蜜白玉のひとりごと
もくじかこみらい


2013年03月28日(木) 低カロリー

春雨みたい、と言ったら、何を言ってるのかわからない、と返された。そりゃそうだ、思いついた言葉をそのまま口に出したから。聴いて感じたいときは、目をつぶる。音は耳からいったん心臓に届いてそれから頭に突き抜ける。そのとき言葉が浮かぶこともあれば、つかみどころのない感覚のままのこともある。そんな風に、夜中にそこそこの音量でサカナクションのミュージック(ドラマ「dinner」のエンディングテーマ)を聴いていた。

春雨って、つまりはカロリーが低そう、というところから来たんだけれど。熱量が少ないというか、体温が低そうという感じもある。そぎ落とされて、さらさらしている。

翌朝はこれを聴きながら通勤したら、えらく早歩きになった。35分の道のりがいつもより5、6分早く着いた。消費カロリーは高そうだ。


2013年03月27日(水) もうすぐ10年目のバカ夫婦

今期(1−3月)はよくドラマを見た。見たと言っても3つだけれど、普段はほとんど見ないから、初回あたりから最終回まで気に入って見続けたのが3つもあるなんて近年にない大収穫だ。木曜日の「最高の離婚」と土曜日の「泣くな、はらちゃん」と日曜日の「dinner」の3つ。どれも先週で終ってしまった。終っちゃって少しさびしいなんて、まあ。

「糸ちゃん(カーネーションのこと)」以来好きな尾野真千子が出ている「最高の離婚」は、友人のススメもあって3回目くらいから見た。もっと早くチェックするべきだった!と口惜しい気がするほどにおもしろかった。長い台詞、込み入ったあるいは深刻な状況のはずなのに最終的にはプッと笑ってしまう展開。最終回なんて特に、染み入りすぎてどうしようかと思うくらい。中野区役所へ婚姻届を出しに行ったときのことを思い出した。ちょうど桜の時期で、手続きが済んで区役所の建物から外へ出たら、思わず、夫婦だー!と叫んで走り出したことを。すかさずタクシーにピッてされた、とんだバカ夫婦だ。

「はらちゃん」は「時効警察」以来好きな麻生久美子見たさに初回から。回を重ねるごとにどうするつもりなんだろう、という行き詰った感じがあったような気がするけれど、まあ話を作るのは私ではないので、ぼんやり見ている分にはいい。期待していなかった忽那汐里が意外とよかったのと、劇中歌(オープニングでもあったのか)がおもしろく、いまだに口ずさむ。

♪せかいじゅうのてきにこうさんさ たたかういしはない
♪せかいじゅうのひとのしあわせを いのります

(中略)

♪だからおねがい かかわらないで そっとしといてくださいな
♪だからおねがい かかわらないで わたしのことはほっといて

同じメロディーで違う歌詞もある。

♪こいのうたとかきらいなんだよね どれもみなおなじ
♪こいのうたとかきらいなんだよね わからない

(中略)

♪でもこいをした でもかたおもい あなたのことしかうたえない
♪でもこいをした でもかたおもい そんなじぶんにわらう

どっちもいい。いいな。

「dinner」はたまたま見かけて、イタリアンレストランの厨房の活気と江口洋介のふざけた感じが気に入ったから。そしてエンディングのサカナクションにもはまってしまった。なんですか?サカナクションて。CD買ってしまった。知らないのは私だけ?


2013年03月02日(土) 今年読んだ本◇17冊目〜20冊目

今年読んだ本の17冊目から。


◇17冊目:沢村貞子(さわむら・さだこ)著『わたしの献立日記』新潮文庫

品川駅PAPER WALLにて購入。沢村さんが二十数年間、日々の献立を大学ノートに記した献立日記の一部を紹介したもの。無地の大学ノートに線を引いて4つに区切って、はじめは夜ごはんだけ、そのうち朝ごはんも記すようになり、天気とか気温とか、少しずつ項目が増えていく。献立の合間には短いエッセイもある。数年前に、図書館で借りて読んだ記憶がある。昨年フードスタイリストの高橋みどりさんが『沢村貞子の献立日記』という本を書かれたこともあり、本書もよく見かけるようになった。簡潔で実用的だけれど、こまやかな配慮や温もりを感じる。それにしてもよく続くなあ、とひとりごとがもれる。「一度決めたことだから」という沢村さんの声が聞こえてきそう。


◇18冊目:中島京子(なかじま・きょうこ)著『のろのろ歩け』文藝春秋

これも品川駅PAPER WALLにて。ついつい買いたくなる本屋さんてうれしい半面こまったものだ。応援しているからいいのだけれど。本書はそれぞれ北京、台湾、上海が舞台の中篇3つからなる。「北京の春の白い服」の主人公・夏美は女性ファッション誌のベテラン編集者で、おそらく著者自身をモデルにしているのだろう。業界をよく知っているから、夏美や周囲のスタッフの言動も現実に即しているに違いない。中島さんのことだから、ただ過去の経験をなぞっているだけでは終わらないよね、と思いながら読み進むと、物語の最後には鮮やかなどんでん返しと敗北感、そのあとに少し遅れてやって来るすがすがしい爽快感、そして異文化の受容?だろうか。軽やかで小気味よい。ああ、すばらしい。


