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風紋 もくじ / この前 / この後
今日は何をして過ごしたんだろう。何にもしていないような気がする。いや、何にもしていないなんてことはないはずなんだけれどな。しなければならないことを放ったらかしにして、南向きの部屋でお日さまの光を浴びながら、ひたすらぼーっとしていた。餃子を作ったりもしたけれど。ちょっとだけ楽団の練習に顔を出したりもしたけれど。 気が付いたら、引っ越してから2ヶ月が過ぎようとしていた。もう2ヶ月とも思うし、やっと2ヶ月とも思う。相変わらず、今の家には、まだ馴染めない感じがする。ホテルに長期滞在しているような気分で過ごしているような気がする。でも今はここが私の家ではある。 家具や電化製品の中には新しく買い換えたものもあるし、綺麗で便利な暮らしにはなった。けれど、時々、前の家の、立て付けの悪かったドアや、調子のおかしかった電子レンジ(出来上がっても「チン」という音がしなかったのだ。2〜3分後に思い出したように「チン」という音がして、随分笑ったものだった)のことなどを思い出す。思い出しても、もはや還ることはできないのだったら、思い出すべきではないのかもしれないけれど。 昨日、とある書類に住所を書く時に、ついうっかり前の住所を書こうとしてしまった。そういえば、今の住所宛ての郵便物を受け取った時も、少し変な気持ちになる。といっても、前の住所宛ての郵便物(転送されてきた)を受け取った時も、もう私の住所はこれじゃないのねと思って寂しくなるのだけれど。 ある程度時間が経つのを待つしかないのかなと思う。 どこからか、ティーポット(というか底の丸い急須かも)が見つかったので、葉っぱから紅茶を淹れてみた。最近自分で買ったり、いただいた葉っぱもあるのだけれど、何となく勿体なかったので、台所にたまたまあった葉っぱ(ダージリンと書かれてはいた)で試してみた。淹れ方は正しかったのかどうかよくわからない。葉の量とお湯の量が果たしてあれで良かったのかどうか。でも美味しかった。美味しいと思ったから、正しくても正しくなくても別にいいやと思ったりする(いいの?)。 先日の演奏会に来てくれた友人から、煎茶の葉っぱをいただいた。小さいけれど可愛らしい茶筒に入っていた。友人は、私がお茶に興味を持っていることを知らなかったのだけれど、素敵な偶然がとても嬉しかった。…勿体無くてまだいただいていないのだけれど。 1日中、音楽を聴いていた。最近、家に居る時間が短いのと、音楽を聴きながら作業ができない性格であることもあって、あまりゆっくり音楽を聴くことがなかったのだけれど。 せっかくなので、今聴いている音楽を書く。 交響曲第1番 ト短調/カリンニコフ作曲 (Symphony No.1 in G minor / Vasily Sergeyevich Kalinnikow) (演奏:Royal Scottish National Orchestra / Neeme Jarvi) 初めて聴いた時から、この曲いいなぁと思った。どの楽章も好きなのだけれど、第1楽章が好き。最初に感じたのは寂しさと寒さ。冬の荒野で迷子になっているような寂しさ。それでいて、切実に訴えかけてくる力を持っていて、自分の心の中のどこかにある寂しい部分を掴まれたような気がした。全ては第4楽章で昇華するように思えるのだけれど。寂しさを強さに変えて、爽やかに飛翔できるような。 あんまり上手く説明できてない。ごめんなさい。 明日は、明日も、良い日でありますようにと思う。あなたにとっても、私にとっても。
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