蜜白玉のひとりごと
もくじかこみらい


2001年11月25日(日)

私の部屋には窓がふたつある。南側と西側。よく晴れた日に、どちらの窓もがばっと開けて掃除をするのは、ほんとに気持ちがいい。胸がすっとする。新しい空気が入ってきて、部屋中がいきいき、元気を取り戻す。

急な坂を登った先にある我が家の、唯一ほめられるところは、眺めがいいところ。遠く街を見渡す感じで、ベランダに出ると、空が近い。私の部屋も窓を大きく開け放てば、まるで外にいるような気分になる。

日が傾き、部屋がオレンジ色になるころ、不意に空気が冷たくなる。昼間どんなにあたたかくても、やっぱり冬は冬。そろそろ窓を閉めなくては。

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Elsa / Quand je serai morte


2001年11月22日(木) 眼鏡の効果

先日、眼鏡の話をしたが、どうやらその効果が出てきたようなのである。効果とはつまり、誰かさんに嫌われること。

効果が出たからそれでよかったのだが、なんだか腑に落ちない。私がその人にフラれたような構図になっているだ。アンタナンカ、コッチカラネガイサゲダ。

人を見かけだけで判断するなんて最悪だ、と今頃になって息巻いても、もう遅いのだろうなあ。そもそも話が通じない人なのだから、仕方がないか。

とにかく、再び平和な日常が戻ってきて、よかった。

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MEJA / Are You Ready?


2001年11月19日(月) 切った爪

夕飯を食べに行こうとおもてに出たら、細くて白い三日月と、目があった。

冬は空が澄んでいて星がよく見えるので、ついつい見上げてしまう。今日の三日月は、爪の先の白い部分にそっくり。

そう言えば、切った爪をガラスの小ビンに入れて、月明かりに透かしたり、そのビンを耳元で振ってかすかな音を楽しんだりする女の子がでてくる話を読んだことがある。

いったい、誰が書いた何という小説だったか、さっぱり思い出せない。

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サザンオールスターズ / LOVE AFFAIR


2001年11月14日(水) 雨はいちんち眼鏡をかけて

理由あって、今日から眼鏡の生活になった。と言っても、視力は裸眼で1.0あるので、伊達眼鏡なのだが。

伊達眼鏡で思い出すのは、やっぱり『ホリー・ガーデン』の果歩だろうか。眼鏡屋に勤める彼女は、店員なのだから眼鏡をかけなければと思い、伊達眼鏡をかける。親友の静枝はそれを、「果歩はあんなおもちゃみたいな眼鏡をかけて、世の中を茶化している」と言う。

私も果歩の気分で、プラスチックの縁の伊達眼鏡をかける。なんて滑稽な日常、滑稽な世の中。そもそも私が眼鏡をかけなければならなくなった理由からして、ばかげてる。

誰かに嫌われるためにするおしゃれがあるなんて!!

それにしても、今日はよく人にぶつかる。眼鏡をかけることで視界が狭まったようだ。危ない危ない。それでも、理由はどうあれ、眼鏡の生活も悪くない。何しろ、気分は果歩なのだから。今日は雨こそ降っていないけれど、「雨はいちんち眼鏡をかけて・・・」。

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山下 達郎 / おやすみロージー


2001年11月07日(水) 少なくとも

江國さんの書いた英語の文章を読んだ。Japanese Book Newsという雑誌のNumber31に載っている。タイトルは、Language as System「システムとしての言語」と、ややかたい印象。

でも、読み始めると、その文章はまぎれもなく江國さんのものだとわかる。例えば、「少なくとも、私はそう信じている。」(At least so I believe.)だとか、「・・・それ以上にもそれ以下にもなり得ない。」(it cannot be more or less.)だとか。英語でありながら、それはやっぱり“江國香織の言葉遣い”なのだ。

言葉の垣根を越える、というよりは、言葉の世界というのはそもそもひとつなのかもしれない。

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鈴木 重子 / COLORS OF THE WIND


2001年11月02日(金) 柔らかに、健やかに

11月。新しいワインができあがり、航空便で運ばれてくる。厳重に温度管理をされて。

もうすぐボジョレー・ヌーボーの解禁日だ。わたしは毎年この日に、同じ銘柄のワインを買う。 ジョルジュ・デュ・ビュッフ社 ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボー このワインを初めて飲んだのは、1998年5月10日。なんでこんなによく覚えているのか。それはひとつの恋が終わった日だから。

当時、一人暮らしだった私は、フラれたその足でいつもの帰り道と同様に、スーパーに寄ってあれこれ材料を買いこんだ。そして、家に着くなり、チキンのハーブ焼きとトマトサラダを作り、フランスパン、チーズ、苺などをテーブルに並べ、例のワインを開け、夜中まで飲んで食べた。

料理は丁寧に作ったから、どれもおいしかった。それにワインともよく合っていた。ワイン1本飲み終わる頃には、ぐるんぐるんに酔っていてまっすぐに歩けないほどだったが、自分の家なので心配することは何もなかった。

悲しい気持ちも涙も全部、自分の栄養にしようと思った。ワインは心を柔らかに、健やかにする。その夜はいつの間にか寝てしまい、知らないうちに朝が来ていた。

それ以来、私はよくこのワインを買う。今となっては「そんなこともあったわね〜」という感じで、失恋を嘆くわけでもないし、恋の弔いをするわけでもない。しかし、私はその味と香りがとても好きなので、解禁日が近くなると、「今年も買おうかな」という気になるのである。

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Nat King Cole / 枯葉 AUTUMN LEAVES


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