蜜白玉のひとりごと
もくじかこみらい


2004年11月30日(火) 閉館前にすべりこみ

角田光代『太陽と毒ぐも』読了。童話『太陽と北風』みたいなタイトルをつけたかったという作者。どのあたりが「太陽」で、どのあたりが「毒ぐも」なのかときどき考えながら読む。この場合、「毒ぐも」の「くも」は「蜘蛛」ではなくて「雲」らしい。

玉石混交の短編集。あーあ・・・。ものすごい徒労感、思わずため息をついてしまう。登場人物はほとんどが20〜30代の若者で、置かれた立場の違いこそあれ、そろいもそろってみんなひどく刹那的な生き方をしている。こんなにさびしい世の中だったっけ?と疑いたくなるほどだ。それとも私が知らないだけで、今時の若者はこんな空っぽな感じで生きているのだろうか(私は年齢のわりに古風というか古典的というか保守的なので、いわゆる今時の若者とはあまり縁がない。そのせいか知らないが、他人からは必ず実年齢よりも上に見られ、年齢不詳だの年を偽っているだの言われる)。

上るのは大変、落ちるのはあっという間。がんばっているつもりでもいつの間にかずるずる落ちていく。せめて、真っ逆さまに落っこちないように、踏みとどまる。

今日はごはんを作らなくていい。ときどきむしょうに食べたくなる「ねぎ焼きと焼きうどん」のセットを買って帰宅。マカディアをロックで飲む。パッと食べ終えて近所の図書館へ。7時の閉館前にすべりこみ、いそいでリクエストカードを書く。4冊お取り寄せ。それからざっと書架を見て3冊借りる。

テレビもつけず、音楽もかけず、しんと静かな部屋で寝ころがり、借りてきたばかりの本を読む。半分ほど読んだところで、台所にある真っ黒に熟したバナナを思い出し、カップケーキを焼く。バナナをつぶしてレモン汁をかけ、クリスマスプレザーブも少し加える。このクリスマスプレザーブ、焼き菓子に加えると驚くほどおいしくなる優れもの。お酒や果実のいい香りがする。クリスマスプレザーブはその名のとおりクリスマス期間にしか発売されないので、1年分見越して今のうちに買っておかなければならない。Ku:nelにも載っていたからか、売り切れの店もあって昨年よりも探すのに一苦労。運よくピーコックで見つけたのでごっそり買っておいた。

焼きあがるまでオーブンの前で島本理生『生まれる森』の続きを読んで待つ。香ばしいいい匂い。そろそろだ。

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2004年11月26日(金) 島へ渡る

職場の友達と軽く飲みに行く。ふたりして今日は焼酎の日と決める。芋がいい、米がいい、黒糖なんてのもあるよ、と言いながら食事も含めてじっくり考えオーダーする。

まず1杯目。私は山翡翠(やませみ・米・宮崎)、友人は鳥飼(とりかい・米・熊本)。乾杯をして自分のを飲み、すかさず交換してお互いのを味見。山翡翠はすっきりとした軽い味わい、鳥飼は米にしては思いのほか濃厚だ。焼酎の風味を壊さないように、もちろんふたりともロック。水割りやお湯割りではもったいない。氷がじわじわ解けるのを待って、少しずつだいじに飲む。

12月の人事異動に伴うドタバタ、誰かさんのあまりにひどい物忘れによるトバッチリ、そんなところから始まって、話題は次第に仕事以外へ移る。好きな場所で生きるということ、自由と孤独は一緒くたであるということ、一度島へ渡ったら戻れないかもしれないということ、結局は毎日を大切に生きるしかないということ。普段ならあまり口にしないであろう、そんなことをひとつひとつ楽しく語る。いい飲み友達をまたひとり見つけたと思う。彼女もなかなか筋金入りでかっこいい。

2杯目。彼女は瑞泉(ずいせん・泡盛・沖縄)、私は喜界島(きかいじま・黒糖・奄美諸島)。お互い、1杯目よりも南下する。瑞泉は既によく知った味。のどを通るときの開放感は沖縄の空と海を思い出す。一方、黒糖の焼酎は初めて飲む。ウィスキーのようにコクがあり、かすかに甘い香りがする。

金曜の夜だけあって、お店はだんだん混んでくる。そろそろラストオーダーです、店員は追い出しモードに入る。残っていた唐揚げをお腹におさめ、氷が解けて薄くなった焼酎をすいっと飲み干す。立ち上がるといい感じに酔っぱらっている。階段を下りるときには少し注意が必要な程度に。

