vol.37 ウォークマン忘れたよう! - 2002年09月09日(月) はい、忘れました。行きのバスの中で。家を出るときに何か忘れ物したような気がしてた。でも何を忘れてるのかわからない。 で、やっぱり忘れた。ウォークマン。レッスンを録音できないじゃないかぁぁぁぁぁ。 師匠は、まず先日のライブのお礼を言ってくれた。そして、 「そうそう、こんなのがあるのを話そうと思ってたんですよ」と、師匠が見せてくれたのは、ビデオと楽譜がセット(といっても別売り)になっている教材で、Bill Dobbins というアメリカのジャズ教育家が書いて弾いたものだった。題名は「Contemporary jazz pianist」といって、シリーズで4巻くらいまである。この人がある一つの曲を代表的なジャズピアニストや作曲家のスタイルを真似て幾つもの「〜風に」を作ってしまい、解説しているのだ。ビデオではわかりやすくゆっくりの発音で喋ってくれてる。でも聞き取れない。駅前留学が役に立ってない。それを知ってか知らずか「英語も割と簡単で、わかりやすいでしょう?」と師匠はおっしゃる。返事ができん。「発音がわかりやすくていいですね」と強がっておいた。 レッスン。「弾けましたぁ?」と言われたって、ウィントン・ケリーに似せて弾くなんて出来ないよう。あんなニュアンス。なんかタッチが浅過ぎるし。いちおうドルフィンストリートを弾いた。前よりは誉めてもらえたけど、自分ではちっとも弾けてないのがわかるだけに、却って不満だ。 ウィントン・ケリーのがミスタッチなのかわざと汚いタッチなのか、の区別がつかないと師匠に言うと、 「ニュアンスというかクセというか…でもそんなに言うほど粗い弾き方でもないと思うんですけど。ホレス・シルバーなんかの方がそれこそクセがキツイですよ」ということだった。 確かにホレス・シルバーは好き。ちょっとタッチが汚いかもしれないけど、彼のピアニズムは私に言わせると濃いィジャズというか、一昔前のピンク映画(そんなん観たことないけど)を彷彿とさせるサウンドなのだ。そのいやらしさが何となく好き。ある種のジャズを聴いてる気がする。 で、アート・テイタムのはジャズというよりは、「ピアノ」を聴いているかんじ。彼のテクニックはクラシックでも十分通用すると思う。いや、超えてるかも。さすがホロヴィッツがマークしてた?ピアニストだな。 そして、トリオのピアノパートを弾いていても、正直飽きてくるし左手が退化しそうで恐くなってくるので、クラシックの曲(最近はシューマンのファンタジーの1楽章かショパンの3番ソナタの終楽章)も練習してしまうことを白状した。 師匠は漸く私がソロの楽曲でないことに退屈していることを理解したようだ。師匠は折に触れて「トリオとかで演奏する時は…」という話をするのだが、「たぶんそんな機会はないと思います」とそのたんびに私が返事しているその真意をわかってなかったようだ。クラシックのピアノだとどうしても個人プレイが多くなる。それにトリオやカルテットなどのアンサンブルや他の楽器などとの伴奏は、ソロが上手に弾けることが前提になっている。ジャズの場合はどうなのか、今の私にはよくわからないけど、クラシック流に考えたらまずピンでやることが先かと思うのだ。 ピンってなにかって?ソロよ、ソロ。漫才だって「パートナーと別れてピンでやることにしました」とか言ってるじゃん。 師匠:「ソロの方がイイのかもしれませんね」 私: 「はい、是非そうしたいです。それに、私の目的は、 生徒がジャズの簡単な楽譜を弾きたがるときに、 本人に合ったレベルに書き直せることとか、 自分で演奏する時、たとえばガーシュインの曲などの アドリブが出来るようになりたいとかなんですよ」 師匠:「つまりそれは理論なんですよ。例えばスライドを使うとかですね」 スライドというのは、いわゆる ズン、チャン、ズン、チャンっていう伴奏型のことをさす。古いタイプのジャズに多いみたい。 で、それならば、ということでドルフィンストリートを中断して、ソロの楽譜を弾くことになった。良い例として、Phinease Newborn Jr.、Hampton Hawes、Teddy Wilson、Gene Harris の名を挙げてくれた。楽譜は日本で買うのもいいけど、ネットでアメリカから簡単に早く買えますよ、とURLを教えてくれた。