蜜白玉のひとりごと
もくじかこみらい


2005年05月31日(火) 雨あがる

沈んだあとにはあっけらかんと浮上する。沈まないように変な力を使うより、思いきって一度沈んでしまえば、ふ〜っと浮かんでくるものかもしれない。

雨は一晩中降り続いて、翌日の昼にやっと上がる。雨の音が気になって午前3時くらいまで眠れなかった、と今朝の相方はひときわ眠たそうにする。こちらは全然気がつかずさっさと寝てしまったというのに。

この頃のまるは鳥かごから出すと、部屋の中を縦横無尽に飛びまわる。飛ぶスピードが速くなって、飛び方も自由自在だ。力が強くなり、つつかれる口ばしや食いこむ爪が痛い。あまり興奮しているときはぶつかりそうで危ないので捕まえて鳥かごへ戻す。でもまるはなかなか鳥かごに入りたがらないので、追いかけっこのようになる。

図書館で1冊返して2冊借りる。少しは本を読もう。


2005年05月30日(月) 雨の月曜日

ねえ このごろ
なにかたりないとおもわない?

そう たとえば

つよさ?
ううん、よわくたって
ふたりでいればへいき

おかね?
ちがうよ、でもあるにこしたことないけどね

しんねん
そう、それそれ
こころにしっかりおもいえがいて
ゆるがないこと

なにがあってもゆるがない
こころないことばにも ゆるがない


-------------------------キ--リ--ト--リ--セ--ン----------------------------


ふと思いついて書く。この頃、他人が何気なく放った言葉にぐさりとやられてしまうことが多い。思い出せば悔し涙さえ出てくる。その人も別に意地悪しようと言ったのではないだろうけれど(そう思いたい)、言われたこっちはショックを受ける。まさかそんなことを言われるなんて思いもしなかった、と。びしょびしょ降り続く雨が余計に憂鬱にさせる。もうすぐ6月だというのに肌寒く、足元から冷えてくる。


2005年05月22日(日) 風になれる日

注文していた自転車が届いたというので、自転車屋さんへ取りに行く。その自転車屋さんはうちから少し離れたところにあるので、電車に乗って行く。ひと足先に自転車で到着していた相方と合流して、お店へ。私のかわいい自転車はすでにきちんと組み立てられて、持ち主が来るのをおとなしく待っていた。グレイのフレームに白いロゴ、サドルとハンドルは黒。シンプルで美しい。

ギアの付いた自転車に乗るのは初めて、サドルがハンドルより高い位置にある(つまり前傾姿勢になる)自転車に乗るのも初めてだ。よく見ればタイヤも細い。こんなので転ばないのかと不安になりつつ、おっかなびっくりでこいでみる。乗ってみればおもしろいほど軽く、すいすいとよく進む。坂道の手前でギアチェンジに失敗し、早くもチェーンをはずしてしまう。もう壊した?!と動揺していると、相方があきれた顔でくるくるとなおしてくれた。自転車はかっこいいのに、乗り手の技術がさっぱり追いついていなくて恥ずかしい。風になれる日はまだ遠い。早いところ扱いに慣れたい。

これでふたりの趣味がプールと自転車になった。あとは村上春樹みたいに走ってしまえば、トライアスロンができることになる。でも実際にはとてもそんな体力はないし、第一、長距離走はふたりともとても苦手なのだ。走ろう!なんてことにはまずならない。プールで泳ぐのは楽でも、海となると波があったり塩水だったりで思うように泳げないだろうし、自転車は今でも激走するママチャリに追い抜かれる始末なのだから。


2005年05月21日(土) がんばる草花

お弁当も腕時計も携帯電話も忘れかけて家を出る。土曜出勤はどうも調子が狂う。金曜の夜に、明日は休みだ、と勘違いして一瞬でも気を抜いてしまうからか。

玄関脇のバラが咲き乱れている。昨年と比較にならないくらい花の数が多い。春先に気まぐれでやった肥料が効いたのかもしれない。

その他の植木鉢。アッツソウはピンクに続き白も開花。冬の間ずっとほったらかしにしてすっかり乾ききったところに、いつだったか液肥を薄めた水をやったら、小さな芽が出た。みるみるうちに葉が伸びて、ついに花が咲くまでに。わさわさと葉だけだったゼラニウムにもやっと花がつく。ハーブ3種はこの頃使わないので伸び放題。日当たりが少ない上に、水やりも忘れられがちな環境にもかかわらず、我が家の草花はよくがんばっている。


++きょうのうたひとつ++

薄青の日のはじまりの石畳 見送る女のワンピースふわり

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2005年05月19日(木) お風呂の時間

この頃は6時を過ぎてもまだ明るい。帰宅してまだ日のある暖かいうちに、まるを水浴びさせる。子どもを風呂に入れるようなものだ。

水浴び用の容器は深さ4〜5cmくらいの楕円の陶器で、以前は鳥かごの中に置いていたけれど、どうやってもえさの殻やフンが入ってしまう。汚くなった水では絶対に水浴びをしないので、今はあきらめて鳥かごの外で水浴びをさせている。

容器の3分の2くらいまで水を入れて、床やテーブルなどの広いところに置く。まるは私の手の上から容器の中を覗きこみ、水面をじっと見て何事かを確かめてから、容器のふちに立ってくちばしの先でピッピッと水を飛ばす。ついでにちょっと飲むときもある。それからしばらくは手と容器のふちを行ったり来たりする。そうしてさんざん逡巡したあと、唐突にボチャンと飛びこむ。身の丈の半分くらいまで水に浸かり、そこで羽をバサバサ動かしたり、体をぶるぶる振るわせたり、時には潜るような格好で頭を水につけたりもする。当然そこらじゅう水びたしになるし、こちらにも水がかかる。それでも派手に水浴びする様子はとても気持ちよさそうで、お腹もおでこもびしょ濡れになったまるは、いつもよりも幼く見える。


