、3.阿部(2.72)、4.村越(2.66)、5.森安(2.52)、6.八木(2.52)
…16.大輔(0.80)、17.高柳(0.64)、18.石垣(0.63)、19.海人・前田(0.00)

[90分間あたり警告数] 清水累計:1.29、相手累計:1.41
1.雄也(0.47)、2.美臣(0.36)、3.村越(0.27)、4.八木(0.25)、5.真司(0.20)、6.森安(0.17)
…13.海人・高柳・石垣・谷野・柴田・悠輔・上埜・前田(0.00)

[反則に対する警告確率(=警告÷反則)] 清水累計:7.6%、相手累計:9.1%
1.美臣(36.7%)、2.雄也(22.5%)、3.大輔(18.2%)、4.真司(14.9%)、5.真希(14.6%)、6.八木(11.3%)

 あまり上位になっても嬉しくない、反則・警告関係。反則率トップに篠田悠輔。しかし、警告数は0だったりする。見ていると、確かに無茶だなあ、と思うプレーも多いのだが、スペインでは、あのぐらいが当たり前なのかもしれない。阿部も3番目に入り、昨年のユースがオフェンスファウルが多かった様子が伺える。FWはこのぐらい、気持ちが強い方がいい、と個人的には思う。続いて村越・森安とコンタクトに強い選手が、「順当に」名を連ねたが、一方で下位に大輔・高柳・石垣と、最終ラインの選手が並んでいる。攻撃面ではガツガツと、守備面ではクリーンに、ということだろうか。石垣がGKを除いて最下位というのが、かなり意外。
 警告関係では、雄也と美臣が上位に。この2人はファウル数はさほど多くはないので、サイドからスカッと抜かれて、つい足や手が出てしまう姿が窺える。森安の警告数や大輔の警告確率も高くなっており、昨年の清水が、サイドの攻防で後手を踏むことが多かったということになるだろうか。ただ、森安や村越の場合、コンタクト系のため反則自体の数が多く、特に警告確率が高いわけではない。前目のポジションに関わらず、警告数・確率が高めの真司・八木は、精力的ということか、それともお調子者なのか。
 チーム全体では、反則数で相手を上回り、警告数で下回っている。昨年のチームが、清水では珍しい武闘派集団であったことを、裏付ける。オフェンスファウルが多く、被決定機阻止が比較的少ない点が、警告数・率を下げた理由だろう。


▼得点の形・失点の形

  得点             失点
2( 6%) セットプレー直接 4(13%)
9(16%) セットプレー間接 8(25%)
10(17%) 清水右サイドから 8(25%)
6(10%) 清水左サイドから 4(13%)
13(22%)  中央から裏へ  3( 9%)
6(10%)  中央から強引に  1( 3%)
12(21%)  ミドルシュート  4(13%)

 清水エスパルスと言えば、執拗なサイド攻撃というイメージであり、実際、下部組織でそれが裏切られることは稀であるが、昨年で言えば、それが得点に結びつくことは少なかった。比較的、右サイドに偏っているのは、左SHの大瀧が純粋なサイドアタッカーではなく、中央バイタルエリアに入り込む動きを盛んに行ったためだろう。両SBのうち、右の森安の方が上がり目である点も大きい。一方で、相手に崩された回数も右サイドが上回り、その上がり目になった森安の裏を突かれた格好が多かった。ただ、森安の責任だけでなく、右SHが1対1で遅れをとったことで、森安が1対2で応対せざるを得ない状況が多かった点も、記しておく。
 攻撃面では、サイド攻撃の代わりに中央から裏を狙うパターンが一番を占める。これは即ち、全体の得点の4割強を叩き出した、阿部のプレースタイルを物語っている。枝村や大瀧など、パスの配給側のセンスも大きいが、彼らの能力はむしろ、2番目・21%の得点パターンを占めるミドルシュートの部分に表れていると言えよう。また、失点に比べて3倍近い割合を占める「中央から強引に」も含め、個人の能力に頼った(目立った)得点が多いとも言える。一方、直接FKが1回に、PKも1回のみ。名手大瀧の存在を考えると、明らかに物足りない。PKは失敗した回数の方が多く、Jユース杯がPK戦で敗退したのも、当然の流れだったのかもしれない。
 失点を見ると、清水のサイドから崩された確率(左右計38%)と同点で、セットプレーがトップとなっている。一方、「セットプレー直接」の4失点のうち、PKによるものが3で、直接FKによる失点は1回だけに過ぎない。それもGKが前田だった時のもので(Jユース杯・柏戦(H))、シュートコースが限定された状況で、GK海人の牙城を崩す困難さが表れている。だからこそ、セットプレーにおける攻守の脆さは勿体ない。レギュラーで180cm級の選手が阿部しかいないこと、結果重視のトップと違い、パターン練習をあまりしないことなど、仕方のない面もあるのだが、昨年から対戦が増えた高校勢は豊富なセットプレーのパターンを持ち、またクラブユースでも関東勢を中心にこれを得意とするチームも増えており、今後の強化が必要だろう。


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ひかる。 @H.P. [MAIL]

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