前述のBill Dobbins の教材もビデオも楽譜も売っているらしい。 で、とにかく楽譜を手に入れることになった。 ... vol.36 タッチとニュアンス - 2002年09月08日(日) 先日の師匠のライブで師匠はこんな質問をしてきた。 「音の出ない鍵盤を扱ってるところ知ってます?」 確か母校にあったぞ。音の出ない鍵盤。学内ホールでの卒業試験のとき、冷たい手を温められるように石油ストーブと音なし鍵盤が舞台袖に置いてあった。ドイツ帰りの母校でも腕利きの教授が自分のを家から持ってきて置いておいてくれたらしい。そう、持ち運びが出来るのだ。でも、師匠はなんのためにそんなの欲しいのかな? 「旅行先にも持って行けるから練習できるし」 ひょえ〜!!!!!師匠、旅行中までピアノの事考えてんの?いや、確かに学生時代は私も練習が出来ないから旅行は余りしたくない方だった。1日くらいはともかく、2日以上弾かないことがあると、不安で不安でたまらなかったものだ。しかし、最近はどうしたらピアノ練習のモチベーションを維持する事が出来るか悩むくらいなのだ。 「先生を見習いますぅ」と答えるしかないのだ。 なんでも、売ってるところがないので調律師さんに聞いてみたら、「作ってあげますよ」との事だったそうだが、それから随分と経っているらしい。 私:「音の出ない鍵盤なんてイライラしませんか?」 師匠:「頭のなかで音が鳴っているから別にそんな事ないですよ」 …ホントにそれでいいのかなァ。クラシックはそうも行かんぞ。だって10日間くらいの旅行で弾けない程度なら、テクニックそのものなんてすぐ取り戻せるもん。問題は微妙な音のニュアンスを出すためのテクニックが落ちているかどうかが心配なのだ。だから音の出ない鍵盤なんて手が冷たい時の手慣らしぐらいしか意味ないと思うんだけどな。 ニュアンスで思い出した。 ウィントン・ケリーのドルフィンストリート、もっとニュアンスをよく聴いて弾いてくるよう師匠に言われたんだっけ。それで、CDをよーくよーく聴き始めた。すると、ニュアンスをつけているのか、単にテクニック不足なのかわからないタッチばっかりという事に気付いた。「ちょっと待ってよー。テクニックはアタシの方が上手じゃん???」って思うくらいに。 明日はレッスンだ。その点を師匠によく聞いてみよう。 ... vol.35 初「ひとりジャズクラブ」 - 2002年09月07日(土) 暑い!前回のレッスンのあとは、ただひたすら暑くて何も練習する気が起こらなかった。おまけに帰省の予定もあり、帰省先にはピアノがない。お墓参り以外は、ただダラダラするだけ。 8月30日はいつものトリオやカルテットとはちがい、師匠とベーシストのデュオのライブがある。演奏人数が少ないほど彼のピアニズムが良くわかるだろうと思ったので、生徒のレッスンもないことだし、行くことにした。 よし、「最近知り合った殿方」と行こう。彼はジャズが嫌いでないうえに、たまに自らジャズクラブにも聴きに行くらしい。何より彼とジャズは同じ「アメリカ〜ン」。私のジャズクラブ初体験に同行する紳士としてなんともふさわしいではないか?夏のバーゲンでイケてる黒いワンピースも買った。これを着て大粒のガーネットのリングにスワロフスキーの真紅のネックレス、真っ赤なサンダルとバッグ、エアコンの効きすぎ対策に長袖のベージュのシルクカーディガン。いやぁ、夏の夜のジャズシーンにはこの位の暑苦しさがイイじゃん、イイじゃん。 …と思っていたら、誘う前に彼の都合が合わない事がわかった。え〜っ、それはないよぅ、ハナ金なのにこんなイイ女がひとり夜遊びじゃと? ま、いい。ひとりで行こう。どうせ女友達のほとんどは子育て中だし。そうよ、一人で行ってカウンターにでも座ってたら、熱い視線を送ってくるイイ男がいるかもしれない。ひひひひひ。 以前、高槻ジャズストリートでぎりぎりの時間に着いて師匠のライブが聴けなったから、今度は30分早くお店に行った。しかし、行ったらお客は私が一人目だった。お店の女の子が「おひとりですか?」と聞く。「はい」と言うと、彼女は「カウンターにします?テーブルの方がイイですかね?、あ、この席はいかがです?」と勧めてくれたのだが、その席はピアノの椅子に座って手慣らしをしていた師匠の真正面、しかもメチャクチャ近かったので、師匠に「こんばんわ」と挨拶して「私がここに座ったら、先生いやですよね?」と言って、カウンター席に座った。