++きょうのうたひとつ++

君が待つ家をめざして早歩きともに歌うは電線の雀

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2005年05月18日(水) 三十一文字の効用

5月はPR誌「ちくま」をもらい損なう。「ちくま」の後ろのほうに歌人・穂村弘のコラムがあって、とても短いものだけれど毎月クスクス笑ってしまう。気に入って、穂村さんのエッセイを探して読む。『もうおうちへかえりましょう』『世界音痴』とも穂村さんのだめっぷりが光る。こんなにだめな俺、とわが身を嘆きつつ、でもどこかでそんな自分を愛し、また結果的に世界と自分との距離をバランスよく保っているように思える。読んでいて奇妙な安定感がある。

ちょっとした訳あって、短歌を作ってみようとする。思いついたのはいいけれど、今まで一度も作ったことがない上に、好んで読むこともなかったので、作ろうにも取っ掛かりが何もない。短歌ってどうやって作るんだ?五七五七七ならなんでもいいのか?あまりに知らなさ過ぎるので、穂村弘・東直子・沢田康彦『短歌があるじゃないか。: 一億人の短歌入門』を読む。

短歌は基本的に五七五七七の三十一文字。たったこれだけに全てを託す。少ない言葉にぎゅっと閉じ込められたイメージは、読まれた瞬間にパッと解き放たれるようだ。短歌はきっと声に出して読むのがいいと思う。三十一文字のリズムが頭の中をくるくる巡りだす。短歌がこんなにもいきいきとして自由なものだとは。

日に一首、作ってみようか。


++きょうのうたひとつ++

週半ば 葉裏をあおぎ苦笑い 一息に飲むトマトジュース

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最初に載せる歌がこれとは、なんだか疲れきったサラリーマンのようだけれど、この頃の日課として、メタセコイヤの大木の下でトマトジュースやら豆乳やら体に良さそうなものを飲んでから、職場の扉を開けることにしている。そのとき見上げる空の青と葉の緑に、知っているはずなのに毎朝はっと驚く。不思議なのは嫌いなはずのトマトジュースも外で飲むとおいしく感じるということ。


2005年05月13日(金) 私たちは本当によく似ている

連休がはるか昔のことのように思える金曜日、あれだけ遊んですっかりリフレッシュした気分になっていたのに、今日は泥のように体が重い。始業前にチョコラBBの栄養ドリンクを飲む。

今週は桜が咲く前のように肌寒い。ついにタートルネックのセーターを着る。足元はウールのハイソックス。まるで冬の格好。かろうじてコートだけはスプリングコート。

土日は友人の結婚式で札幌へ。札幌へ行くのは何年ぶりだろう。飛行機に乗るのでさえ相当ひさしぶりだ。結婚式は土曜日の夕方で、翌日は午後の飛行機で帰る。ぽっかりと空いた時間には、きっと様変わりしたであろう街でも眺めて歩こうか。

昨夜は相方と遅くまで話す。電気を消してふとんをかぶって、この頃ずっと頭の中をぐるぐる渦巻いていることについて話す。暗闇の中で言葉だけが行ったり来たりする。蛍光灯の下で話すよりも言葉がくっきりして、意味がその重さを増す。今まで口にしたことがなくても、お互いに似たようなことを考えていたみたいでおかしい。私たちは本当によく似ている。

さあ、どうやって生きていこうか。


2005年05月10日(火) まるは電車が好き

ふり返ること10日余り。

ゴールデンウィークはまず3連休ののち、5月2日はまるで登校日のように仕事へ行き、続いて6連休。前半は風邪で寝込む。のど、おなか、あたま、すべて痛い。昏々と眠る。相方が小さな土鍋で雑炊を作ってくれる。眠るうちにだるさが取れて、だんだん体が軽くなっていく。

後半、晴れて暇さえあれば自転車で代々木公園へ。ゴールデンウィークの公園はいつもより少しすいている。これだけ長い休みがあれば、人は代々木公園よりもっと遠いところへ行くのだろう。でも私たちはここが好きで、広い芝生でキャッチボールのようなことをする。

遊んでいるうちに27歳になる。今まで実年齢より上に見られ続けてきたけれど、そろそろ見た目と歳が一致する頃だと思う。夜はお寿司とケーキでお祝い。

帰省はそれぞれの実家に1泊ずつ。大勢でする食事は楽しく、子ども夫婦や孫が集まった中で、義父はとてもうれしそう。お刺身やカニをたくさんいただく。それはもうお正月のような豪華さだ。

帰省はまるも一緒で、小さめの鳥かごを風呂敷で包んで持ち歩く。移動中もあまり騒ぐことなく、電車が動いている間はおとなしくおやつの粟穂をつついて食べ、駅に停まるとチュンチュンさえずり始める。まるは電車が好きなのかもしれない。行った先々でも親戚にかわいがられご機嫌だ。ひとり餌も定着し、短距離だけれど飛べるようになって、ますます鳥らしくなる。まるを置いてわざとその場を離れようとすると、必死に飛んで追いかけてきては肩や頭に乗る。すっかり人間を信用している。

実家から帰ってきたら、ジャスミンは満開、バラはつぼみがふくらんで開花まであと一息というところ。翌日には1輪咲く。朱色の一重のバラは、バラ特有の仰々しさがなく、野の花にも似た素朴さが好きだ。出かける前に伸びすぎたジャスミンのつるを適当に切っておいたせいか、花の存在が際立っている。素人ながらなかなかいい剪定、とひとり壁一面のジャスミンとバラを見てほくそ笑む。


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