蜜白玉のひとりごと
もくじかこみらい


2012年11月30日(金) 愛、もしくは執着

あなたはKindle?iPad?それとも、なんとかリーダー?・・・スマホでもできるの?

カッコよく問いかけてみたもののあまりわかっていない。なんだかいろいろあるけれど、携帯電話すらいまだにパカパカするガラパゴス携帯を愛用しているのだから、まあしばらくは仕事以外で電子書籍を買うことはないだろうなとふんでいる。

そうは言っても、電子書籍は分野によってはものすごく便利だ。学術論文は電子化当り前だし、電子化されていないものは読まれない可能性が大きい。内容の良し悪しや重要度に関係なく、ちょっと乱暴な言い方かもしれないけれど、アクセスしにくいという時点で負けである。この頃の学生は以前のように大学の地下書庫に文献を探しに行くということをしないばかりか、そこに文献がたくさんあるということすら知らないらしい。彼らにとってはパソコンで見られないものは存在しないのも同然。これに似た話を最近立て続けに耳にして、はじめは驚いたものの、そのうち無理もないと思うようになった。その学生さんには親切に教えてあげるとして、学術論文は古いものも含めて電子化できるならした方がよいだろう。がんばれ、誰か(主に版元)。遠慮はいらない。

そのほか電子化されて便利なものに、辞書・事典のように場所をとるくせして必要なのはごく一部というものや、頻繁に内容が更新されて何度も買いなおさなければならないものがある。あとは鮮明な画像を見たい研究書、専門書の類か。拡大できるし色褪せない。漫画という声も聞く。私自身はあまり漫画を読まないので、この辺の切実な感覚はわからない。

あとのものは好みだ。小説やエッセイを字面だけ追うのであれば電子書籍でもいいし、たくさん持ち歩くならそっちの方が軽くていいかもしれない。反対に、装丁を含めて本のたたずまいそのものを楽しむのであれば、引き続き紙の本を買えばいい。本の中に何が書かれていたかと同じくらい、その本の大きさとか色とか手ざわりとかも大切な情報で、どちらも合わせて記憶に残る。

私はこれからも本屋さんで本を買う。ここ数年で買い方に変化があるとすれば、自分の好きな本屋さんや古本屋さんは応援しないとなくなってしまう気がして、意識してなるべく通ってそこで買うようになったことくらい。さすがに見つからないときはアマゾンを使うし、図書館ついでにブックオフもひやかすけれど。

よって、クリスマスプレゼントはKindleじゃなくて図書カードがいい。やっぱりそれくらい本が好きなのだ。もうこれは愛だな、愛。執着ともいう。


2012年11月29日(木) かぎ針編みの行方

朝から強烈なめまい。ときどきベッドから起き上がるのを失敗するとこうなる。起立性ナントカ、というのだけれど忘れた。体温調節もなんかおかしい。暖房すれば暑いし、そうかと思って暖房を控え目にして服着たら着たで肩がこるし、いずれにしても指先なんて冷凍庫でひやしたようにつめたい(そのくせしっとり汗ばんでいる)。ああ、完全なる自律神経失調のかたち。はちみつ生姜とか湯たんぽとかヨガとか、おなじみの対策をあれこれ講じてはみても、ここ2、3日の急激な冷え込みにはからだも追いつかない。今年はしつこい残暑のあとに秋らしい秋もないまま、かけ足で冬になってしまった。そう思って順応性がないのを気候のせいにして、それとも実は歳のせいか。

せまりくる年末に予定はあるようなないようなで気もそぞろ。やりたいこと、やらなければならないこと、挙げればキリがないができる分量は限られている。まずは年賀状だ。いや大掃除か。でも大掃除ではくたびれるから心意気としては中掃除くらいか。

