明後日の風
DiaryINDEXpastwill


2008年10月13日(月) 日本の北海道

 さらりと晴れた。
 昨日の強風が嘘のような陽気だ。

 効能豊かな温泉の効果だろうか、僕は、伸びやかな国道を避けて、ニセコの山筋の道を走っていく。既に紅葉の季節だ。
 切り通しとカーブの続く道を登り詰めた時、山が見えた。



 「蘭越町富士見台」
 ちょっと渋さのある、北海道にありながら、古い日本の気分がする標柱がよく似合う。紛れなく、「ここは日本なのだ」と言いたいに違いない。
 こういう思いがけない絶景を見つけた時、本当の喜びがこみ上げてくる。


2008年10月12日(日) 季節の分水嶺

 昨日の残像が残る。



 静かのオンネトーの湖上に、赤焼の一筋が光っている。
 ほどなく、日が暮れた。

 そして朝。
 十勝平野の脇にある小さな温泉で向かえた朝は、あいにく、曇天だった。
 すさまじい突風と戦いながら狩勝峠から見る十勝平野は、これからやってくるだろう冬の厳しさの予兆を感じさせる。今日は、その分水嶺の日なのかもしれない。
 


2008年10月11日(土) 20年の時間

 何度来ても良いところがある。
 オンネトー、はその一つだ。

 20年以上も前、まだ大学生だった僕のはじめての北海道旅行で、迷うことなく選んだ地でもある。ガイドブックの「ブルーに光る秘境の湖」という言葉に魅かれたのである。
 その時も10月初旬。正に、この時期だ。夜行電車と青函連絡船を乗り継ぎいでやっと訪れた網走。更に、バスと最後にはタクシーまで乗り継ぎ、やっとのことで到達することができた湖だったのである。タクシーで走った雌阿寒温泉への道路は未だ整備中で、砂利道を猛スピードで白煙を上げて走ったことに、その山「秘境」を実感した。

 時代は過ぎた。今、オンネトーは道東の人気の観光地の一つになっているようだ。観光バスもひっきりなしにやってくる。
 それを避けるため、朝の新鮮な湖にやってきた。
 雌阿寒岳と阿寒富士は雲に隠れているが、早朝の混じり気のない光に、新鮮さが広がっている。




 湖畔の茶屋に入った。
 気のいいご夫婦がやっている。ストーブが暖かい。
 アイスミルクをいただいて、「オンネトー」の湖の色の神秘について話を聞いた。諸説あるらしいが、ご主人曰く「もっともらしい」一つ、なのだそうだ。
 もうすぐ、このご夫婦も山を降りる。長い冬に入るのだ。

 再び20年前に戻ろう。
 当時、まだ北海道には随分鉄道が残っていた。その一つが、標津線である。パイロットファームの中を、上り下りして機動車が進んでいく北海道らしい路線だった。今、既にその線路はない。
 オンネトーを後にした僕は、車で東に向かった。パイロット国道の路肩に車を停めた。列車で感じた「コトコト」という音から感じる何かは、既にないが、風景はそのままだった。




 摩周岳に向けてハンドルを握る僕は、なんとなく気になって再度オンネトーを目指した。
 夕暮れ。寒さが広がる時間に、最高の景色を見えてくれた。


 やはり、何度来ても良いところだ。
 


さわ