外は嵐の前のように、強くなま温かい風が吹いている。駅の前で彼女と別れ、地下鉄に乗って帰る。すごく眠たい。


2004年11月24日(水) そのときはごめんなさい

名前を呼ばれて、はい、と振り向いたら、どうしたの?今日何かいいことでもあるの?それとも楽しいこと考えてたの?と続けざまに訊かれる。ううん別に、259・・・と数字を間違えないように入力してたところ。にこにこしてないけど。

笑っている自覚はないのに、笑っていると他人に指摘されたのはひさしぶりだ。おととい、あんなことを書いたからか。私はいったいどんな顔をして仕事をしているのだろう。夜、相方にこのことを話すと、笑っているように見えるのはきっと私がたれ目だからだ、という。だとしたら、いつもえへらえへらしてバカみたいじゃないか。でもまあ怒っているよりはましか。

買い物に行ったらにんにくの芽を見つけた。おいしそうだったので2束買う。魚コーナーではおいしそうなブリの切り身を見つけた。ずっとブリの照り焼きを作りたかったのでこれも迷わず買う。おかげで晩ごはんは「ブリの照り焼き」「豚肉とにんにくの芽の味噌炒め」とメインが2つになった。この頃、料理が楽しい。時間に追われずのんびり構えて、でも手際よく。作り方はあまり見ない。うろ覚えのレシピと勘と創意工夫。おいしくできたらなおのこと楽しい。失敗したらそのときはごめんなさい。


2004年11月23日(火) いちょう並木と名もない木

昨晩、案の定、相方は遅い晩ごはんを食べながら、野菜が多いね、と言った。ほうら、言うと思った。

朝、ひと通り家事を済ませて、自転車に乗って神宮外苑のいちょう並木を目指す。休日の神宮外苑は車両通行止めになって、ぐるり1周サイクリング道路に変わる。自転車の貸し出しやこどものための「乗り方教室」もやっている。車を気にせずぐんぐん自転車をこぐにはもってこいの場所だ。いつもはすいているサイクリング道路も、今日はいちょう並木やラグビーの試合目当てに来た人たちでごったがえしている。

ここは自転車専用道路です、歩行者の人は歩道を歩いてください、小さなお子さんが自転車に乗っていてたいへん危険です、歩道を歩いてください。係りのおじさんが繰り返し叫ぶけれど、誰も聞いちゃいない。ぶらぶら歩いたり、急に立ち止まって写真を撮ったり、地べたに座って焼き芋を食べたり、一方通行を逆送したり、歩行者に占領されたサイクリング道路はひどい無法地帯だ。

肝心のいちょう並木はまだところどころきみどり色で、全体にまだら模様だ。残念ながら黄金色のトンネルとまではいかない。今年の紅葉は少し遅いらしい。

並木から少し離れ、ベンチに座って遅いお昼ごはん。チキンフィレサンドをもくもくと食べる。風もないのに落ち葉がはらはら雪のように降ってきた。堂々としたいちょう並木もいいけれど、こっちの名もない木にも秋を感じる。

帰ってきて、カプチーノ(チョコレート&ナッツの香り)をいれて飲む。ほっぺたがぽーっと熱くなり、眠たいのでごろんと転がる。いつの間にか本当に寝てしまい、相方に、朝ですよー、と起こされた。

晩ごはんは、おでん。


2004年11月22日(月) 野菜ばっかりだ

もう新しいKu:nelが出ている。2ヶ月があっという間だ。今回は「ミシン」とか「おでん」とか「絵本」とか、またまた好きなものばかりだ。もちろん川上弘美の短編も、江國香織姉妹の往復書簡もちゃんとある。お昼休みに職場でお弁当を食べながら読んでいたら、「青空洋品店」のところで泣きそうになる。なおも読み進めると本当に涙がじわっと出てきて、やばいここで泣いたらまずい、と思っていそいでページを変える。どうしてこうもどんぴしゃりに突き刺さるのだろう。もともと感激屋さんで泣き虫ではあるけれど、だからってなんでもないのに泣いたりはしない。