本もときどき読んでいるが、それよりこの頃すっかり夢中なのがひさしぶりのかぎ針編みだ。石田千『きなりの雲』の主人公が編み物をしていて、こまごまと手を動かす感じがなつかしく、衣装ケースの奥にしまいこんでいた毛糸とかぎ針をひっぱり出してきた。ずいぶん前に何か作ろうと思って買ったままになっていた茶色とベージュの毛糸でとりあえずスヌードを編んでいる。スヌードというと聞こえがいいけれど、つまりはマフラーを編んで適当な長さになったら端と端をくっつけて輪にするだけだ。毎晩、ひと模様8段でちょうど眠気が襲ってくる。平日は寝る前くらいしか編む時間がないのだからそこでがんばらないと進まないのに、ひと模様がやっと。夜は短い。

これまでのところ編み物はかぎ針編みしかできない。何度か棒針編みにも挑戦したけれど、まったく棒針編みの楽しさがわからない。棒針が滑るのと手の動きがいまいち楽しくないのとでイライラしてきて、どうしても途中で放り投げてしまうのだ。別に生活に困るわけではないし、この頃はかぎ針編みだけでいいと開き直っている。ただ、かぎ針はレースみたいな続き模様や、花のような円形モチーフを編むことはできても、図柄を編みこむことはできない。・・・はずだった。私はそう思っていた。それがなんと、かぎ針でもまるで棒針で編んだような柄や立体の模様までも(?)できるらしいということを遅ればせながらこの冬初めて知った。どうして今まで知らなかったか、その類の本に出会わなかったのか不思議でならない。本を見る限りでは、北欧の伝統的な編み方のようだ。編み目が正方形になるから、刺繍のクロスステッチの図案をかぎ針編みに応用することもできるかもしれない。すごい!これでどんな図でも編める(やればだけど)。鳥とか、鳥とか、鳥とか。つまりは鳥の図柄が編みたいのだ。

参考
『かぎ針で編む 伝統柄のあみこみこもの』 文化出版局 2011


2012年11月28日(水) 落ち葉の競走

朝、吹きつける強い北風に背を丸めて歩く頭上から、木の葉が勢いよく舞い落ちる。次から次へと降ってくる。落ち葉は地面に到着するや否や、今度はいちもくさんに道路を走る。たくさんの黄色や茶色が、車と競い合うように同じ方向へと駆けていく。勢い余ってときどき浮き上がっては、また前に進む。切るように冷たい空気の中、色とりどりの葉が朝日に照らされて、そこだけ何やらとても楽しそうだ。笑い声さえ聞こえてきそうな気がした。


2012年11月10日(土) オーブン活躍

寒くなってくるとオーブンを使う機会が増える。台所で料理をすると家のなかの空気が暖まるせいか、ほかの季節よりも頻繁にグラタンやケーキやマフィンを焼く。オーブンの扉ぎりぎりに顔を近づけて(あぶない!よい子はまねをしてはいけません)、溶けていくチーズやふくらんでいく生地をじっと見る。材料を合わせる時間よりも、それらの行く先を見守っているこの時間が何より心躍る楽しいひとときだ。

もうひとつワクワクする瞬間といえば、卵と砂糖をハンドミキサーで泡立てる時で、もうこの頃は泡だて器を使うのはきめを整える最初と最後だけで、中間はハンドミキサーでブイーンとやってしまうのだけれど、これがまたどうなるか知っているにも関わらず毎回おもしろい。それはもう、もしかしたら表面を歩けるんじゃないかと思うくらいにふわっふわで、直前の卵と砂糖のおもかげはそこにはない。

よく作るのはいつも簡単なものばかりで、カトルカール(いわゆるパウンドケーキ)。これはそのときあるものを入れたりもする。熟して皮が黒くなったバナナとか、ココアパウダーとか、プルーンとか。それからもうひとつよく作るのは、アントネッロさんのアーモンドとリンゴのケーキ。テレビで見てからというもの、リンゴの季節には特にお気に入りのレシピだ。我が家ではこれにホイップクリームを添えて食べる。ホイップクリームはMeijiのデザートホイップを愛用していて、ちょっと使うにはこれで十分。


アーモンドとリンゴのケーキのレシピです〜「トスカーナで山暮らし・バッボとマンマとユキちゃんと」

〜奥村千穂フィレンツェ田舎生活便り2より


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