明後日の風
DiaryINDEXpastwill


2007年07月28日(土) 山頂の風(第11回蓼科山頂音楽祭)

 「今日はいい御来光だと思うよ」
という声に、小屋の三段ベッドから飛び起きた。新調されたという、山小屋とは思えないふかふかの布団から出るには、なかなか勇気がいる。「もっそり」と這い出した。

 「いつもの朝」
その実感は、この音楽祭が、自分にとって、山頂のそれという特殊さから日常の一部になった、ということを現している。
 大きな太陽がしっかりと昇ってきた。

 ゆっくり山頂の広場を廻ってみようと思った。標柱を後にし、一人、蓼科特有の岩石群を飛び石のようにして広場の端まで歩いていく。僕しかいない展望台から、小さな湖沼を湛え、ゆるやかなカーブを描いて蓼科高原が広がっていた。5度目の登頂にしてはじめての景色。日常の先には、常に新たな新鮮さがあるようだ。
 上昇気流が登ってきた。



2007年07月08日(日) ペンキのお誘い

 蓼科山。
 僕たちはピークを目指し、最後の急登に挑んている。
 岩場が続く悪場として有名だが、ゴロゴロとした岩が続くこの傾斜は、リズムに乗れば気分が良い。ホイホイと登っていく、という感じなのだ。2300mを既に超えている。岩の両側には、イワカガミが一面にピンク色の花を咲かせ、7月というのに、まだ新緑の若さがまぶしい。
 その時、雲が晴れた。

 緑は明るさを増し、振り返ると、歩いてきた山並みが一望できる。北八ヶ岳の特徴である立ち枯れ、縞枯の道が続いている。梅雨の湿度のうっとうしさ、靄や霧といった開放感のなさ、を避けてここまでやってきた我々に、神様はご褒美をくれたようだ。

 僕たちは空に向けて登っていく。黄色いペンキの矢印が、「こっちにおいで」と誘っている。


 


 


さわ