風紋

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2002年11月06日(水) 秋 / 手帳を買った / 戻りたい / 音楽

悩ましい連休だった。


とても良い天気。きれいな空。なんだか、嬉しいような寂しいような複雑な気分になった。嬉しさは、これからこの1日に何が起こるのだろうという期待。寂しさは…よくわからない。

吉原幸子さんの「疎開の秋」という詩を思い出していた。


「うすいわらぢに 石ころや枯枝をふみながら
裏山で木の実をひろった 遠い秋

河も澄んでゐた 遠い秋

桑畑のなかを 帰ってくると
壁も光ってゐた 遠い秋

お芋の 白い切り口を
たくさんならべて干した屋根 その下に
うどんを茹でてる うすい煙

母と わたしと 幼い二人と
うどんをたべてた 遠い秋

うすい煙よ 消えないでおくれ
いつまでも あのときの ぬれ縁に
背なかまるめて日向ぼっこしてておくれ
なつかしい人のかげ

いつまでも
わたしが 幻の桑畑を
帰ってゆくたび」
              (「幼年連祷」より)


今日は大安だったので、来年の手帳を買った。今年と昨年と同じ種類の手帳を使っている。青・赤・白・黒の4色がある。昨年の手帳を選ぶ時は、一昨年が何かと散々な年だったので、次はいい年になればいいと思い、赤を選んだ。今年の手帳を選ぶ時は、同じ色は避けたいが、あまり暗い色にする気も起こらず、消去法で白を選んだ。で、今日、来年の手帳を選んだのだが、どうしても青か黒にする気が起きなくて、また赤を選んだ。いい年になればいいなと思う。いい年になるかどうかは自分次第でもあるのだけれど。だからいい年をつくっていければいいと思う。せめて大きな禍が起こらなければいい。願わくば、少しでも明るい気持ちでいる時間が長ければいい。…と思って、赤。

こう書くと、手帳選びにすごく気合いを入れていそうな感じだが、実は私はあまり手帳を使う方ではない。だいたいの予定は頭の中に入れている感じで、予定が入ったら手帳に書くという癖がない。いいことなのか悪いことなのかよくわからないけれど。


前の家に戻りたいなぁ、と思った。そう思ったきっかけになることはないでもないのだが。

言っても仕方のないことだとは思うけれど。

前の家に戻りたいなぁ。

そう思うと、何の脈絡もなく、数年前に別れてしまってもう二度と会えなくなってしまった友達に会いたいなぁとも思って。でもどちらも今はかなわない願い。

なぜ、それが大切だったと気がつくのは失った後なのだろう。そして今、私は、どれだけの大切なものを、大切だと気がつかないままでいるのだろう。


今、聴いている音楽:「スター・ウォーズ」より“王座の間”と“エンドタイトル”
…実は映画の方を見たことがないので、どんな場面でどのように使われる音楽なのか知らないのだが、勇ましさや強さの中に、寂しさや切なさが同居している…ような気がするのは、私がこんな気分で聴いているからだろうか。


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浜梨 |MAIL“そよ風”(メモ程度のものを書くところ)“風向計”(はてなダイアリー。趣味、生活、その他)