■映画の感想です。映画館で観たもの中心。普通にネタバレしてるのでお気をつけください。
■好きなのはハリウッドエンターテイメント。邦画は苦手。イケメン俳優に甘いです。美しい男を発掘するのがライフワークです。
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2003年07月27日(日) セクレタリー

 ※ 相当ネタバレな上に長文。さらにジェームズ・スペイダー話炸裂です。ご注意。




うああああもう我慢できない!

ということで昨日ついに観て参りました「セクレタリー」。現在上映されている新宿のシネマスクエアとうきゅうでは“Goodモーニング割引”なるサービスが実施されておりまして、日曜祝日の朝一上映(9:20〜)は1000円で観られるのです。ジェームズ・スペイダーのためなら苦手な早起きも苦手な新宿もへっちゃらよ!とか思いつつ起きてみたらやっぱり微妙に寝坊していて、とりあえずその辺にあるものを着て財布とメガネだけ握りしめほぼノーメークで家を飛び出すという有様でございましたが。ああ久々にスクリーンでお目にかかるというのにこんな格好でごめんねスペイダーさん…。
んで、なんとかギリギリに劇場に着いてですね、チケットを買おうとしたらアナタ、「お立ち見になりますがよろしいですか?」と。いやほんとなんですよ!信じられます?!あたしゃ耳を疑いましたよ。動揺のあまり思わず「おっ、お立ち見ですか、や、あの、「セクレタリー」ですよ?」などと逆にこっちから念押ししてしまう始末。いやあジェームズ・スペイダーのために(それは違う)休日の朝っぱらからこんなに人が集まってるかと思うとわたくし感動で胸がいっぱいに…。ていうか真面目な話、この映画ほんとに結構注目されてるのかな。だとしたら嬉しい。嬉しいよ!(結局あいてる席がちらほらあったので無事に座って鑑賞できました。)


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なんかいつもにも増して前置きが長くなり申し訳ないことですが、肝心の映画の方も期待を裏切らない出来映えでした。就職経験男性経験ゼロで自傷癖のある主人公・リーが、勤務先のボス弁護士グレイの“教育”や彼との“主従関係”に快感を覚え、次第に自分を解放してゆくというストーリー。
言葉で説明するとまるっきりそっち系の話みたいなんだけど(まあ実際R指定だしそういう描写も結構あるんだけど)、実は純愛。そんな話でありながらピュアなラブストーリーに仕上がっているところがこの作品のポイントで、私はこれね、乙女好みのすごーくロマンチックな話だと思った。SMだと思うからややこしくなるんです。そこんとこを受け流せば、内気な女の子がある日相性ピッタリの男性と運命的に出会って、恋をして、一時は別の人で自分を誤魔化そうとしたりもするんだけど、でもやっぱり私は彼が好き!彼じゃなきゃダメなの!っていう話なわけで、これってほとんど王道的なラブストーリーでしょ? そして待ち受けるのは甘いハッピーエンド。二人にしかわからない、二人だけの愛の世界。

部分的にコミカルだったりとかインテリアが凝っててちょっとおとぎ話風だったりとか、色んな要素がSM的エグさをやわらげているところもgood。そして一番良かった点は、主役のリーというキャラが美しく成長してゆく姿に説得力があったこと。この辺はやはりリーを演じたマギー・ギレンホールの功績だよなあ。普通尻込みしたくなるようなシーンにも大胆に挑んでいて、各賞受賞やノミネートも納得の素晴らしい演技です。見ていて何となく共感できるというか、つい応援したくなってしまう。彼女ははじめ本当に冴えない女性なんだけど、自分の性癖を認めグレイへの想いを自覚してどんどんキレイになってゆくんです。
自傷キットとも決別し、グレイへのアタックを重ね、最後は自分の気持ちに正直に行動して一歩も退かない。意地ではなく、それが彼女の愛の形なのね。ご主人様のグレイの方が煮え切らない態度で怖じ気づき、服従役の彼女に押されてこの恋が成就したというところもまた面白い。グレイがドレス姿のリーを抱きかかえる場面はちょっと感動だったなあ。きゃああああジェームズ・スペイダーが王子様のようだわ!という別の意味の感動でもありましたが(笑)。


