出向コージ苑

2002年10月31日(木) ハロウィーン

お祭り好きの日本もイースターとハロウィーンは定着していない。
その理由はわからないが、それはともかく今日はハロウィーン。
貧血であまり(というかかなり)体調がよろしくなかったコージ苑なのだが、
七味屋さんほか、日本人の方々に夕食にお誘いいただき、
夕食もびたいち準備していなかったのでのこのこと出かけてみた。

普段は日が暮れるとゴーストタウンのごとく人気のないR市街。←言い過ぎ
今日ばかりはいるわいるわ、鬼やら魔女やらかぼちゃやら。
一日中寝ていてはっきりしない頭でそれらを見ると、
自分が今どこにいるのか分らなくなってくるような光景である。
レストランでも、
カウンターの向こうではとんがり帽子をかぶった魔女がビールをつぎ、
それを欧州版デーモン閣下が受け取っている。
その中でコージ苑たち日本人は、おとなしく夕食を食べる。

ああ、文化の差だなあ(この詠嘆に意味はない)。



2002年10月30日(水) 日本車

作文の授業で。
「どんな車が欲しい?」と学生に尋ねた。
皆、口々に「日本の新しい車(新車のことであろう)がほしいです」と答えた。
こいつらそこまで日本ファンなのか?いやまさか。
「日本車がいいの?」と聞く。
「はい、日本の車はいいです。プジョーとか。」
…ロッタちゃん、それは日本の車では…

※※※

安部公房『壁』
15.6の時に読んで、
アリスとエンデとカフカを魔女の鍋で煮込んだような本だと思った。
10年以上たった今、何かもっと穿った感想が持てるかと読んでみた。
…同じ感想だった(泣)。



2002年10月29日(火) 代理人兼貸出人兼看護人

朝、出勤準備をしていたコージ苑に電話が一本はいる。
Y先生、完全にダウン。
今日彼女が担当するはずの授業に関する指示を受け、
急遽代理人になったコージ苑は、結局朝食をとりそこねたまま大学へ向かった。

1階の学食で適当に胃をふくらませ、
自分の授業とY先生の授業に備える。
といっても、別に物理的にたいした準備があるわけではなく、
なんと言うか、二倍の心構えというものが必要なのだ。
少なくともコージ苑にとっては。
授業開始時間少し前に、2年生にY先生の欠勤と伝言を伝え、
自習についての指示を与える。
時間が余った時のためにビデオを数本残して、次は自分の教室へ。
こちらは普段のペースで、それでも少々早めに終わる。
2年生の教室に戻ってみると、彼らは某音楽番組のビデオを見ていた。
音楽が盛んなL国のこと、日本のポップスはある意味で彼らに大受けだった。

嵐のように授業を終え、大使館へ向かう。
こちらでもY先生からの伝言を伝え、用事を済ませた後にAさんと少し世間話など。
本が好きなんですよ、という話題から、
大使館にある本が貸し出せるという情報を教えてもらった。
で、今日早速借りてきたのは、なにやら高尚そうな一冊。
感想は無事読破してからのお楽しみ、である。

休む間もなく、近くのスーパーで買物をし、
寝込んでいるY先生宅へ。
気分が楽になるかもと、大学から借りてきた日本のビデオ持参である。
中身はずばり「ちび○るこちゃん」である。(ハナワ君ラブリィ)
あまり重いものは食べたくないというY先生に、
夕食代わりにフレンチトースト卵抜きをつくる。
1時間ほど様子を見て、暗くなる前に帰宅。

結局の所、何かあったようだが特別なことはしていない、という一日である。

※※※

有栖川有栖『海のある奈良に死す』
先の『双頭の悪魔』からすると、今いちかしら。
最後の謎解きがきれいすぎるというかなんと言うか、
あっけなさすぎという感じが。
ちなみに「ヘルレイザー」という映画、
ホラー嫌いのコージ苑が珍しく見たことのある作品である。
あれは…ヘヴィメタルだなあ、画面も展開も。
中国四千年の鍼灸まっ青の、針だらけの頭がなかなかロックしてるのだ。



2002年10月28日(月) おでんでんでん

ジャンキー熱にうかされて、昼ご飯はマクド。
コージ苑、日本ではテリヤキ好きで、
当然こちらにはそれがないので、マックチキンというやつが定番である。
病気療養中のY先生はフィレ(←療養?)。