真摯に生きる、丁寧に暮らす、日々を楽しむ。笑顔でいる。

そういえば、中学生の頃、「いつも笑っている」という理由でいじめられたことがある。その男の子とは家が近くて、学校の外でもよく顔を合わせた。会うたびに、おい、おまえいつも笑ってんな、何で笑ってんだ、バカじゃねーか、とバカにされ因縁をつけられた。私にはいつも自分が笑っているという自覚はまるでなく、そう言われても全然ピンと来なかった。それに、笑っていることがいじめられる理由になるのもよくわからなかった。

さすがにそんなことで殴られたりはしなかったけれど、陰口をたたかれたり、怒鳴られたりした。図体のでかい男の子だったので大きな声は少しこわかった。それでもやっぱりピンと来なかった。いじめられているという被害者意識が全然わいてこないのだ。痛くもかゆくもない。はっきり言ってちゃんちゃらおかしい。

きっとその子は、私がいつも楽しそうにしているのが気に食わなかったんだろうな、と今になって思う。中学生の私が必ずしも毎日楽しかったわけではないだろうが、見た目に何の悩みもなさそうに、順風満帆でにこにこへらへら笑っているのが憎たらしかったんだろう。

雲ひとつない青空の下、ルンルン気分で職場までの道を一駅分歩いていたら、そんなことを思い出した。

買い物に行くと生鮭を見つけたので、晩ごはんには「ちゃんちゃん焼き」を作る。北海道の漁師料理だ。うろ覚えで、生鮭に味噌をぬり、その上に野菜をのせて、バターをのせてアルミホイルでくるんで焼く。野菜はキャベツとかもやしとかきのことかお好みで。今日はキャベツはないので白菜、それにエリンギとしいたけとネギ。白菜は案の定少し水っぽくなったけれど、それでもなかなかおいしくできた。味噌と鮭はすごく合う。他に切り干し大根と厚揚げ、ほうれん草のおひたし、さつまいもの煮物など。食べながら、食材の数をかぞえると全部で21品目あった。上出来。でも、食卓を見てちょっとがっかりしてこう言う相方の顔が浮かぶ。野菜ばっかりだ。

明日は自転車に乗って、イチョウを見に行く予定だ。


2004年11月21日(日) キャベツを心ゆくまで

昨日のうちに焼いておいたマフィンをおみやげに持って、新宿から電車に乗って実家へ行く。

両親は今、都会から少し引っ込んだ海の近くに家を建てている。父の定年までにはまだ数年あるものの、退職を待たずにふたりしてそっちへ移り住むことにしたらしい。父はしばらくの間は2時間かけての通勤。それでも自分たちの夢の家だから、それくらいのことはきっとなんでもないのだ。庭と小さな畑のある緑の屋根の家になる予定。それもあと1ヶ月くらいで完成する。それに伴う引越しの準備で、いるものといらないものを見に来てほしい、と母から言われる。結婚して家を出るときは、すぐに必要なものと、気に入りのものしか持ってこなかった。

お昼ごはんにかきあげの天ぷらうどんを食べ、年賀状の作成を手伝い、母と尽きないおしゃべりをする。父はテレビでマラソンを見ている。いるものといらないものの仕分けは、ちょっとやり始めたら途方もない感じがしたので、とりあえず全部とっておいてもらうことにする。納戸にでも押し込めておいてもらえればそれでいい。

5時前には実家を出て、新宿で相方と待ち合わせ、ごはんを食べる。おいしいとんかつ屋さんにいく。デパートの上にあるそのお店はもう何回も行っているけれど、ハズレたためしがない。今日はごはんとキャベツをおかわりする。キャベツはいまや高級食材なのにおかわり自由だ。とんかつと一緒にほおばるのはもちろん、ソースをかけたり、ゴマドレッシングをかけたり、味を変えながらキャベツを心ゆくまで味わう。とんかつキャベツともに大満足。

食後、洋服のフロアにいるお友達の店員さんに、来たよー、のあいさつをして、地下のパン屋さんで明日の朝のパンを買う。試食に出ていたきなこパンがあまりにおいしくて、食パンにしてはちょっと高かったけれどそれに決定。きなこの香ばしく甘い匂いが満腹なのに食欲をそそる。


2004年11月18日(木) すべてはワインのために

雨が降っているので、家にいちばん近いところで手に入れることにする。帰り道、いつものスーパーに寄ると、そこにもちゃんと用意されていた。まず今夜の主役をかごに入れ、あとは好みの脇役をそろえる。マリネ用のスモークサーモン、アーモンド入りチーズ、ガーリックフランスパン。

