明後日の風 DiaryINDEX|past|will
さらりと晴れた。 「蘭越町富士見台」 ちょっと渋さのある、北海道にありながら、古い日本の気分がする標柱がよく似合う。紛れなく、「ここは日本なのだ」と言いたいに違いない。 こういう思いがけない絶景を見つけた時、本当の喜びがこみ上げてくる。
昨日の残像が残る。 静かのオンネトーの湖上に、赤焼の一筋が光っている。 ほどなく、日が暮れた。 そして朝。 十勝平野の脇にある小さな温泉で向かえた朝は、あいにく、曇天だった。 すさまじい突風と戦いながら狩勝峠から見る十勝平野は、これからやってくるだろう冬の厳しさの予兆を感じさせる。今日は、その分水嶺の日なのかもしれない。
何度来ても良いところがある。 湖畔の茶屋に入った。 気のいいご夫婦がやっている。ストーブが暖かい。 アイスミルクをいただいて、「オンネトー」の湖の色の神秘について話を聞いた。諸説あるらしいが、ご主人曰く「もっともらしい」一つ、なのだそうだ。 もうすぐ、このご夫婦も山を降りる。長い冬に入るのだ。 再び20年前に戻ろう。 当時、まだ北海道には随分鉄道が残っていた。その一つが、標津線である。パイロットファームの中を、上り下りして機動車が進んでいく北海道らしい路線だった。今、既にその線路はない。 オンネトーを後にした僕は、車で東に向かった。パイロット国道の路肩に車を停めた。列車で感じた「コトコト」という音から感じる何かは、既にないが、風景はそのままだった。 摩周岳に向けてハンドルを握る僕は、なんとなく気になって再度オンネトーを目指した。 夕暮れ。寒さが広がる時間に、最高の景色を見えてくれた。 やはり、何度来ても良いところだ。
さわ
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