そしてスペイダーさんハマリ役。グレイというキャラの変人ぶりに面目躍如と言いましょうか、ほんとこういう役やらせたら天下一品だよな(笑)。本作は彼のキャリアにおいて確実に代表作レベルだと思われます。たかだか単館公開で何を大げさなと言われるかもしれませんけど、もともとメジャー系の映画は似合わない人だし興行実績的なことはどうでもよくて、何て言うかなあ、今回の役どころって、まさにこういうスペイダーが見たいとファンが望んでいた(であろう)彼の姿であったという、そこが非常に嬉しいのね。昔同じ頃に活躍してたアンドリュー・マッカーシーだとかエリック・ストルツなんかがすっかりなりを潜めてしまっている昨今、こうして持ち味(と言っていいよね?)を生かした役(しかも年相応に)でスクリーンに返り咲いてくれたらやっぱり嬉しいわけですよ、ファンとして。

あと、パンフレットに載っている滝本誠氏の「ジェームズ・スペイダー論」が実に素晴らしいです。必読。彼の裸体に潜む意味性、いや、寧ろ“無意味性”であるとか、自らの美貌を踏まえた曲者演技のことなどいくつかの興味深い指摘をされていますが、個人的には最後に「水曜日に抱かれる女」を取り上げておられることに心から敬意を表したい(笑)。あの映画のスペイダーは本当に美しかったんだよな〜。…ってなんか「セクレタリー」と全然関係ない話になってきましたので語り足りないけど(足りないのか!)この辺でいい加減にやめます。えーと、「セクレタリー」公式サイトは→コチラ! 余裕があればもう一回くらい観に行きたいな。



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セクレタリー 【SECRETARY】 

2002年 アメリカ / 日本公開:2003年
監督:スティーブン・シャインバーグ
出演:マギー・ギレンホール、ジェームズ・スペイダー、
ジェレミー・デイヴィス
(劇場鑑賞)





2003年07月25日(金) (雑記:DVD「レッド・ドラゴン コレクターズBOX」のこと)

→コレです

昨夜帰宅したら既に届いていたのでウキウキしながら開封したわけですけれども、もうオマケがいっぱい付いてて楽しい楽しい。非売品プレスシートやらダラハイドのスクラップブック復刻版やらダラハイドのタトゥーシールやらダラハイドが背中晒してるシーンのフィルム入りペントレイやらダラハイドのタトゥープリントTシャツやら(これは先着特典)、はっきり言ってこれ「レッド・ドラゴン」のコレクターズBOXじゃなくて「フランシス・ダラハイド コレクターズBOX」ではないでしょうか。タトゥーTシャツ着て鏡の前でムン!とかポーズをとってみたりタトゥーシールを背中に貼って全裸で家中走り回ってみたりスクラップブックを金庫から取り出して眺めたりこれまたオマケのタトラー新聞を切り取ってスクラップの追加をしてみたりすればもう身も心もダラハイド。だってそもそも箱の絵柄からしてダラハイド(の背中)だしな!「レッド・ドラゴン」の真の主役はレイフ・ファインズですよ皆さん。ふはははは!


映像特典の方もちょこっと見てみましたが、フィルムテストが面白かった。もうね、レイフ・ファインズ堪能。ノートン君と並んだりエミリ・ワトソンの指を食べようとしたり(これがかわいいんだ〜)タトゥーの色チェックで背中見せたりしてなんか色々たまらないです。それに真っ正面からきちんと見るとやっぱこの人すごい美しいと思うのよ。おっさんおっさん言ってごめんね!惚れ直したよ、ほんと!

あとは、メイキングのインタビューシーンでのノートン君の帽子姿が大変キュートでした。それからノートン君は、特典のフィルムテストではファッションショーをしてくれます(笑)。これがまたすげー可愛いんだよ。参ったなあ。ちょっとノートン萌えも復活。いやー色々と美味しいですレッド・ドラゴン。ということでこれから久々に本編観てみます!


2003年07月23日(水) チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル

水曜に観てきました。しかし六本木に来るといつも雨なのは何故だ! しかも寒い! 7月なのに! びゅうびゅう吹き抜けるビル風に凍えながら映画館を目指す。「シカゴ」以来やっと二度目の六本木ヒルズヴァージンシネマ。まだ迷いまくりです。
ヴァージンシネマにはキャラメルポップコーンの上にソフトクリームが乗った「ヴァージンサンデー」なるスナックがあるとみぃ♪さんに教えていただいたので絶対食べてやろうとワクワクしていたのです。が、何とこれ六本木では売ってなかった!うえーん!(涙) 何でだよう! すっかりサンデー食べる気分だったのに! 仕方がないので渋々キャラメルポップコーンを購入。ソフトクリーム売ってたら自分でミックスしてやろうかと思いましたよ。