週末に、名づけて「気晴らし旅行」をする計画をたてている。
大使館勤務の七味屋さんを巻き込んで、L国の南、L国へ。
日程やルートを決めるので、今夜はY先生宅で晩御飯を兼ねて打ち合わせ。
そして晩御飯は、めっきり寒くなったこの頃にぴったりの「おでん」である。
大根が手に入るというのは本当に助かるなあ。
他にはロールキャベツや昆布、高野豆腐に卵にジャガイモ、カニかまなどなど。
七味屋さんはお酒もいける口なので、三人してビールが進む進む。
いい加減で自制して、かろうじて打ち合わせもしたが、
次の日が休日だったらただの飲み会になったに違いない。

今週末が今から楽しみ。
Y先生の風邪が、それまでに完治する事を祈る。



2002年10月27日(日) うじうじ

前日の電話が思った以上に自分の中で暴れているらしく、
終日「こげぱん」のようなやさぐれた気分で過ごす。
別に腹たてちゃいないけど、なんだかやる気が失せた。
というわけで、食事も手抜き、仕事もほどほど。
学科内の教材情報を整理するために、ファイルメーカーなどいじっていた。



2002年10月26日(土) 帰るな

実家から電話があった。
母を通じて、父の伝言。
「航空券の代金をあげるから、冬帰るのやめたら」
…そうくると思ったよ。
高校の時も大学の時も、同じ台詞を聞いたもんだ。
しかし今回のはケタが違う。
うーんどうしよう、とそこでなやむコージ苑もコージ苑だ。
それにしても、うーんどうしよう。

※※※

鈴木貞美『身も心も』
これはすごいかもしれない。
恋愛小説と銘打ってはいるものの、果たして本当に恋愛か?
この人、こういう小説書くのかあ。
映画化される(のかされたのか)そうだが、
コージ苑が読んだ限りでは、舞台にした方が面白そう。



2002年10月25日(金) お仕事してもいいですか

コージ苑がL国に着いて2ヶ月と1日が過ぎた今日、
そして手続きを始めてからほぼ1ヶ月と3週間の今日、
やっと長期滞在と労働を許可するビザがおりた。
やあれやれ、である。
何しろ今までビザがないから建て前は仕事をしていないことになっており、
従ってこの2ヶ月間、給料が一銭も出ていなかったのだ。
当然その間の生活費は自腹。
(もっとも給料が出たとしても雀の涙なので状況はあまり好転しないが)
バスの定期毎日の食事、オペラ観劇から電話代、全部自腹。
部屋を修復する費用も生活用品を買い揃えるのも、当然自腹。←しつこい
しかしこれで!
これでやっと給料がもらえるんだー!!
…11月末には(しかも学部秘書さんに言わせれば「hopefully」)。
泣きたい思いで「給料のうち食費はいくら、電話代はいくら」と、
今のうちから皮算用をしているコージ苑である。

※※※

杉本苑子『山河寂寥(上)(下)』
平安時代、天皇の姻戚となる事で権力をふるった藤原一族。
見かけは雅で華やかなこの時代の裏の、政治的なかけひき。
いいねいいね、こういう筋立ては大好きである。
この本の主人公は藤原一族出身の一人の女官で、
作者は彼女の一生を通して、その時代を綴る。
後書きによれば、他にも藤原一族の軌跡を描いた本が数冊あるそうなので、
帰国した時にでも探してみようかしら。

佐藤正午『ジャンプ』
「5分で戻る」という言葉を残して失踪した恋人を探す男の話。
はじめは必死で捜索を続けるが、段々と彼女の存在が自分の中で薄れてくる。
そしていつのまにか日常にもどり、別の女性と結婚する。
後には解けない謎だけが残る。
これも人生の選択だと思っていた男が、5年ぶりに再会した女から聞いた事実は、
すっきりとした読後感を誘うどころか、彼にとってはかなり残酷なものだ。
実際コージ苑、読んでいる時はこの男にむかついていたのだが、
最後の最後で妙に同情してしまった。



2002年10月24日(木) 会議?

