風紋 もくじ / この前 / この後
良い方向に向かってきた、という感じも、少し得ることのできた日。 今、低空飛行の状態だからといって、ずっとそのまま低空飛行しっぱなしというわけではないから、と言われた。いつか上がって行くときもあるから、と。びっくりした。嬉しくて思わず泣きそうになった(寸前で止めた)。今、すごく悪い状態であるのは自分でもわかっていた。ずっとこのままで、ずっと希望などないだろうし、絶対抜け出せないに違いないと無意識のうちに思っていた。そうは言っても、実際はもしかするとずっと抜け出せなくて低空飛行しっぱなしなのかもしれないけれど。それならそれでもかまわない。希望がなくても、死にはしない。 ただ、ずっと研究をやっていくつもりなのだったら、今後のためにも、規則正しい生活をした方がいいとも言われた。夜はきちんと寝て、朝にきちんと起きるようにした方がいいと。考えてみたら、この状態になる前から、夜は2時や3時(場合によっては4時前後)に寝るのは当たり前だったし、朝に起きるのが遅くて、結局1日に2食しか取らない日も多かったな…と。それでも何とかやっていっていたけれど…。 ふと、2月〜3月に考えていたことを思い出す。4月になったらやってみたいと思っていたことが、たくさんあったなぁと。あんな研究もしてみたかったし、こんな研究もしてみたかったなぁ。あの分野に関する知識も、もう少し論文を集めて深めたかったなぁ。いろいろ希望を持って考えていたなぁ…と。それなのに、何がどうしてこんな状態になってしまったのかと悲しくなった。何にもしたくなくなって、する気も起こらなくて、でもしなければならないという圧力(と私には感じられるところのもの)があって、それに苦しめられているような状態。それは単なる甘えなのだろうけれど。今からでも何かできるかな…と思う。それは、当初考えていたものとは多少形は変わってしまうかもしれない。迂回することになってしまうかもしれない。あんまりスマートな形にはならないだろう。けれど、今の私なりに、できることが、何かあるだろうか。したい。1つでもいいから。 “流れに流されるのでなく、自分で流れを作っていく姿勢を持ちなさい”と言われたことがある。今の私の場合、流れをつくるどころか、溺れかけているような気がする。せめて私の人生の主人公は私でありたいと思う。 夜、電車に乗って、周りを見回すと、携帯電話で喋っている中年の男性が2人ほど、携帯の画面を見つめている男性・女性が3人ほど居た(たぶんメールを交換している)。もし、この世に携帯電話がなかったとしたら、今この瞬間に私が見ている風景は、どんな風景になっているのだろうと思った。想像できなかった。 携帯電話は、とても便利で、暖かくて、優しくて、でも少し寂しいツールだと思った。あるいは、とても安心できるけれど、とても不安なツールだ、とも言えるか…。
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