主役は冷蔵庫だとつめたすぎるので、家の中でもいちばん寒い玄関に置く。その間に、マリネの玉ねぎを薄くスライスして水にさらしたり、照り焼きチキンを作るべく、鶏肉をたれに漬け込んだり、のんびりじっくり料理する。楽しみをあとに控え、踊りだしたいような気持ちを抑え、ひとつずつ丁寧に作る。

コルク栓を抜くと、独特のアロマ。そう、これこれ。慎重にグラスに注ぎ、そうっと口をつける。葡萄ジュースのようにやさしい味だ。それでいて、芳醇な香り。マリネもチキンもおいしくできた。おもしろいようにすいすいと飲み、食べる。ひさしぶりに足がくにゃっとなるまで飲む。

相方が帰ってくる頃には、私はひどく陽気な奥さんだった。


2004年11月17日(水) 日々の色々

今夜は白いきのこのシチュー。毎日少しずつ、街にクリスマスの飾りつけがされていく。冬の一大イベントに向けてまっしぐら。この頃は細切れの読書ばかり。興味があちこちへ飛び、集中力はぶちぶち途切れる。まともに物語と向き合えないもどかしさ。

買った本といえばヨガやストレッチ関係ばかり。DVD付きムック2冊、雑誌1冊、CD付き本2冊。その中で異色なのはお友達PICNICAさんおすすめ(かな?)の『シンプルバレエ』。おうちでみっちりバーレッスンをするにはもってこいの本+CDだ。椅子の背をバー代わりに、じわっと汗をかくまで体を動かす。そうそう、こんなんだった、と思い出しながら。私がなんちゃってバレリーナだったのはもう、・・・9年も前の話だ。

明日はボジョレー・ヌーヴォーの解禁日。今年は特に予約はしていないけれど、いつものと、ローソンで限定販売(ジョルジュデュブッフ社 ボジョレーヴィラージュ・ヌーヴォー シャトー・ド・プージュロン)の2本が候補だ。ローソン数量限定のワインは、醸造家ジョルジュ デュブッフ氏が選んだ特別なワインだそうだ(さっき電車の中吊りで見た)。

明日の夜、台所に鎮座するワインを見て、相方はきっとあきれた顔をするだろう。意気揚々とお酒のビンを抱えて帰ってきた私を想像して。


2004年11月13日(土) 醤油ラーメンはまっすぐに

きのう、木枯らし1号が吹いた。関東平野にたまっていた生ぬるい空気は、明け方までにそっくり吹き飛ばされていた。パキンと音がしそうなほど、冬らしい青い空。硬質の晴れ。風が強くてとてもつめたい。ストールを首にぐるぐる巻きにして、フリースの手袋をして駅まで早足で歩く。途中、薄っぺらなトレーナー1枚のおじさん、半そでのYシャツのサラリーマンとすれ違う。我が目を疑う。

いつもより15分早く職場に到着。土曜日の電車はすいている。早く行っても仕方ないので、あっちへこっちへと蛇行しながら進む。敷地内の木々もだんだんと色づいてきている。赤より黄色が多い。デジカメを取り出して、しばし紅葉を楽しむ。澄み切った青空と色とりどりの葉っぱ。誰がなんと言おうと、美しい。

夜は相方とラーメンを食べに行く。さんざん迷った結果、私は醤油ラーメン、相方は味噌ラーメン。それに餃子と半ごはんと味玉(相方のみ)を追加する。寒い日のラーメンは温まる。この店の醤油ラーメンは炒り子だしで、ほんのかすかに生臭い。醤油ラーメンに限らず、この頃はあれこれこだわったラーメンが多い。かえってごてごてしてしまって味にまとまりがない気がする。私はあっさりした普通の醤油ラーメンの方が好きだ。醤油ラーメンはまっすぐに醤油の香りを楽しみたい。

帰り道、こっちから行こうよ、と突然左折する相方。住宅街に入り込み、ぐねぐねと曲がる道に翻弄され、どっちへ向かっているのかさっぱり見当がつかなくなる。やっと大きな通りへ出たときには、家からだいぶ離れていた。もう、変なところで曲がるから、余計遠くなったじゃん。ぶつぶつ文句を言いながら歩く。その後、用事があるという相方と別れてひとり家へ向かう。雑貨屋さんに寄り道したり、コンビニでおやつを買ったりしながらのんびり帰る。宅急便が来る7時にはちゃんと間に合った。