Y先生の声が出ない。
風邪の引き初めか他の病気か、
とにかく授業もままならないので、合同でやる会話の授業は早めに終わる。
年末の航空券の手続きなどしていると、突然S教授が現れた。
「お茶を入れましょう、お茶」といいながら自ら戸棚を開けカップを取り出し、
あれよあれよという間にお湯が沸かされ、お菓子が出される。
なんだ、何が始まるんだといぶかしんでいると、
同僚の先生が「会議だよ」と言う。
会議って、普通あらかじめ伝えられているもんなんじゃないのか。
うーんアバウトだなあ、と苦笑しつつ席につく。
テーブルには書類の山とお茶とお菓子とお酒と
…酒?←しかも日本酒
なぜ会議に酒が。

しかしこれは、初めての経験ではない。
英国留学中に、客員教授の特別講演会があった。
日本で特別講演というと、ホールで行われるとかそれでなくても大教室とか、
どちらにしてもあくまで真面目な雰囲気の中で行われる。
だがその講演会は、会場こそ大教室だったものの、
参加者に配られたのは講演のレジメと紙コップ。
そしてまわされてくるワインの瓶。
しかもご丁寧に赤と白の両方が準備されている。
驚いたものの、まあこんなもんなのかと飲んでいると、
一回りした瓶が戻ってきて、その後講演会が終わるまで延々とまわされつづけた。
終わる事には会場中酔っ払いである。

飲酒が必ずしも不真面目の現れとならない、という認識があるのかないのか、
とにかく今日の場合も「酒気帯び会議」が行われたのである。
コージ苑は下戸じゃないので、こういう時にも別に困りはしないけれど…
日本酒はもうちょっとおいしいのがよかったなあ。



2002年10月23日(水) 国家権力の証

近頃急激に早くなった日暮れ時のことである。
足早に自宅に戻ると、フラットの前に一台のパトカー。
盗難か強制捜索か?とどきりとしたコージ苑。←何かやましい事あんのかお前
さり気なく、さり気なーく通り過ぎざまに車内をのぞいてみた。

…パトカーの中でチューすんな警察!!(大笑)



2002年10月22日(火) はらいたサンドイッチ

寒すぎるのか、朝起きたらお腹が痛い。
お下品で申し訳ないが、身支度の間何回もお手洗いへ駆け込んだ程だ。
自宅でならそれもまたよし(←よくない)、しかし学校でこれは困る。
仕方がないので、必殺「カイロサンドイッチ」で出かける。
これはお腹と腰、2枚の「貼るカイロ」装着でダブル効果をはかるのだ。
さすがのハライタも参るだろう、と余裕で家を出たコージ苑。

暖房が建物内にしっかり効いているのを忘れていたため、微妙に地獄を味わった。

※※※

父選書その1。
高尾慶子『イギリス人はおかしい』
威勢のいいおばちゃんが書いたイギリス論。
イギリス論だと林望あたりが有名であるが、
あれはあくまでアッパー(もしくはインテリ)な方々の暮らしぶりということで、
あれを期待してイギリスに渡るととんでもないことになる、かもしれない。
その点本書はただのべた褒め本とは毛色が違って、
確実におかしいし、確実に悲しい。
ちょっと文体がコージ苑の好みから外れるけど。



2002年10月21日(月) 休日出勤パート2

日本語教師といっても、当然ながら日本語だけ教えて暮らせるわけではない。
日本でも外国でも、スタッフが少ない所では事務作業もその仕事となる。
しかし、普段は授業に追われ(といってもコージ苑の勤め先はかなりかなり楽な方)、
なかなか余分の仕事が出来ないのが実状である。
やらなきゃね、やらなきゃねと言って1ヶ月近く経った作業を片付けるために、
本日も休日出勤。

まあ休日出勤ということは、無理して朝の大混雑の中を出かける必要もない。
いわゆる「オフタイム出勤」をする。
道は昨日からの雪が凍っており、滑りそうで怖い。
しかし車はこのぐらいなにさ、ってなもんで当たり前のようにチェーンなし。
そっちが良くてもこっちが怖いわ。
発車の時タイヤが思いっきりすべってるし。

