明後日の風
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日暮れ時になるとめっきり寒くなる。スチーム暖房の熱気が、足元から広がってくる、気動車らしい独特の車内。 「今、流行りの岩盤浴」 とでも言いたくなるような車内。 学生で満杯だった下り列車と違い、上りのこれに乗客はまばらだ。
いつも通り、窓脇にペットボトルのお茶を置いて車窓を見る。列車の旅の僕のお決まりスタイルだ。
列車は関東平野を南下する。
すこし腹が減ってきた。立ち食いそばでも食べようか。
冬晴れの一日。 山寺の厳しい山容の向こうに、どっしりとした山並みが見える。 月山だ。 「ガッサン」 というこの重量感のある音(オン)が、僕は好きだ。
空気がすっきりとしているのか、今日は山の輪郭が特に際立っている。
仙台から仙山線、山形新幹線と乗り継いだ僕は、月山、朝日連峰、そして飯豊連峰と、雪の明峰を独り占めした。 ゴトゴトとした揺れを、窓枠に置いた肘で感じながら、目の前を名画が流れていく。
米沢から「牛肉弁当」が列車に運ばれてきた。 悩むなぁ〜。買おうかなぁ〜。 列車は「峠」に差しかかる。
今日の宮古島は冬模様。生憎の天気を覚悟していたのだが、少し薄日が差してきた。なんとか天気は持ちそうだ。
昨日は主人と話しながら随分ワインを飲んだ。安ワインだ、と主人は言ったが、ちょっと発泡系の赤ワインは随分するすると喉を通っていった。 「あぁ〜、ふわぁ〜」 と、伸びをしながら、朝のテラスに出る。 二階にある僕の部屋からは、池間島の海がよく見える。小さいが新しいこの民宿の白いテラスは、コバルトブルーの海を眺めるのには最高だ。 ・ この時期にTシャツ一枚でいられることの贅沢。 ・ 何もできないという贅沢。 ・ だからこそ、いろいろなことを発見できるという贅沢。
テラスからふと下を見ると、犬がとても気持ち良さそうに寝ていた。
この寝顔を見たら、この天国の説明はいらない。 多分、明日もまた、幸福な朝を迎えるに違いない。
この海の色は、10年前と変わらない。
「やはり、日本一の海」と確信。
10年前、滞在時間切れでやむなく諦めた砂浜。
今回はたっぷりと時間をとった。 僕しかいない砂浜がどこまでも続いている。 長間浜(ながまはま)は、宮古風に「なぁ〜まはま」と呼びたい。 海に入るしかないでしょ。
さわ
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