◇19冊目:山崎洋子(やまざき・ようこ)著『沢村貞子という人』新潮社

沢村貞子関連を図書館でどっさり借りる。著者の山崎さんは長年沢村さんのマネージャーを務め、沢村さんが女優を引退してからもずっと沢村さんのそばにいて最期を看取った方だ。沢村さんが書かれた本を読むのとはまた違う角度から、沢村さんを見ることのできた貴重な一冊。いろいろ調べているとその後、山崎さんは西麻布に秋田料理のお店を開いたようで、それは偶然先日テレビで見た「鹿角」だというから驚く。荒川静香さんとぐっさんがモリモリ食べていたあのお店ね。たどり着くべくしてたどり着いた感がある。勝手にだけれど。


◇20冊目:沢村貞子(さわむら・さだこ)著『老いの道づれ―二人で歩いた五十年』岩波書店

これもどっさり借りたうちの1冊。全篇、悲しい。亡くなったご主人の大橋恭彦さんに語りかけるようにして書かれている。山崎さんの本によれば、これを書いた頃は沢村さんは体調を崩していて、入退院もあり、なんとか書き上げたものだという。それを知ってから読んでよかった。知らなかったらめそめそしてつまらないとだけ思って終わってしまったかもしれない。夫婦とは何か。我が家の考え方に少しだけ似ている。結婚記念日を前に読んだのも何かの縁。


2013年03月01日(金) 今年読んだ本◇10冊目〜16冊目

今年読んだ本について、10冊目からキリのいいところまで。


◇10冊目と11冊目:おおのやよい 絵と文『にわのともだち』『じょうろさん』偕成社

9冊目『夏のクリスマスローズ』からの流れで大野八生さんの絵本を読む。2冊とも図書館で予約して借りる。まさに、庭と庭仕事の“あるある”話で、あっさりと見逃してしまいそうな小さな生き物たちの暮らしが楽しそうに描かれている。人間は庭作りを通して、その小さき者の世界にお邪魔させてもらっているのだな。


◇12冊目:いしいしんじ著『いしいしんじのごはん日記』新潮文庫

これは古本屋さんにて。いしいさんが三崎に引っ越してからのごはん(特に、魚!)のそれはそれはおいしそうなことと言ったら。たしか体が弱いとおっしゃっていたはずなのに、日記に書かれている日常生活は移動距離も長いし、夜遅くまでお酒も召し上がるし、なんだかんだ結構疲れそう。


◇13冊目:井上荒野(いのうえ・あれの)著『夜をぶっとばせ』朝日新聞出版

忘れたころにやってくる図書館の予約本。待ち時間が長いと、予約したときの読みたい気持ちは順番が回ってきたときにはもう薄れていて、だからぜいたくを言えば、読みたい本は読みたいと思ったときに全部買いたい。ああ、すごいぜいたく。で、感想は、またもや時間が経ってしまい忘れたけれど、勢いで一気に読めたからおもしろかったはず。でも再読はないという印象がぼんやりと残っている。井上さんの作品で好きなのはやっぱり『静子の日常』や『雉猫心中』に変わりなし。


◇14冊目:穂村弘(ほむら・ひろし)著『君がいない夜のごはん』NHK出版

これも古本屋さんにて購入。穂村さんはほんとうにおもしろい。視点がおもしろい。イケてない自分をそんなにさらけ出してだいじょうぶですか?と心配になるけれど、エッセイのおもしろさのツボはそこだよね。読み終えて母に貸したら、母もいたくお気に入り。


◇15冊目:森見登美彦(もりみ・とみひこ)著『美女と竹林』光文社

図書館で借りる。森見さんの著書は初。タイトルはたくさん目にしているけれど、なぜか今まで一度も読んだことがない。嫌いとか避けているとかではない。最初に読むのがこれでいいのかわからない。たまたま棚で目についたからこれになった。一事が万事こんな調子で人を煙に巻くのだろうか。苦笑するおもしろさ。『夜は短し歩けよ乙女』がじゃんじゃん売れていたのっていつだったか。じゃんじゃん売れているものにはすぐ飛びつかないとか言っていたら、ずいぶん時が過ぎたようだ。だからハリーポッターも読まないでいたらすごい増えてるし。


◇16冊目:角田光代(かくた・みつよ)著『よなかの散歩』オレンジページ

図書館にて、返却本を並べたブックトラックをつらつら眺めていて見つける。角田さんのエッセイは何を読んでも楽しい。友達とおしゃべりをしているよう。夜寝る前に1、2個読むひとときの幸せなことよ。


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