でも映画の方は、それこそポップコーン片手に楽しむのにうってつけの娯楽作でありました。渋々買ったキャラメルポップコーンがぴったりマッチ!お菓子食べながらなーんにも考えずに楽しめます。こういうのっていいよなあ。映画って感じ。私本来はこういうのが好きなんですよ。色々考えさせられたり集中しなきゃならなかったりアタマ使わなきゃならないのはほんとは苦手。感動するのも疲れるからほんとは苦手。

アクションのありえなさ度は確実に前作よりアップしています(笑)。それだけ派手で豪快なので、映画館の大きいスクリーンで観てよかったなと思いました。ストーリーもあるにはあるけど、別にいちいち真剣に追わなくても勝手にどんどん展開してゆくのでほんと観ててラク。あと、主演三人の弾けっぷりというかハチャメチャぶりというか脳天気ぶりも前作よりアップしていてすごく良かった(誉めてます)。これくらいテンション高いと気持ちいいね! この三人の中では、私はドリュー・バリモアが結構好きなんだけど、今回はルーシー・リューが可愛かったな。イタチちゃんだよ〜かわいい〜。
デミ・ムーアも悪くない、っていうかこれ適役じゃない?なんかイメージと合ってるもん。キャメロン・ディアスとのスローモーション多用ビキニ対決といい二挺拳銃といいジョン・ウー並の男前さです(※注:白い鳩は出てきません)。下着に毛皮とか着てる(しかも室内で)意味不明さもまた良し。
音楽がガンガン鳴りっぱなしで懐かしい曲がいっぱい使われてたのも良かったな。それからドリュー・バリモアが目を付けていた最初の殺し屋と孤児院ですれ違った男の子、私もいい男だったと思ったぞー。


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チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル
【CHARLIE'S ANGELS: FULL THROTTLE】

2003年 アメリカ / 日本公開:2003年
監督:マックG
出演:キャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リュー、
バーニー・マック、デミ・ムーア
(劇場鑑賞)



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そして唐突ですが今気になってる映画。

■ 「えびボクサー」
何だよこれ! すっっっごい気になるYO! 観たいYO! しかしながら残念なことに、私の苦手な渋谷&もっと苦手な(ほとんど行かない)池袋のみの上映らしい。えびごときにわざわざ苦手エリアに足を踏み入れるのも癪なのでビデオを待つことに致しましょう。ていうかシネパトスあたりでやってくれないかなまじで。

■ 「SWAT」
六本木で予告を見たら面白そうだった。コリンちゃん出てます!わたくしのお気に入りです!最近引っ張りだこだね!頑張ってね!
そして何気にオリヴィエ・マルティネスが出ているのも気になるところでございます。

■ 「リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い」 (本家サイトは→こっち
映画として興味があるとかそういうことではなくて、キャストですキャスト。主演ショーン・コネリー、ジキルとハイド役がジェイソン・フレミング、トム・ソーヤー役がシェーン・ウエスト、透明人間役がトニー・カランで、ドリアン・グレイ役がスチュアート・タウンゼント。ドリアン・グレイがスチュアート・タウンゼント! ちょっとちょっとタウンゼントさん、レスタト演った後にオスカー・ワイルドのドリアン・グレイってあなた、あれですか、もう今後は耽美路線で突っ走ると、そういうことでよろしいんでしょうか?思いっきり私の守備範囲なんですけど。楽しみです。



2003年07月20日(日) (一言感想集「メメント」「タイムマシン」「記憶のはばたき」)

ということで、ここしばらくの間にレンタルで観た映画の一言感想まとめて書きます。とりあえず今夜は第一弾。三連休レイフ・ファインズ化計画のはずがなぜかガイ・ピアース祭りになってしまった点はどうぞつっこまないで下さい。んもーカッコイイのかそうでないのか見極めるためだけに立て続けに何本も観ちゃったじゃないか!罪な男ねガイ!私の連休を返して!

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■ メメント

なかなか面白かったです。でもこれ、私はこういう映画だという予備知識があったからまだいいけど、何も知らずにいきなり劇場で観た人は「はぁ?!」って感じだったよねきっと。わかって観ててもラスト付近になると最初の方(最後の方と言うべきか)を思い出せなかったりして、もう私の記憶力全然ダメ。老化してる。DVD特典の時間軸再生を観てなんとか自分を宥めてみたり。
あと、アイデアは確かに奇抜だけどそれ以外は結構単調というか、全体的に静かな作りだという気がしました。そのあたり「インソムニア」と近いような。クリストファー・ノーランってこの二作しか観たことないけど、こういう雰囲気の監督なんでしょうか。

