蜜白玉のひとりごと
もくじかこみらい


2003年05月14日(水) 寝る子は育つ

病み上がり。12時間眠って起き上がってみると、床がいつもより遠くに見える。背が伸びたのか。まさか、この歳で。まだこめかみのあたりがぼんやり痛いけれど、腹痛と寒気はおさまったようだ。昨日は仕事を休んで一日中寝ていた。昼間あれだけたくさん眠ったのに、夜は夜でまたぐっすりと眠れた。澱のようにたまった疲れがとれて、体が軽くなった気がする。

なんとなくふわふわした体で図書館へ本を返しに行く。新たに4冊借りる。
『ライ麦畑でつかまえて』J・D・サリンジャー/野崎孝 訳(白水Uブックス)
『蘭を焼く』瀬戸内寂聴(講談社文芸文庫) 
『子どもの本のちから』遠藤育枝 編(第三書館)
『灰色の輝ける贈り物』アリステア・マクラウド/中野恵津子 訳(新潮社クレストブックス)

春樹版『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を忘れてしまわないうちに、野崎版『ライ麦畑』を読みはじめる。どうも話し言葉が古くさくてなじめないけれど、とにかく最後まで読んでみることにする。

『子どもの本のちから』は江國香織×刈谷政則の対談を目当てに借りる。読みながら、いつかの鬼のパーティで幸運にも今江祥智先生と「童話」や「物語」についてお話しできたことをじわじわと思い出す。そのとき江國さんの「草之丞の話」も話題にのぼった。しばらく読んでいなかったので、また読んでみよう。あのころの江國さんの短編集が私は大好きだ。

夜7時過ぎ、雨がぽつりぽつりと降ってくる。週末にかけて東京はあいにくの天気。ラジオでは、青空が戻るのは来週の火曜日と言っている。


2003年05月06日(火) 濃い緑と薄い緑

休憩時間におもてに出ると、むせかえるような新緑の匂い。草くさい、と言ったら友人に笑われた。ここ数日の夏みたいな暑さのせいで、木々の緑はますます濃くなっている。日が長くなり、7時を過ぎてもまだほんのり明るい空には、白くて細い三日月が見える。

気がつくと、モスバーガーの玄米フレイクシェイクが始まっている。今年も「木いちご」と「ずんだあずき」があるようだ。玄米フレイクを柄の長いスプーンでザクザクしながら、冷たいシェイクと混ぜて食べるのがとてもおいしい。「木いちご」と「ずんだあずき」ではどちらかというと「ずんだあずき」の方が好きだ。控えめな甘さがなんとも言えずいい。枝豆の薄緑色もきれい。玄米フレイクシェイクは私の夏の定番で、これが始まるとそれこそ毎日でも通いたくなる。

どうやら私は何か気に入るとそればっかりになる傾向があって、バカの一つ覚えと言うか、お店でも食べ物でも飽きるまでそればっかり。気に入った作家の本を、さかのぼって全部読んでしまいたいのも、それと似ているかもしれない。

この頃は朝ごはんに「なんちゃってパニーニ」を作り続けている。パンにハムととろけるチーズをのせてトースターで焼くだけ。すごく簡単だけど、食欲のない朝でもちゃんと食べられるから不思議だ。チーズが好きな人はどうぞ。


2003年05月04日(日) 公園の藤棚

3時過ぎ、マロと散歩に出かける。マロと散歩に出かけるのは何週間ぶりだろうか。このところ、休日はいつも出かけていて帰ってくるのが遅かったから、マロと散歩に行けずにいた。

いつも行く近くの公園へ。ここには近所の犬がたくさん集まってくる。みんな仲良しで、一緒に走り回ったり飛びついたりして元気に遊ぶ。マロはこの間フィラリア予防の飲み薬をもらいに獣医さんへ行ったら、もうちょっと痩せなきゃだめですね、と言われてしまい、目下ダイエット中。

ただでさえ食いしん坊なのに、昼間はずっと平和な顔して寝ているから、そのままで痩せるわけがない。こっちが遊びを仕掛けてたくさん運動させなくてはならない。噛むとキュッキュ鳴るおもちゃとか、ゴムのボールとか、フリスビーとかで、気をひいて走らせる。気分が乗ってくるとマロはすごく楽しそうに目をきらきらさせる。