本日の終わらせるべき作業その1は、大量のコピー
毎度の事ながら、コピー機のおんぼろさには泣かされる。
両面コピー手作業なんだよ!おまけに紙詰まりとか紙すべりとかするんだよ!
(せめてどっちかにしてほしい)
ああ、T波大学の留センのハイテクコピー機が懐かしい。
ついでに3分でテープのコピーが3本出来る機械とか、倉庫一杯にある文房具とか、
大きいホチキスとか大量のコピー用紙とか、全部まとめて懐かしい。
っていうかくれ、ちょっとでいいから。
…などとぶつくさ言いながら作業を進めていたが、
1時間過ぎた頃、遂にギブアップ。疲れた。

その2はビデオの分類とラベル貼り。
分類は既に終わらせていたため、パソコンで作成したラベルをプリントアウト。
といってもラベルシールなんて豪勢なものはここにはないので、
普通の紙にプリントした後に「糊」で貼るのだ。←原始的
しかもこの糊、固形は高くつくというので水性のものを買ってきたのだが、
口が完全にプラスチックでふさがっている。
どこかに穴をあける突起でもあるのか?と見るが、そんなものはどこにもない。
困って学生に聞くと、「ここ(口)をはさみで切ります」。…あっそ。
これはこっちが文明病(?)だわ。ちょっと恥かしい。
作業を進めているうちにある事に気づいた。
日本製のビデオテープは、ラベルが簡単にはがせる。
アジアの某国製のものは一見同じようだが、びりびりと後に残ってしまう。
ああ、やっぱり日本て細かい所まですごいなあ。便利すぎ。

結局夕方までこれを続け、ぐったり疲れて帰宅する。
帰りにスーパーにより、今日のご褒美にビスケット一包みとバナナを3本。
お猿のチーチー気分である。



2002年10月20日(日) 雪と箱

目が覚めて、気配を感じた。
いつもより明るくていつもより静かな今朝、外は魔法がかかったような雪景色だ。
外に出て測ってみる気もないが、積雪5センチ程度。
昨日買物に出ておけばよかったと思っても後の祭り。

午後、ドアがノックされる。
もしかしたら、と思うまでもなく、ここ数日待ち望んでいた郵便だ。
学生に読ませる本がなくて、結局親に頼んで送って貰ったのである。
予想以上に大き目の箱を開けると、文庫本ばかり10冊以上。
こちらから頼んだもの以外は全て未読である。
偉いぞ父!すごいぞ父!!強いぞ父!!!←誉め殺し
それに今回は嬉しいおまけつき。
マンガ文庫2冊と、郷里の漬物とラーメン。
特に後ろ二つは、最近自炊のネタが乏しいコージ苑にとって天の助け。
あまりにも嬉しくて、日本に瞬間国際電話をかけてしまう。
(註:瞬間国際電話=30秒以内で用件を伝える国際電話。
主な用件としては「小包ありがとう」「週末いないよ」
「かけなおして」等がある。)

「心理的で象徴的な小説が読みたいです」などという、
その後数日間コージ苑を悩ませたリクエストを出した4年生達、
今度は池澤夏樹の「スティル・ライフ」で君たちが苦しむ番なのだ。
当然読んだ後は感想文(コージ苑が子どもの頃大嫌いだった)が宿題だ。
うわはははは!←教師の醍醐味を味わっている

…しかし、あの作品はこっちも語彙調べや解釈なんかが大変だという噂も…



2002年10月19日(土) 晴天なり

何日ぶりだろうか、この晴天。
なのに外出の用事もなく、目的なしに出かけるまでの気にもなれず。
「せっかくの天気に外出しない」という選択肢もある意味贅沢かなと、
思いつくまま読書をしたりおやつを食べたり、
時々ちょろっと仕事をしてみたり。

※※※

有栖川有栖『双頭の悪魔』
コージ苑いうところの「贅沢な休日」は、読書なくしては成立しない、事もある。
こんな分厚い文庫本を一日で読んでしまうというのも、これまた贅沢。
確か以前に中篇に挑戦して今いちだったのだけど、
やっぱり長編は読み応えがある。
連作と聞くと、シリーズ全部読んでみたくなるのは人情。
確か図書館に『孤島パズル』があったはず。次はそれだ。



2002年10月18日(金) 休日出勤

金曜日だというのに仕事である(←当たり前という意見も)。
春に行われるスピーチコンテストの企画書を手に、大使館へ。
企画書、といっても今の段階では大したことではなく、
無事通過して大使館の協力も得られる事になった。