ガイ・ピアースは、うーん、割とカッコイイめだと思う…が、どうだろう…よくわかりません。スラスラスラって写真に書き込んでいた字がとても綺麗だったけど本人が書いてたのかな。
それからマトリックスじゃないアン姐さんって見慣れてなくてちょっと不思議。普通にスカートとか履いてるとちょっと不思議。出産おめでとう!(今更)


■ タイムマシン

幕開けが1800年代後半だったのでその時代が軸になってるかと思いきや実は近未来、いや、遠未来モノだった!
原作読んだことありませんががこういう話だったんですか。何も知らずに硬派SFを期待していたわたくしはいろんな意味で期待を裏切られました。いやもう、一体どこまで行ってしまうのかと(笑)。ガイ!起きろ!気を失ってる場合じゃない!とか思わず呼びかけそうになりましたけれども。SFっていうよりアドベンチャーだよねこれ。「猿の惑星」(ティム・バートンの)や「スターゲイト」なんかを連想しました。

ええとガイ・ピアースはですね、髪をなでつけてきちんとした身なりをしてる時よりも、汚らしくなっていく姿の方が断然良かったです。変な誉め方だけど。確かにおでこの出し方が決め手かもしれないです、きょうこさん(笑)。

あとジェレミー・アイアンズにはびっくり。あれじゃ誰だかわからんて。


■ 記憶のはばたき

主人公のサムは、仲良くしていた幼なじみの女の子を15歳のある夜に川で失って以来、心を閉ざして生きてきた。大人になって父親の葬儀のために故郷に戻った日、彼はルビーと名乗る女性に出会うんだけど、川に落ちて記憶をなくした彼女は何故か死んだはずの少女との共通点が見られ…、というお話。

厳しい言い方をすればベタで予想通りで目新しいところは何もない話なんだけど、でもこれがなかなか悪くないんですよ! 奇跡というほど重くなく、ファンタジーというほど軽くなく、丁寧で、とてもやさしい感じ。音楽も嫌味がない。最後はじわりと納得させます。
主人公の少年時代の描写が結構長いのでいつになったらガイ・ピアースが出てくるんだろうかと訝しみつつも、その子役の二人がとてもいい雰囲気なのでむしろもっと見ていたいと思いました。思春期のキラキラした雰囲気がね、すごくよく出てるの。ちなみに少年役の男の子が結構かわいい私好みの美少年です。(結局それか)

ガイ・ピアースはこれまで私が見たどの作品とも印象が違いました。演技派だったんだねガイ…! いやカッコイイっていうのとはちょっと違うんだけど、こういうのもいいね。いいよね。


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なんか一言感想と言いながら相変わらず長くてすいません。お付き合いいただいた方ありがとうございます。
ていうかこれだけ見てもガイ・ピアースがカッコイイのかそうでないのかまだよくわからないってどういうことでしょう。やはり評価が難しい謎の男ガイ。でもまあ、これだけ見ても萌え〜とか言い出さないってことは、少なくとも私のタイプとは違うってことなのかもしれません。決して嫌いではないけどね。




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メメント 【MEMENTO】 

2000年 アメリカ / 日本公開:2001年
監督:クリストファー・ノーラン
出演:ガイ・ピアース、キャリー=アン・モス
(DVD鑑賞)


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タイムマシン 【THE TIME MACHINE】 

2002年 アメリカ / 日本公開:2002年
監督:サイモン・ウェルズ
出演:ガイ・ピアース、サマンサ・ムンバ、
ジェレミー・アイアンズ
(DVD鑑賞)


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記憶のはばたき 【TILL HUMAN VOICES WAKE US】 

2001年 オーストラリア・アメリカ / 日本公開:2002年
監督:マイケル・ペトローニ
出演:ガイ・ピアース、ヘレナ・ボナム=カーター
(ビデオ鑑賞)


2003年07月19日(土) ソラリス

  ※ かなり内容に触れてます。未見の方ご注意下さい。


私は公開終了間際に観たのでそれまで雑誌のレビューやいろんな方の感想を興味深くチェックしてたのですが、この映画って、すごく評価が分かれていたような気がします。タルコフスキー(あるいはスタニスラフ・レム)への冒涜だというような意見もあればその逆もあり、例えば作家の松浦寿輝なんかはソダーバーグがこれまで撮った中で最高の出来映えだなどと断言していた(@「群像」たぶん先月号あたり)。それで実際に観てみたところ、私は後者寄りです。いやさすがにソダーバーグの最高傑作とまで言い切る自信はないけれどもね、「トラフィック」や「エリン・ブロコビッチ」や「アウト・オブ・サイト」よりこっちが好きだなあと。