2004年11月11日(木) あれもこれも

今日から日曜日までルミネ10%オフ。年に数回の10%オフをとても楽しみにしている。この期間に必ず買うのは本。買わずに我慢していた本をあれもこれも、と買う。なんとも愉快な気分。ずしりと重い袋を抱えて家に帰るときの満たされた気持ちと言ったらない。本棚が前にも増して窮屈になるなんてことには、考えが及ばないのだ。

裏の山茶花はまだ咲かない。塀をはさんで隣の民家の庭先にある山茶花はもう8割がた咲いているというのに。もしかすると山茶花ではないのかも。つぼみは固く閉じたままだ。

今朝はいつもよりひとつ早い電車に乗った。

」」」」」 朝の本屋さん 」」」」」

『colobockle dictionary』
colobockle(コロボックル)の名前で活動されている絵本・クラフト作家、立本倫子の新しい本。黒を基調に赤・黄・オレンジなどのさし色が効いた、切り絵にも似た作品はかわいくもあり、ほんの少しのこわくもある。手の込んだクラフトを1ページ1ページじっくり観察したい。うちの玄関の大きなコルクボードには彼女のポストカードが数枚貼られている。大きな木の陰からこっちを見ている猫と、木琴の上で歌う鳥と、本を読むうさぎの絵だ。colobockleのホームページもかなり凝っている。アトリエ(お店)もあるようだ。今度行ってみよう。

『対岸の彼女』
角田光代の新刊。10月のWORD FRIDAYでご本人を目の前にお話を聴いてから、彼女のイメージがぐらぐらと揺れている。見かけはかわいらしくはかなげなのに、出てくる言葉は意外にも強く、野生的で奔放でもある。このギャップがすごい魅力だ。男性と女性どちらに対して厳しいか?という問いに、「日常は男性に厳しい、非日常(小説の中)では女性に厳しい。なぜだろうと考えた時に、“同族”に厳しいんだと気づいた」とこたえていた彼女が書いた、さまざまな立場の女性が登場する物語。読む前から空恐ろしい気分だ。11月10日発売。


2004年11月08日(月) はなうた

帰り道、どこかのおうちからカレーのいい匂い。今夜はうちもカレーにしよう。家にたどり着いたら、だらだらしないですぐにとりかかる。カレーを作りながら、洗濯機を回す。たまねぎを炒めていると相方から電話。あと50分で帰ってくる。予想に反して、煮込む時間があまりない。でもこれはうれしい誤算。

野菜を切ったり、鍋をかきまぜたり、食器を洗ったりしながら、よく鼻歌を歌う。そういえば、母も同じように鼻歌を歌っていたけれど、母のは何の曲だかわからない、ずいぶんと優雅で壮大なメロディーだった。一方、私はCMソングが多い。この頃はもっぱらfinoの歌だ。ショートカットの宮沢りえが自転車で坂を駆け下りるシャンプーのCM。かわいいクマノミも出てくる。


「今日を大切に」

1.おはようといいましょう
  みんなにいいましょう
  きょうをたいせつに
  フィーノでかみをあいしましょう
  しせいどう

2.おおごえでわらいましょう
  ときどきなきましょう
  きょうをたいせつに
  フィーノでかみをあいしましょう
  しせいどう
                
              作:本間絹子


この歌を作ったのはCMプランナーの本間絹子さんという人だそうだ。いい歌をありがとう。これを口ずさんでいると、ついにっこりしてしまう。この効果、ずっと続くといいと思う。

鼻歌にとどまらず、今朝はこれを小さな声で歌いながら通勤した。さぞかし機嫌よく見えたことだろう。

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エフティ資生堂のHPで「今日を大切に」の歌が聴けます。


2004年11月07日(日) キャンプか夜逃げ

我が家は最近、冬至でもないのにゆず湯に入っている。スーパーでゆずを見つけるとつい買ってしまう。さまざまな入浴剤も楽しいけれど、ときにはこんな天然の香りもいい。

土日で、めだかの水槽の掃除、火鉢の小さな池に浸かっている睡蓮の手入れ、玄関横にハーブ(ローズマリー・タイム・ペパーミント)の寄せ植えを作る。

ホームセンターや100円ショップを巡り、防災グッズや避難袋に入れるものをまとめて買う。避難袋の用意はまるで、キャンプか夜逃げの準備のようだった。できあがり、さあ、いつでも来い!という勇ましい気持ちに一瞬なったけれど、本当は出番がないのがいいことなのだ。


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