蜜白玉のひとりごと
もくじかこみらい


2013年04月17日(水) アルデバラン

月曜日、めずらしく早く帰ってきた夫と近所でラーメンを食べて帰る道すがら、暮れた空を見上げると、彫刻刀でひとすじ引っ掻いたような細い月が目に入った。月を見て、昼間読んだツイートを思い出す。

「今夜、明るく輝く木星と細い月、さらに、おうし座の赤い星アルデバランが並びます。―tenki.jp」

細い月は見える。近くのひときわ明るい星を木星とするなら、アルデバランはどこだ?赤い、赤い。ねえねえ、アルデバランってどれだかわかる?と夫に問えば、おうし座の?と返ってきた。アルデバランが星の名前で、しかもそれがおうし座だって、なんで知ってるのそんなこと?

夫の雑学王っぷり(少なくとも私よりは物知り)は、マンガやアニメから得た知識が多いというから驚きだ。それを聞いてから、自分が小さい頃に漫画を禁止されていたことをつくづく残念に思う。そのせいで、わりと大きくなるまでマンガをどこか一段下に見ていたことも恥ずかしく思う。

そういえば、ここのところ3日とあけずに聴いているサカナクションのアルバム『サカナクション』は、聴きこむほどにどんどん表情を変える気がして、とてもおもしろい。その中に「アルデバラン」という曲がある。星の歌には聞こえなかったから何の歌かと思って歌詞を確かめると、猫の歌だった。

その夜の空のアルデバランは、細い月よりも木星よりもさらに低い位置で赤く鈍く光っていた。家までの道を少し歩いては建物が途切れて空が広がるたびに立ち止まり、あれがアルデバランだよね?と何度ものその名前を口にした。全天21の1等星のうちのひとつ、おうし座で最も明るい恒星、アルデバラン。覚えた、おうし座だし。


2013年04月10日(水) ひざが痛いスパイなんて

たしか3月16日に開花した今年のソメイヨシノは、早い早いと言われ続けて、それでも2週間くらいはもった気がする。そのうち八重桜も咲きだして、町のあちらこちらに濃淡のピンク色のかたまりを見た。春先の天気は不安定だから、開花中には何度も大風が吹き雨が降って、そのたびに花びらやガクはどっさりと道に落ちた。それらは通行人に踏み固められて、晴れた日には塩漬けのような匂いを放っていた。

花見らしい花見はしなかったものの、通勤途中にも桜の木はたくさんあって、とくに今年は満開のソメイヨシノの姿にそわっとするような妖艶さを感じ、あまり長いこと眺めていると惚けてしまいそうだった。桜はチラ見するくらいがちょうどいいのかもしれない。花見といっても実際の花見は花なんてそれほど見ていなくて、食べて飲んでしゃべっているだけだから。

桜の時期は気忙しく、そうは言っても進学も就職も転勤もないのに、周りに飲まれてなんとなくそわそわしていた。4月になって目にする景色がピンク色から明るい緑色に変わって、やっと落ち着いてきたようだ。

小さな変化があるとすれば、4月から仕事帰りにときどき泳ぎにいっている。隣りの駅にある区のプールで、小1時間ゆっくり泳いだり歩いたりする。泳ぎはじめたいちばんの理由は原因不明のひざ痛改善のためで、こんなことを言うとまるでおばあさんみたいだけれど、本当に痛いんだから仕方ない。

ひざが痛いと日常生活の何気ない動きに困る。階段の上り下りはもちろん、ちょっとしゃがんだりとか、信号が点滅している横断歩道で小走りとか、そういうのが全部痛い。最初は左ひざの痛みだけだったのが、変にかばっていたのかそのうち右ひざも痛くなってきて、ついには両ひざともサポーターを買ってしまった。エエイ!

プール通いをがんばるのに少し早い誕生日プレゼントとして夫からいいものをもらった。水中で使えるウォークマン!耳に引っ掛けるところだけしかなくて、すべて耳元で操作する。その動きがちょっとしたスパイのようでもある。ひざが痛いスパイなんて・・・もうこれ以上ひざ痛について語るまい。


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