ひひひ。 カウンターに座ってイイ男の誘いを待たなきゃ???? 師匠はなかなか自分のライブに来ようとしない私がいきなり姿をあらわしたものだから、ちょっとびっくりしていた。私は、晩御飯を食べていなかったけど食欲もないのでジンジャーエールを頼んだ。手慣らしを終えた師匠はこっちにやってきて私に<最近買ったクラシックのCD>の話をし始めた。なんでも<超絶技巧系>のCDなのだそうだ。リムスキー=コルサコフの<熊蜂の飛行>を扱いたいと思って原曲を聴いてみたら、思っていた以上に余りに速すぎて参考にならなかったので、編曲ものを探したら1枚しかなかったそうだ。ピアニストの名前は忘れた。ニコライ・カプスチンがジャズとの融合を試みた曲を書いた話をすると、興味ありげだった。…とそこへ、彼の知り合いらしいオジサンが店にはいってきた。どうやら彼のライブの常連さんのようだ。な、な、なんと、いきなり私の席のひとつ置いて隣にどかっと座るではないか!!!ちょ、ちょっとまってよ、そこは私に声をかけてくるであろうイイ男の座る席なのにィ! しかも私を打ちのめすように、お客はそのほかは20代のOLとおぼしき二人組だけだった。ベーシストが小1時間交通渋滞に巻込まれたので、それだけライブの開始が遅くなったというのに。なんかそうなると、イイ男の出現よりも師匠の実入りの方が心配になった。 師匠と常連さんは私にいろいろな話をしてくれた。特に印象に残ったのは師匠がみせてくれた手帳大の大きさの分厚いスタンダードピースのコード本。ページの上に曲名、あとはコードネームしか書いていない。師匠曰く「楽譜にすると著作権とか問題になるからじゃないですかね?」とのことだった。一番最後のページに出版元が印刷してあった。もちろんアメリカだが、なんとその出版社の所在はいっしょに来てもらうつもりだったアメリカの彼の出身地だった。そうか、彼は本に化けてここに来たのか。 1回目のステージが終わって師匠はいきなり私と常連さんの間の席にどかっと座った。なんて言おうかと思っていたら、彼は大きくため息をついて、すぐに別の席に移っていった。出来具合にちょっと不満そうな様子だった。私も彼の演奏は少しばかり調子が悪そうな気がしたのだ。 しかし、2回目のステージでは彼らしさを取り戻したようだった。彼に限った事ではないが、よくもまァ即興であれだけフレーズが出てくるなぁ。いったいどれだけの抽斗を持っているのだろうかと感心した。 2回目のステージが終わって「どうでした?バランスとか」と聞かれて返事に困った。「そんなこと聞かないで下さいよォ」と焦ると、「クラシックの人が聴きに来るととても緊張するんですよね」などとおっしゃる。そんなことないよぉ、先生テクニックちゃんと持ってるとおもうよ。 10時前になったのでもうそろそろ退散しようかと思ったけど、常連さんに引き止められたし、私も最後まで聞いてみたかったので、次ぎも聴く事にした。と、そのとき新しいお客さんが3人来た。師匠の先輩ミュージシャンたちである。師匠は2曲くらい弾いたあと、なんの説明も無しにいきなり私の聞き覚えのある曲を弾きだした。 おお!!!ドルフィンストリートではないか!私のために弾いてくれてるんだぁ!師匠にとってはこんなのは普通の事なのだろうが、私は素直にありがたいと思った。フレーズの中には師匠が私のノートに書いてくれたのと同じものが幾つか出てきた。 そのあと、師匠は来てくれた先輩ピアニストに席を譲ったので、3曲ほどその人が弾き、また師匠が1曲弾いて終わりになった。先輩ピアニストはヴェテラン世代の人で、フレーズの作り方は何となく師匠よりも「練られた」感じがしたが、それは年齢と経験によるものだろう。師匠のはフレッシュでハッピーだから。けれど、師匠の方がテクニックの上では確かだったし、音も師匠の方がまろやかできれいだな。 「最後まで聴いてもらって有難うございました」と師匠にいわれた。いえいえ、こちらこそドルフィンを弾いてもらってとても嬉しかったのだ。お礼をきちんと言って帰ってきた。 実は、師匠の弾いたほかの曲名を私はここに書いてない。そう、なんの曲だかワカンナイのである。一つでも多くのスタンダードを覚える必要性を痛感した。また機会があったら師匠のライブに行こうと思う。 ...
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