徒然帳
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2005年06月18日(土) |
.....夏の病気(葉&まん太) |
照りつける太陽が眩しい。 少し歩いただけでドッと汗が出てくる7月始め。まだ学校は休みに入っていない。むしろ
「‥‥‥‥‥夏は嫌だね、葉クン」 「ほぇ?? なにが?」 「だって、アレが活発になる時季じゃないか」 「あれ‥‥? ‥‥‥って、なにが?」
判らないと首をかしげる葉に、重たい辞書を片手に隣を歩いていたまん太は溜息一つ。くるりと前進を遮るように振り返った。
「ほら商店街の薬局前で流れてたじゃないか、あの歌のやつだよ」 「‥‥‥‥????」 「テレビでもコマーシャル流れてたし、結構有名なんだけど‥‥‥ほら、松平良拳の、あのCM!」 「松平良‥‥‥ん? もしかして‥‥‥あれか? 馬に乗ってる‥」
つーめの水虫、みつけたらぁ〜 お医者さんに行きましょうぉ〜
「‥‥‥って、いうアレか?」 「そーそー!それだよ、それ!! 夏は水虫に悩まされる季節だよねって、言いたかったんだよ僕は」
毎年年々増え続ける水虫人口(‥‥‥いやな名前だ)は、もはや当たり前となってきている。ひと昔前は水虫なんかになったら恥ずかしくて病院にも行けなかった時代である。薬局で水虫の薬を買おうとすれば「嫌だ、あの人。水虫なのー?」って嘲笑われると思うと嫌で、嫌で、買いに行くなど出来なかった。水虫なんか早めに治せるなら軽傷の内に治してしまえば良かったのだが、二の足を踏んだのは世間の目を気にしてだ。被害妄想だと言われても、どうしても行けなかった。そんな時代がちょっと前まであった。 だが、今は国民病として水虫など当たり前になっている。そりゃ‥‥ちょっとは恥ずかしが、それでも病院へ行く人も増えたし、薬局では手軽に水虫薬を購入できるようなった。
「蒸し暑い時季なんて最悪だよね。夏場は靴の中が蒸れてより水虫になりやすいし、ケアをちゃんとしないとうつる病気だから大変だよ。家族にだって迷惑かかるし、完治するまでにけっこう時間がかかるし‥‥‥。僕の父さんなんて、仕事が忙しくてここ五年も放っておいたら酷くなってたって、嘆いてたよ」 「そりゃ大変だな」 「人事じゃないよ、葉クン。最近は小学生だって水虫になってる人、多いんだから。中学生はその倍、高校生なんてさらに倍々だって話だよ。気を付けなきゃ」 靴を履き、靴下でいる時間が長い人ほど水虫傾向になっているようだ。学生など長時間、靴を履いたままでいる事の方が多い。途中で脱ぐなんてことはほどとんどないからだろう。 「あれだよね。靴がもっと通気性が良くなれば水虫対策になると思うんだ」 「それって、どんなんよ? ちょっと想像できねぇんだけど‥‥」 「そうだねー‥‥例えば、靴に穴が開くと蒸れることってなくなるよね。確かに履き潰してボロボロになった靴はみっともないけどさ、通気性は抜群じゃないか。だからさ、わざと靴に穴を空けてあるデザインとかならあってもイイと思うんだよね。水虫防止の靴で売り出したら売れるとおもうんだけどなー」 「おー、それアリだな」 「でしょー?」 まん太はやっぱり小山田カンパニーの息子だ。思考の根底には『商売のため』という基本があり、何かを考えるときには、ついつい商売と結び付けて考えてしまうまん太だった。だが、そこはあくまでも無意識なので、これが本当に商売につながることはない。単なる暇つぶしの会話のひとつとしてまん太は何気なく話しているのだから。
「葉クンは水虫に‥‥‥‥」 ちらりと葉の足元を見て、まん太は苦笑する。 「なったことないよねー」 「おお。オイラずっとサンダルだったからな」 便所サンダルに裸足。 水虫になる確率は低いだろう。 「もしかして家族も‥‥裸足なの?」 「うーん。家ではほとんどサンダルか下駄だしなー」 葉は首をかしげた。 「そういえば母ちゃんはパートの時は靴だったような‥‥‥幹久は問題外だしな」 「葉クンのお父さんか‥‥‥」 脳裏に浮かんだ葉の父親。麻倉幹久は裸足だった。 まん太は数回しか会ってないが、ほとんどが裸足で、それどころか素っ裸だったときもあった‥‥。褌一丁で現れるものなんのその。女性の前でも平然としているあの男に靴はありえないと、まん太は確信している。 (あの人なら裸で修行もアリだし)
そういえばハオは‥‥‥と、考えてやめた。 あれこそ常識を越える存在だからだ。 思わずまん太は乾いた笑いを浮かべた。
「ははは‥‥とにかく水虫と縁のない生活でよかったね」
---メモ--- あの歌が頭の中でリピートしてます(><) もう、大変よ!
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