徒然帳
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2005年10月31日(月) |
.....300文字SS/1-2(スレナルイノ) |
「やっぱり綺麗だよねぇー」 「そうかぁ?」
疑問の声を上げながら、先程から自分の髪を触って堪能している彼女を見上げた。 うふふと実に楽しそうだ。どうやら本気で綺麗だと思っているらしい…。
自分の髪といえば、忌みの対象でしかなかった。それが当たり前で変えられない事実であると、幼い頃から自覚していたのに……どうにもこうにも手放しで誉められると調子が狂う。 実際に綺麗な見本が目の前にいるのだから増々もって不可思議でしかない。 白金色の綺麗な髪。 彼女の方こそ綺麗なのに。そう思いながら触れてみる。やっぱり自分の髪よりもやわらかくて滑やかだ。
「俺はこっちの方が好きだけど」 その髪に触れ、彼女に囁いてみた。
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2005年10月30日(日) |
.....300文字SS/1-1(ハオ葉) |
01:君の手のぬくもり
いつも遠くから見つめていただけだった。 そんなこと考えたこともなくて、ただ……漠然とだがあれがボクノ弟なのかと思っただけで 、そこに宿る感情はなかった。 けれど……。そう、今はどうかと聞かれればボクは断言するね。 この手のぬくもりは離せない一一一一ってさ。
ホントに自分でも吃驚だよ。思ってなかったさ、こんな風になるとは流石のボクでもねぇ〜。 驚きよりは嬉しさのほうが優っているのはこの手の中のぬくもりの所為だね。 こんなにあたたかかったのは、君だけだった。 心地よくて、嬉しくて……なんだかほんわりとしてしまうのは、この手だけだった。 君の手だけはどんなことがあってもきっと、手放せないんだとその時、思ったよ。
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bzen
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