明後日の風
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2011年02月27日(日) chaoticな空間の中で

 旭川盆地には雪原が広がっている。
 2月末とは言え、北海道はまだまだ冬。薄暗い雪雲に覆われ、春はまだまだ遠い。
 北海道最高峰の旭岳の麓、旭岳温泉。湧駒別(ゆこまんべつ)温泉という旧来の「音」が好きで、僕は常々、意図的にこの名称で呼ぶことにしているのだが、雪深さは旭川盆地の平原の比ではない。雪の壁の中に道路は続き、宿が点在しているのだ。
 全ての音を雪の壁が遮断しあるいは吸収をしていく中、天井の高い大きな浴場に「カーン」という檜の風呂桶の音と、注ぎ込まれる湯の形容しがたい緩やかな音だけが響いている。温泉の湯気も音を出しているのではないか、と思われるほどの、微妙な間、がこの空間に充満している。

 この音と間の絶妙な混濁。
 この、秩序あるchaoticな事象の中に身を委ねている、自然と、混沌としている頭の中が整理されてくるように感じるのだ。cahoticなのだから、そこに一定の秩序がある、と言えばそうなのだろうけれど、1年間の整理と銘打って、冬の雪の時期、東京からこの温泉場まで足を運ぶ一番の理由が、ここにある。


2011年02月16日(水) 強行軍のファーストフード

 「う〜ん、腹が空いたな」

よく考えると、小倉駅で立ち食いうどんを食べただけで、腹も空くはずだ。
 小倉で仕事をこなして、特急ソニックに乗り大分へ。今日のうちには東京に帰るという強行軍で、食事すらままならない。

 全ての仕事を終え、これから空港へ行こうと大分駅にやって来た我々の前に、なんともノスタルジックな感じのカレー屋があった。その名も
 「カレーヤ」
直球勝負である。

 関西人の魂に火をつけるというのか、こういう直球勝負には答えなくてはいけないでしょう、といい訳をして、腹ペコの我々は入店した。




 「ドライカレー」
赤い色付きのハムが入る、今となっては、なかなかお目にかかれない贅沢な一品。

 空港行きのバスが発車するまで15分余り。スプーンで掻き込むと、その辛さにじんわりと汗が滲んでくる。
 「高校時代に部活の後に食べたよな、と思わせる味」
と言えばピンと来るだろうか。
 大分を訪れたら足を運ぶ店が、また一つできた。

 そう言えば、「味カレー」なるスナック菓子もあり、九州発祥だったような記憶がある。こういう習慣性の高いカレー文化は、九州の十八番なのだろうか。


2011年02月06日(日) 三点セット

「うわぁあああああ・・・」




 今年初めての山歩き。
 郊外電車に乗って、1時間あまりの静かな駅に降りた我々の目の前には、たんまりと花粉をつけた杉の雄花が広がっている。
「またしても嫌な季節になったな」
とは思いながらも、だからどうなるわけでもなく、気分を切り替えて山に進んでいく。

 昨年末に一度訪れた山。
 それだけにルートはしっかりと頭に入っており、見所も承知している。下山後にはいい具合に日帰り入浴施設があり、痛んだ体を休めることができる、という完成された感じもなかなかいいのだ。

 里山の中を縫うように走る登山道はそれなりに考えられていて、アップダウンがないようにうまく計算されている。
「どう考えても、これは個人のお宅の中でしょ」
と思うようなところに里の道は続いているのだが、
「どうもすいません」
とちょっと、頭を下げ気味に、我々は通過していくのだ。

 運動をし、風呂に入り、そして訪れる生ビール。
 この3点セットに優るものはない。
 今年の山登りは幸先がいい感じがする。


さわ