まず時間をコンパクトにまとめてくれてたことが良かったです(長い映画苦手なんで)。短い中で主人公クリスとその妻に焦点を絞りドラマ性の高い仕上がりになっている。これ、当事者みんなが“わかってる”というところがミソなんだよね。ソラリスの海によって生まれた妻レイアが本人でないこと(人間でないこと)をクリスはきちんと理解している。さらに本人のコピーではなく「クリスの記憶の中のレイア」にすぎないこともわかっている。しかも再生されたレイア自身もそのことに気付いてる。その上で、どうするか。どうなるのか。「答えはない。あるのは選択だけだ」というような台詞を確かジバリアンが言っていましたが、その通りここから先は心理的葛藤を軸にした人間ドラマの領域になるわけです。そうしてクリスは彼女を愛することを選ぶ。

そもそもこの手の話というは話の展開そのものよりも状況設定が命だと思います。つまり“人の記憶を元にして人間を再生するソラリスの海”というアイデアを含有してる時点で原作「ソラリスの陽のもとに」はもう半分成功したようなもので(って読んだことないけどさ)、だから映画化の際はこの設定を引き継いでその先を自分好みに味付けするという方法が取りやすいんじゃないかな。リメイクといえども割とオリジナル度が高い仕上がりに出来る。今回のソダーバーグ風味は私好みでした。記憶と夢と現実が入り混じったような映像も、台詞や音楽抑え気味の静謐な雰囲気も、良かった。あ、あとジョージ・クルーニーがすごく良かったよ! 今まであんまり好きじゃなかったんだけど(ファンの方すみません)、今回見直しました。「コンフェッション」にも期待します。




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ソラリス 【SOLARIS】

2002年 アメリカ / 日本公開:2003年
監督:スティーブン・ソダーバーグ
出演:ジョージ・クルーニー、ナターシャ・マケルホーン、
ジェレミー・デイヴィス、ヴィオラ・デイヴィス
(劇場鑑賞)


2003年07月17日(木) ミニミニ大作戦

……う〜〜〜〜〜〜〜ん微妙。
いや決してつまらなくはないのだが。部分的には悪くないんだけど、「うわー面白かったー!」と言い切るにはちょっと物足りない後味。
これはあれかなあ、やっぱお気に入りのノートン君が何となく不発だったからかなあ。いまいちノッてきてないというか、どうも気合いが入ってないように見えたのはわたくしだけでございましょうか。だって金塊目の前にしててもシャーリーズ・セロンを口説いていてもピンチに陥った時ですら目に覇気がない(笑)。んもー手を抜いちゃダメよ! 「デアデビル」のようなしょーもない映画でしょーもない役柄に全力投球していたコリン・ファレルちゃんを見習わなきゃ! まあ、この気合いの入ってない態度そのものが役作りだと言われればそれはそれで納得するしかないんですけども。
あとね、ノートン君は口髭が似合わないと思う。思いません? この人は口元が可愛いんだからさ!笑ったりするときの、ちょっと歪んだ口元がキュートなんだから隠しちゃダメなの! …って要するに可愛いノートンが見たかったというだけなのか私は。(そうだな多分)

それからマーク・ウォルバーグの存在感が今ひとつな気がしました。主役なのに影が薄い。他のメンバーがそれぞれ手に職持っててそれで活躍しているのに対して、アイデアと統率力で勝負!っていうのは少々インパクトに欠けるんじゃないかと。
逆に良かったのはシャーリーズ・セロン。今まで外見ばかり重視された無機質な女優さんというイメージだったんだけど、今回は見ていて共感できる可愛らしさがありました。あ、そういえばセス・グリーンも良かった!可愛かったよ!

リメイクであることを意識してかどうかわかんないけど、全体的にそこはかとなく漂うレトロな雰囲気も悪くないんだよね。盗み出すお宝が今時金の延べ棒だったりとか、最終的にはハイテク機器投げ捨てて腕一本で成功させた金庫破りとか、それにミニクーパーが頑張って並んで走る姿も「トリプルX」や「007/ダイ・アナザー・デイ」に出てきた唖然モノの近未来車よりずっと親しみやすい。ていうか可愛い!それでいてカーアクションもきちんと迫力あったし、恋愛要素をとってつけたように組み込んだりしないところも好感持てたなあ。…ん?あれ?なんか文句を言いたいのか誉めたいのかわからなくなってまいりました(笑)。いや楽しいことは楽しいのよ、ほんと! 明日で終わっちゃうので観ようと思ってる方お早めに〜(と無理矢理まとめ)。