今日は犬同士で遊べたから運動量も十分だろう。だいぶ気温が高くなってきて、マロも走るとハアハア息があがって暑そうにする。そう言えば、公園の藤棚もいつの間にか満開になっている。熊蜂がブンブン音を立てて飛んでいる。夕方のごく弱い風に、葡萄のような藤の花が揺れている。季節は確実に夏に近づいていく。


2003年05月03日(土) 25歳の誕生日

夜明けとともに25歳になる。誕生日は相方と天王洲アイル〜お台場ベイエリアデート。

天王洲アイルにて、J-WAVEのフリーマーケットを見てまわる。J-WAVEは私がいつも聴いているラジオ局で、この頃はそれほどでもないけれど、学生時代はそれこそ朝から晩まで聴いていた。朝は目覚ましがわりだったし、バイト先のBGMもJ-WAVEだったし、バイトを終えて家に帰っても寝るまでずっとJ-WAVEを聴いていた。テレビは一度つけるとテレビの前からじっと動かなくなってしまうけれど、ラジオはつけっぱなしでも動きが止まることはない。疲れて家に帰ってきて、簡単な食事を作って食べてすぐにお皿を洗って、洗濯物をたたんでしまって、お風呂に入って、明日の英語の予習をして、・・・という流れをラジオは妨げない。それでいて、ちゃんと世界とつながっている気がする。ラジオのそんなところがとても好きだ。

それでJ-WAVEのフリーマーケットだけれど、今日と明日の2日間、ナビゲーターやリスナーが出店していて、それがちょっとしたお祭り気分なのだ。いつもは声だけのナビゲーターの顔を見ることができたり、フリマに集まってくるひと癖ありそうな不思議なリスナーを見つけたり。

天気がよくて暑いくらいだったので、昼間っからビールを飲む。外で飲むビールは最高。ついでに焼きそばも食べる。フリマでOLIVETTIのタイプライターを見つける。オリーブグリーンの色がかわいくて一目惚れ。迷っていると相方が買ってくれた。子供の頃おもちゃのスヌーピーのタイプライターを誕生日プレゼントにもらったことがあったのを思い出す。お店の人はインクリボンを交換すればちゃんと使えるという。相方とふたり、あとで試してみたらちゃんと動いた。

りんかい線に乗って一駅、東京テレポート駅で降りる。ゴールデンウィークのお台場はたくさんの人でにぎわっている。人ごみと強い日差しに圧倒されながら、あっちこっち歩き回っているうちに夕方になり、早めの晩ご飯をいただく。お誕生日だから、とご馳走してもらった。窓のそと、海に沈む夕日がルビーグレープフルーツ色に輝いている。デザートまでお腹いっぱい食べて満足。ごちそうさまでした。

時折、友人から「お誕生日おめでとう」のメールが何通か届く。誕生日を覚えていて、こうしてメールを送ってくれることがとてもうれしい。どうもありがとう。近いうちに会おうね、と返事を送る。

とても満ち足りた幸せな誕生日。


2003年05月01日(木) 広大なライ麦畑

今年のゴールデンウィークはカレンダー通り。つまり、昨日も今日も明日も仕事ということだ。間にちょこちょこ休みが入ったり、平日もまるっきり休んでいる人がいたりで、かえって仕事の進み具合が悪く、いつもより忙しいような気もする。それでも通勤電車は少しすいていて楽だ。

先週の土曜日から、村上春樹訳“The Catcher in the Rye”を読んでいる。サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』を村上春樹が新たに訳しなおしたものだ。新たに、といっても、私は今まで『ライ麦畑・・・』を読んだことがないので、村上春樹の訳が私にとっての『ライ麦畑・・・』になる。

主人公のホールデンが執拗に話しかけてくる。中学生の男の子みたいにいじけた話し方に、なかばイライラしながらも、続きが気になってどんどん読み進む。そういえば、小学校や中学校にこんな男の子がいたなあ、とぼんやり思い出しながら。先生や級友のちょっとした言動に腹を立てては椅子をぶん投げていた彼ら。どんな問いかけにも嘘八百で答えていた彼ら。今頃どうしているのだろうか。ちゃんと生活しているだろうか。

本のタイトルから、てっきり広大なライ麦畑が出てくるものだと思っていたけれど、世界は思わぬ方向へ進んだ。印象に残ったのは、冬の寒い日に髪を濡らしたまま表を歩いて髪が凍る感覚で、私も札幌でプールに通っていた頃、まさに冬の帰り道には必ず髪が凍った。

そのうち旧訳の『ライ麦畑でつかまえて』も読んでみようと思う。


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