蜜白玉のひとりごと
もくじかこみらい


2010年06月24日(木) 借りぐらしの彼ら

平日に休むと家事がはかどる。春から勤務形態が少し変わったせいで、ときどき平日に休みがある。そのたびに外へフラフラ出かけていてはすぐにお金がなくなってしまうので、その日はたっぷりある時間を使ってみっちり家事をすることにしている。

今はとにかく要らない物をじゃんじゃん処分している。もともと物を分類したりするのは得意な方なので、「3年着てない服は捨て!」などといったん決めてしまえば、仕事は早い。「もったいない」とか「また使う時が来るかも」とかいろいろ邪念が浮かんでは来るものの、妹から教えてもらった『断捨離』の勢いも手伝って、今のところすこぶるはかどっている。

物のいる・いらないを分けているうちに、しぜんと自分自身のことがよくわかってくる。のちのち捨てることになりそうな物は買わなくなるし、持ち込まなくなる。家の中の物が減って全体を把握できるようになると気持ちが落ち着いてくる。掃除もしやすい。滞り淀んでいたものが徐々に動き流れていくようだ。手をかけた分、家に愛着がわく。

こうして生活の新陳代謝が活発になったせいか、今度は郵便受けに“いいこと”が転がりこんできた。今夏のスタジオジブリの新作『借りぐらしのアリエッティ』の完成披露試写会(7月1日:国際フォーラム)が当たった。申し込んだことすら忘れていて、調べなおしたら25組50名様招待という狭き門だった。この完成披露試写会は全国でどこよりも早く見られるらしい。やった!なんだかものすごいものを当ててしまった。これで今年の運を全部使い切ったかもしれない。

ずっとずっと前、小学校の図書室で岩波少年文庫を借りた瞬間がここまでつながっていると思うと、不思議な気さえする。ちょっと考え過ぎか。でも『床下の小人たち』はその頃から好きな本だ。借りて気に入ってそのあと買ってもらって今も実家にある。今も昔もとにかく小人の話には目がない。もし我が家に借りぐらしの人たちがいたら、私がじゃんじゃん物を捨てるせいで、彼らは迷惑しているかもしれない。

試写会には相方と一緒に行くことにした。相方とは(結婚する前も含めて)まだ一度もふたりして映画を見に行ったことがないので、これが記念すべき初の「一緒に見た映画」になりそうだ。

映画の公開は7月17日。


2010年06月07日(月) 四角いケーキ

気温が上がってくると台所のバナナがすぐに黒くなる。我が家は朝ごはんに必ずバナナを食べるので、いつもバナナを買って置いておく。黒くなったバナナの熟したツンとする匂いが少し苦手で、食べられないことはないけれど、どちらかといえば歯ごたえがあって青臭いぐらいの方が好きだ。黒くなったバナナを3本持て余していたので、日曜日の朝、ものすごくひさしぶりにバナナのパウンドケーキを焼いた。それにしても3本使ったら多いので、1本は相方に食べてもらって、2本をケーキの材料に。

バナナはつぶしてレモン汁をかけておく。今回は黒糖梅酒「とろりんちょ」があったので、それも少し入れてみる(これは梅酒というよりはラム酒で、梅の香りがほとんどしないし、そのまま飲むには甘過ぎる)。あとは頼りにしているパウンドケーキの本にそって、手順を追っていく。この本、1冊まるごとパウンドケーキのことしか書いていない。はじめに、基本の作り方がとても詳しく載っていて、その後にはさまざまな味のパウンドケーキのレシピがある。たまたま図書館で見かけて借りて、そのあと自分で買いなおしたものだ。今はいちばんよく見る基本のページが取れてしまっている。

思い起こせば、子どもの頃は母が作るドライフルーツ入りの四角いケーキが好きだった。しっとりした生地、バターと小麦粉の重量感、ドライフルーツとかすかなお酒の甘い香り。他のお菓子に比べたら作り方もそれほど手間がかからず、今は思い立ったらすぐできる気軽さがいい。材料は、薄力粉、卵、バター、砂糖、と買い物をさぼっていなければいつも家にあるものばかり。あとはこれに好きなものを混ぜればいい。何もなければシンプルに焼いて、あとからジャムとか生クリームをつけて食べるのもおいしそう。

手間がかからないとは言え、お菓子作りは手早さが勝負だ。ボウルからはみ出しそうなくらいに空気を含んだ生地をちょうど型に入れようとしたとき、外出していた相方から電話がかかってきて(!)、少し空気が抜けてしまったけれど、それもご愛敬(電話に出なきゃよかったのか?それもかわいそうか)。オーブンで40分。焼きあがってもまだ午前10時前で、そんなに早起きしたわけでもないのに、なんだか得したような気分になった。

黒糖梅酒のせいか予想より甘く仕上がった。コーヒーよりも紅茶よりも断然、牛乳が合う。焼きたてはふわふわ、一日置いて味がなじんでしっとりした頃もおいしい。冷蔵庫で冷やしてもいい。


2010年06月01日(火) 立葵の咲く

職場に向かう途中、いつも通りがかる駐車場のすみっこに、立葵が咲いた。するすると茎が伸びてきた頃、そこに立葵があることに気づいた。丈高く伸びて花が咲いていればわかるけれど、花が終わって枯れたそのあとはどうしているのだろう。

実家の庭にも今年、立葵の苗を3つ植えた。植えた年は咲かないらしい。来年の初夏、庭の入口のすぐ横でゆらゆら揺れながらあっち向きこっち向き、楽しく咲くといい。

紫陽花がいよいよ存在感を増してきた。一方で、大好きな芍薬はそろそろ花屋さんからいなくなってしまいそうだ。5月はなにかと花屋さんに行く機会が多くて、そのたびに芍薬を混ぜて花束を作ってもらったり、数本だけ家に買って帰ったりした。芍薬もいろんな種類があるけれど、やっぱり花弁のまるい地味な姿のものが好きだ。固く閉じたつぼみの植物らしいいじらしさはもっと好きだ。子どもの頭みたいで、芍薬は咲く前がいちばんかわいい。

今週末は近くの川でホタル祭りがある。行きたいなとぼんやり思いつつも毎年行けなかったけれど、今年はやっと行けそうだ。ホタルを見るのはたぶん初めて、いや、2回目か。ずっと小さい頃、見たような見なかったような。あの辺りにホタルなんているのだろうか。イベント用にどこかから連れてきて放すのかもしれない。


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