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つうことで私も私信。みぃ♪さんkaiさん昨夜はお世話になりました! もうむちゃくちゃ楽しかったです! 特に「太陽の雫」が…(しつこいですね/笑)。



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ミニミニ大作戦 【THE ITALIAN JOB】

2003年 アメリカ / 日本公開:2003年
監督:F・ゲイリー・グレイ
出演: マーク・ウォルバーグ、エドワード・ノートン、
シャーリーズ・セロン、セス・グリーン、
ジェイソン・ステイサム、ドナルド・サザーランド
(劇場鑑賞)


2003年07月12日(土) 「テープ」(+恵比寿ガーデンプレイス夏のイベントオープンシネマのこと)

延ばされて待たされて焦らされてようやく観ることができましたイーサン・ホークの「テープ」。だって何度も言うけど当初の公開予定は今年の春ってことだったじゃないですか恵比寿ガーデンシネマさん! おそらく「過去のない男」+「ボーリング・フォー・コロンバイン」のダブル大ヒットロングランに押されてどんどんずれ込み、そのうち季節は春から夏へと移り変わってしまったのしょう。おかげで私は去年の秋から準備していた前売り券を必死で探すハメに…いやどこに置いたか憶えてなくて一瞬本気でなくしたかと思いましたよ…。見つかってよかった。

ヤクの売人(イーサン・ホーク)、新進映画監督(ロバート・ショーン・レナード)、検事補(ユマ・サーマン)。久々に顔を合わせた彼等が、10年前のある出来事をめぐってそれぞれの気持ちをぶつけあう。起爆剤となるのは一本の「テープ」。

正直言って想像してたのとずいぶん違いました。予告編(→公式サイトで見られます)の印象から、もっとスピーディで謎めいていて、こう、観てる側の記憶を試すような仕掛けがある斬新な作りなんじゃないかと私は勝手に思いこんでいたのね。ところが実際は、出演者は上記三人のみ、舞台は始めから終わりまでずっと安モーテルの一室、場面転換や時間の切れ目も全くなくて、音楽も一切入らないという、ちょっとお芝居みたいな映画(もともとオフ・ブロードウェイで舞台上映されてた作品とのこと)。三人を繋いでいる10年前の出来事というのも謎解きが必要な性質のものではないので、観てる我々はただ純粋に彼等の会話に耳を傾けてコトの成り行きを見守るしかない。でもよく考えたら監督がリチャード・リンクレイターだもんね、この、会話が延々続いてセリフに圧倒される感覚は確かに「ウェイキング・ライフ」と通じるものがあります。想像とは違ったけど、悪くはなかった。うん。ちなみに今回もデジタルカメラでの撮影だったそうです。

そして珍しかったのはイーサン・ホークがほとんど汚れ役と言ってもいいくらいのダメ男を演じていたこと。私こんなイーサン初めて見たよ! 身勝手だし卑怯だしすぐキレるし行動が意味不明だし踊ったり飛び回ったり、色々びっくりでした。思い詰めた顔の弱虫クン(※そこが好き)だと思っていたのにいつの間にやらすっかり大人になって…。あ、でも、終盤床にペタンと座り込んで放心したように振り向いた時の顔は子犬っぽくて可愛かった(※そこが好き)。
ユマ・サーマンが奥さんなのは言うまでもないけど、映画監督を演じたロバート・ショーン・レナードも「いまを生きる」以来のイーサンのお友達だし、何となく観ていて安心する顔ぶれでありました。ほんと、三人ともそれぞれしっかり役作りしてるな、という感じでそこが良かったです。あ、リンクレイター監督もイーサンと仲良しなんだよね。すごい身内映画だ。


あと前から思ってたんだけど、ひょっとして恵比寿ガーデンシネマってイーサン・ホークのことが好き? だって彼の出演作ってここで上映されることが多いような気がするもん。いやもちろん結構なことですよ! その調子でこれからも是非よろしくね〜。


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そして久々に恵比寿に行って気が付いたんですが、今年も恵比寿ガーデンプレイス夏のオープンシネマイベントの時期なんですね!

■ →詳細はコチラ!

