明後日の風 DiaryINDEX|past|will
山の中腹に小さな湖が広がっている。 まだまだ、寒い。大きな霜柱が登山道を持ち上げている。 7月にはアヤメが咲き誇るという。その時、また来て見たい、と思った。
満員の登山者を乗せたバスは、細い山道を残っていく。 「やっぱり山はいいなぁ〜」ということになるのだ。 小さなアップダウンと、ちょっとした鎖場などに冷や汗をかきながら、歩きやすい道を進んでいく。「木漏れ日」という言葉がちょうどいい、山道を登りきると、塔ノ岳山頂だ。 先週に続き、初心者君も参加。といっても別人で、 「きついっす」 と言いながら、ぱっぱぱっぱと登っていた。やはり年齢には勝てない。 これからの長い大倉尾根の下山の前に、富士山が一瞬だけ顔を見せてくれた。今年は雪が多い。
4両編成の電車が奥多摩駅を目指して走っている。 御前山への道は、取り付きからすぐさま急登となる。登るに連れて視界は広がり、眼下の奥多摩湖のブルーが広がってくる。1,000m近い標高差は決して楽を許してはくれないのだが、眺望が最高のカンフル剤になる。 勾配はあるものの広くて歩き易い道に、我々は軽快に進んでいく。カタクリの群落が登山道の両側に続くというのが有名なのだが、春の訪れの遅かった今年は、まだまだ花には程遠い。時折、日差しの中に紫色の美しい花を咲かせていた。とぼけたカタクリ、というところだろうか。 2時間少しで山頂に到着。数組のパーティーがランチタイムを楽しんでいた。 登山初心者の某くんは、登山の休憩の時から菓子パンばかり食べている。 「パンばっかりだねぇ〜」 と尋ねると 「甘いものがいいと思って、パンばっかり買ってきました。しょっぱいものが食べたくなるんですね。失敗しました・・・。唐揚げおいしそうで・・・。」 隣の御仁が食べていた「唐揚げ弁当」がさぞかしうまそうだったのだろう。 見かねたリーダーが、「しょうゆ煎餅でも食べる」と一言。初心者君、恵みの「しょうゆ煎餅」をおいしそうに頬張っていた。 「気持ちいいですねぇ〜」 という言葉が広がる。まあ、皆で歩いて来てよかったな、と思える春の一瞬だ。
気分のいい日曜日。 「どこまで歩こうか」 日暮れと相談しながら、歩くつもりで、いつもの稲荷山コースに取り付く。高尾山には、いくつもの道筋があるのだが、舗装路は嫌いだし、谷の川筋の道はこの時期にはやや寒い。なんとなく、いつもこのコースを歩くことになる。 ほどなく鎮座するお稲荷さんに手を合わせ、快調に進んでいく。震災の影響か外国人はほとんど見かけることがなく、昔の静かな高尾山に戻っていた。 最後の急な階段を登ると、山頂。 「十三州大見晴台」 なんども高尾山には登っていたのだが、こういう大仰な名前をお持ちだとは全くしらなかった。 これから、僕は先に進む。 奥高尾。ほとんど人は、ここ高尾山頂で引き返してしまうのだが、この先こそ、静かな山歩きが楽しめる。 城山、小仏峠と過ぎて、すれ違う人も少なくなり、僕は最後の急登を登り景信山へ。そろそろ日も傾き、店じまいという感じの茶屋で、なめこ汁を注文する。おにぎりには、このほんのりと七味の効いたなめこ汁が絶妙にうまい。 「どちらから?」 と言う主人に 「高尾山から歩いてきました」 「京王線も普通に走っているの?」 「そうですね。大丈夫です。」 「高尾山は混んでいた?」 「まずまずです。ついこの間のような大混雑ではないですが・・・」 「そう」 と少しばかりやりとりをした。 こんなやりとりができるのも、静かな奥高尾ゆえと言えるだろう。
さわ
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