明後日の風
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2008年06月29日(日) おいでませ山口へ

 梅雨前線が活発に活動している。
 広島でレンタカーを借りて、西に走る。
 今日の宿は、山口の湯田温泉と決めた。
 「おいでませ山口へ」
というTVコマーシャルの音色が、記憶のかなたに残っている。それから20年は軽く越えているのだが、山口県というところをその気になってしっかりと訪れるのは今回が初めてだ。

 湯田温泉というのは相当歴史の古い温泉らしく、また、山口という地域が、温泉天国である、ということも、実は今回、その気になるまで知らなかった。

 雨の中国自動車道。それも相当な土砂降りだ。中国自動車道の最高地点なるものが、広島から山口への途中にある、などという、雑学を仕入れつつ、西に走る。
 やっとのことで到着した、湯田温泉のお湯は、透明でほっとできるお湯だった。

 風呂上りに外に出る。温泉街はそれなりに活気があり、一軒のラーメン屋の暖簾をくぐった。
「ラーメンください」
の前に、
「生ビール」
と言ってしまう僕が悲しい。財布の中には1000円札がしっかり2枚っきり。
 店主にその実態を正直に伝え、2000円でしっかり楽しめるコースをセレクトしてもらった。ちょっと大きめのジョッキに生ビールを注いでくれた店主に感謝。

 朝が来た。


2008年06月28日(土) 徘徊ドライブ

 ぶらぶらと九州を深夜ドライブ。
 決して徘徊している訳じゃないけど、熊本から阿蘇に向かい、早朝の少しずつ明るくなっていく空間を感じながら、阿蘇の広いカルデラの直線道路を走るのは気持ちいい。急カーブの峠を越えて、山中を走った僕は、なんとなく長湯温泉に引かれていたようだ。決してここが目的地だった訳じゃないのだが、
「温泉に入れないかな」
という、やんわりとした期待感がここに連れてきた感じだ。
 朝の六時。
「こんな時間からやっててよかった」
勝負に勝った自分は満足である。

 川に面した露天風呂には、地元のお客さんらしき人が一人。雨が降ったのだろうか、やや水量の多い川のゴーゴーという音を聞きながら、深夜ドライブで寝不足の僕に、めずらしい炭酸泉のお湯が浸透してくる。
「プハー」
という深呼吸をしながら、僕には珍しい長湯をし、涼しい畳の座敷で横になる。当然ながら眠ってしまった。

 こういう、なんとなくドライブは、当然新たな発見も多い。
 長湯を後にした僕は、湯布院を目指した。段々畑の続く細い道をぐるぐると登っていく。農道が湯布院近くの湯平温泉まで続いているのである。ふと「男池湧水地」の看板。目的地を急遽変更し、男池遊水地とその先の久住に向かって左にハンドルを切る。道は更にぐんぐん登っていき、途中にあった炭酸水の「白水鉱泉」を一口いただき、更に登る。その名も「ぐるっとくじゅう周遊道路」。最近は、こういうお茶目なネーミングも流行ってきていて、しっかりと、看板の写真を撮る。
 少し開けると、男池駐車場であった。

 車を駐車して、僕は小雨の中を歩いていく。こんな雨の日にこんなところへ来るのは僕くらいのものらしい。入口の料金所で傘を貸してもらい、森の中に入っていく。透明度の抜群の水が流れる小川の木橋を渡り、更に森を進むと湧水地があった。
 明るい群青の池から滾々と絶え間なく水が湧いている。
 


2008年06月22日(日) ライバルの味

 平成の大合併のお陰で、どうも学生時代に必死で覚えた地名が無になってしまい残念だ。
「十文字ラーメン食べたい!」
とわざわざ、東京から600km以上も車を走らせても、そこは横手市に名称が変わってしまい、そのまま大曲まで車を走らせると、そこは大仙市。
それ以外にも、
「奥州市ってどこ?、今回地震が起きた栗原市は?・・・」
そういえば、宇都宮の北には「さくら市」というのもある。もしかすると、「佐倉」と姉妹都市提携くらいしているのだろうか?

 それはさておき、十文字でラーメンを食べる前に、道の駅で「横手やきそば」を食べた。十文字が横手に名前を変えたのだから、ある意味、
「正当ふるさとの味」
になった訳だ。ちょっと半熟様の目玉焼きに、紅しょうが、これが横手やきそばの定番である。

「いただきま〜す」

心で叫んで、太めの麺をすすりつつ、ふと見上げると
「富士宮やきそば」
のメニュー。「横手」の人にとって、ライバル「富士宮やきそば」はやはり気になるらしい。作っているのはしっかり横手の人でしょうけど。


2008年06月21日(土) 鉛温泉

 とっぷりと日が暮れた。日が長いこの時期でも、さすがに午後7時半ともなると真っ暗である。

 仕事道具を積み込んで、愛車のハンドルを握ったのは、午後2時前。関東平野から離れたい、まさに逃避行で東北自動車道を北上してきたのだが、そろそろ今日の宿を決めねばならない時間だ。仙台近くのパーキングエリアで、「地元産のそば粉を使用」と銘打ったそばを食べ終えた僕は、携帯電話の宿泊予約サイトを検索する。

 「鉛温泉」
なんとも、効きそうな名前の温泉がヒットする。湯量豊富な南花巻温泉郷最深部の秘湯の宿だ。夜型人間がひっそりと仕事をするには好都合の宿であろう。
「果たして、これから行ってチェックインできるのだろうか」
この一点が気がかりであり、恐る恐る宿に電話を入れてみる。
 予約係は、やや驚きを禁じえない風だったのだが、
「素泊まりしかできませんが、どうぞいらしてください」
とのありがたいお返事。

 それから2時間。森を彷徨った先に一軒宿の灯りを見つけた心地で宿に滑り込んだ僕は、その効能の高い温泉を独り占めしている。10mは軽くありそうな天井のある、やや照明を落とした感じの温泉場の広い空間に、ひたひたと湯船から流れ出る温泉の音だけが響いている。


さわ