うわーうわー「レッド・ドラゴン」! 絶対行きたいよーレイフー! いえ、もう日記にはいちいち書いてませんけれどレイフ・ファインズフィーバーはいまだバリバリ続行中です。レイフ熱冷めやらず。というかむしろ煮えたぎっております。ああ行けるかなー。日曜だから大丈夫だと思うんだけどなー。

あとはやっぱりこれですね、7/25(金)の「ガタカ」。うわーうわージュードー!(&イーサンも) いえ最近日記には書いてませんけれどジュードのことも決して忘れたわけではありません。

「オー・ブラザー!」とか「ブリジットジョーンズ〜」とか見逃したままになってるのも観たいなあ。でもこのイベントって屋外だから音響が今ひとつで、初めて観る作品はちょっとキツイんだよね。「海の上の〜」も観たいけどピアノの音が飛んじゃうとちょっとなあ。
それにしても、「ガタカ」「ヒマラヤ杉に降る雪」と、ここでもイーサン主演作が二本も。やっぱり恵比寿はイーサン・ホーク好き?(笑)



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テープ 【TAPE】

2001年 アメリカ / 日本公開:2003年
監督:リチャード・リンクレイター
出演:イーサン・ホーク、ロバート・ショーン・レナード、ユマ・サーマン
(劇場鑑賞)


2003年07月10日(木) アメリカン・アウトロー

ここしばらく続いている“誰も話題にしてないマイナー映画に手を出そう!”キャンペーンもいよいよ本格化してまいりました。さーて、今夜の作品はコレだ! わたくしのお気に入りコリン・ファレルちゃん主演の西部劇「アメリカン・アウトロー」。ちょっと聞いてよ奥さん、これがまた意外な拾いモノだったんですよ! コリンちゃんの可愛格好いい魅力全開なの! ああ上映ありがとうキネカ大森。さあコリンファンは今すぐ京浜東北線に飛び乗って大森へ向かえ!18日までだぞ!急げー。



アメリカ西部史に名を残し今なお人々に愛される伝説のアウトロー、ジェシー・ジェームズの活躍を描いた西部劇。鉄道会社による不条理な土地の買い占めで苦しむ故郷の農民のために、ジェシー率いるギャング達が強盗団を結成して立ち上がる。
ストーリーはまあ、史実を急ぎ足で辿ってヒーロー劇風に脚色してある感じなんだけど、そんなことより見どころはジェシーを演じたコリン・ファレルですよ。オープニングから馬上で二挺拳銃ぶっ放す弾けっぷり。楽しそう!生き生きしてるよ!ていうかかっこいいよ!西部劇だからたいしたことはできないけどアクションは最後まで断続的に披露してくれるし、それにこの役がキャラ的に似合ってるというか、ただキザでクールなだけのヒーローってわけじゃないところがコリンちゃん特有のキュートさに上手くマッチしていてたいへん魅力的でした。格好いいのに可愛いんだよなあ。なんか状況がピンチに陥った時(奇襲攻撃を受けた時とか警察に囲まれた時とか)ほど、ニヤッって笑ったりするんですよ。“仕方ねーな、派手に暴れてやるぜ!”のニヤッ。うぎゃーこのいたずらっ子やんちゃ坊主めが!その溢れる若さが眩しいよ!お姉さんはキミにメロメロだ!

コリンちゃん以外では、彼のお母さん役で何気にキャシー・ベイツが出てました。あと、対立する鉄道側の探偵役にティモシー・ダルトン。それからヒロイン役のアリ・ラーターもいい感じでした。お嬢様かと思いきや結構豪傑で、後半になるほど好感持てます。そんなところかなー。公式サイトは→コチラ!



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アメリカン・アウトロー 【AMERICAN OUTLAWS】

2001年 アメリカ / 日本公開:2003年
監督:レス・メイフィールド
出演:コリン・ファレル、スコット・カーン、アリ・ラーター、
キャシー・ベイツ、ティモシー・ダルトン
(劇場鑑賞)


2003年07月09日(水) トエンティマン・ブラザーズ

さー今日は水曜だ何観ようかなーノートン君の「ミニミニ」が本命だけど「ソラリス」も気になるしーっていうか私マトリロも……ってしつこいですね。誰も話題にしてないマイナー作に手を出すのがクセになりつつある今日この頃。


銀座シネパトスで上映されておりますけれども、それはもう見事に激しくシネパトス映画でした(笑)。ま、はじめから期待してたわけでもないので大きく落胆することもなく、こんなところだろうな、と。(偉そ)

ジャンルはいちおう犯罪です。主人公は、刑務所を隠れ蓑にして依頼された仕事(=強盗)を確実にこなしてるプロの強盗三兄弟。裏で手を引いてるのは弁護士なんだけどコイツが悪徳で、汚い仕事は彼等にやらせて儲けを横領、さらに長兄(ガイ・ピアース)の奥さんにも手を出す始末。次第に利用されてることに気付き始める三兄弟(つうかあんたら気付くの遅いよ!)と、でかいヤマにかこつけて彼等を殺そうと企む弁護士の対決やいかに。公式サイト→コチラ

主要な筋以外にも余計な描写が結構あるので全体的な印象としてはちょっと散漫でした。特に意味不明だったのがガイ・ピアースの奥さん!あなた一体どうしたいんだ!どっちに付いてるのかはっきりしてくれ!
やっぱり映画ってテンポが良くないと時間が長く感じますね。実際そんなに長い作品ではないのに状況が二転三転するたび、えぇ!まだあるのか!と思ったりしてました。あ、でもButcher Talkは面白かったです。会話を周りに聞かれたくない時に使う言葉で、単語(文)を逆から読んでいくの。例えば“This is a pen.”だったら“Nep a si siht.”とか。これって話すのも理解するのも相当難しいよね? ニューサウスウェールズの肉屋達に伝わる用法なのだそうです。

あとガイ・ピアースって、私好みなのかそうでないのかよくわかんなくて何だか判断に困る。めちゃくちゃタイプってわけじゃないんだけど放っておくのも勿体ないというか。実に悩ましい人です。たまにグッとくる顔つきをすることがあるんだけどなー、でもトータルでは微妙なんだよなー。今度「メメント」観てみよう。



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トエンティマン・ブラザーズ 【THE HARD WORD】

2002年 オーストラリア / 日本公開:2003年
監督:スコット・ロバーツ
出演:ガイ・ピアース、レイチェル・グリフィス、
ロバート・テイラー、ジョエル・エドガートン、
ダミアン・リチャードソン
(劇場鑑賞)


2003年07月08日(火) (メモ)

さぼりっぱなしですみませーん! 風邪ひいてました。今ちょっと治りかけです。夏風邪流行ってますよ皆さんお気を付けて!
で、ネタ(と時間)がないのでとりあえず今日のところはここ1〜2ヶ月にビデオで観た作品の一言感想を書き殴ってお茶を濁したいと思っております。適当に三本。

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■ アメリカン・サイコ(2000/米)

こ、こういう人だったのかベイル王子って…!(違う違う)

それなりにグロエグいのにどこかコミカルなところもあったりして不思議な映画でした。(映画としての)全体的な印象はいまいちだったんだけど、でもクリスチャン・ベイル王子は堪能させていただきましたわどうもごちそうさま!
あと関係ないけど、こうやってデフォー氏が普通の人っぽい役で出てると「ああ勿体ない!頼めば何でもやってくれるのに!」とか思ってしまいます。すいません。


■ 惑星ソラリス('72/ソ連)

アンドレイ・タルコフスキーの方です。ソダーバーグの「ソラリス」を観る前に予備知識を、と思って。
これは長いし音楽も最小限だし大変眠い(笑)。実際観ながら何度も眠ってしまってそのたびに巻き戻し巻き戻し。しかしだからといって決して面白くないわけではなく、むしろこういうテーマは個人的に非常に好きです。大好き。
漫画家の清水玲子さんの世界って意外とこの辺にルーツがあるんじゃないかなあ、と思ったりしました。

どうでもいいけど早くしないと「ソラリス」上映終わっちゃうよね。はい、わかってます。


■ マニカの不思議な旅('89/仏)

誰も知らないだろこんなの! フランス映画だけど台詞は英語。そして舞台はなぜかインド。主演は美の堕天使ジュリアン・サンズ。最近めっきり見かけませんな。

輪廻転生モノです。前世の記憶を持つインド人の少女マニカちゃん(10歳)が、記憶を辿ってかつての夫に会いに行く。そんなマニカちゃんを信じて一緒に旅する神父さんがジュリアン・サンズ。彼は神父だからそもそも輪廻という思想は受け入れられないわけで、そっちの葛藤も見どころではあります。が。そんなことがどうでもよくなるくらいにちょっと脱ぎすぎですよジュリアン! いや、そりゃあジュリアン・サンズたるもの脱がねば始まりませんけれど(そうか?)、いきなり冒頭からモザイクかかっちゃってるのにはわたくし驚きを禁じ得ませんでした。こんな童話のようなお話なのにいいのかそれで! 必要がないシーンで脱いでるという点ではレイフたんの大先輩と言えるでしょう。イギリスの俳優は皆潔くてよろしい。

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そんなところでしょうか。
ああ咳が止まりませーん。ぐるじいー。


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