Aさん、待ち合わせたY先生とそのまま昼食。
コージ苑未体験ゾーンのウクライナ料理のお店へ行く。
ウクライナ風ボルシチは、この寒さの中ではかなり体に嬉しい。
ポテトとコーヒーもつけて一人200円。かなりいい。
キエフカツレツがおいしいということなので、給料祝いに来ようかな。

昼過ぎからは大学で事務仕事。
政府関係の書類をひとつ仕上げるために、5時間近くかかってしまった。
(今時手書きっていうのはどうなのよ)
それでも、この貧乏な大学に教材10万円分くれるっていうんだから、
文句は言わないでおくことにしよう。

玄関になにかアクセントが欲しくて、
通りがかった花屋でドライハーブ(といってもほとんど単なる草)を束で買った。
今日は半日それを抱えて歩いていたのだが、
学校でも帰り道でも注目(と微妙な笑い)の的。
いいんだ、玄関に干草のいい匂いをさせるんだ。

※※※

島田荘司『眩暈』
2・3年ぶりの再読。
綾辻行人とか島田荘司とか、一時期はまって読みまくった記憶がある。
前者に関しては、確か2冊目で犯人が(偶然)あっけなく分ってしまったため、
興味も半ば薄れてしまった。
しかしこちらの作者に関しては、
怪談めいた薄気味悪い話が、謎解きで怖くも何ともなくなるという、
まさに「幽霊の正体みたり」の諺どおりの展開が面白くて、
当時発表されていた作品をあらかた読んでしまった。
ただ、この人にしても京極夏彦にしても、
話途中で披露される薀蓄が、楽しいんだけどちょっと長すぎて…
後の話に絡んでくるだけに無視できないところがまたつらい。
それにしても上半身が女で下半身が男というのは…逆よりいい…かな?



2002年10月17日(木) ヘアスタイル

毎週木曜日は会話の授業がある。
毎回あるテーマに沿った待遇表現を使って会話の練習をし、
学生にペアでダイアローグを作らせて、次の週に発表してもらう。
根っから明るい2年生は、毎回面白いシナリオを作ってくるが、
その中でも一人、オリジナリティの塊みたいな学生がいる。
彼女の名前はローラ。

今日のテーマは「誉める/誉められる」。
とかく大袈裟に誉める日本人に会った時の対応の仕方を練習した。
クリスティとペアを組んだローラは、「誉められる」役である。
指名されて前に出てきた彼女は、頭に箸をぶっちがいに挿していた。
塗り箸ではない、単なる木でできたもので、
しかも男性用なのか、やたらと長い。
はっきりいっておかしい。まるで人間アンテナである。
なんのつもりだと思っていたのだが、二人の会話を聞いていると…

どうやら日本髪のつもりだったらしい。
Y先生と二人で爆笑。
ちなみに他の学生たちも拍手喝采である。
いやいや…彼女は大物になるわ。



2002年10月16日(水) コートとにんにく

ここ数日、「えげつない食べ物」が食べたくてしょうがないコージ苑である。
インスタントの焼きそばとか博多ラーメンとかハンバーガーとか、
居酒屋のニンニク丸揚げとか焼き鳥(しかも皮)とかこてっちゃんとか。
で、授業後、休日のY先生と待ち合わせてマクドで昼食。
久しぶりだとおいしく感じてしまうところが恐ろしい。

徹底的にコートを探すが、中々いいものが見つからない。
デザインが良ければ値段が折り合わず、値段が安ければサイズが合わず、
サイズも値段も良ければ今度は丈が短い。
半端でなく高い買物なので、こっちも慎重になってしまい、
結局本日も戦果なし。

大使館勤務のAさんと三人で夕食をとる。
以前から興味があった「ニンニク料理専門店」に挑戦。
三人ともお昼が遅かったので、注文は少なめにしてシェアすることにした。
前菜からニンニクのロースト、ガーリックトースト(二種類のペーストつき)、
サーモンのクリームソースパスタニンニク添え、
デザートにはアイスクリームのハニーガーリックソース。
(書いているだけでにおってきた)
最後にはちゃんと匂い消し用のイタリアンパセリがついて、満足。

遅くなったので、Y先生宅に泊まることに。
二人とも「自分が臭い〜」といいながら明日の準備をした。



2002年10月15日(火) 例文

毎週火曜日に、学生に手伝ってもらいながらL国語を勉強する事にした。
今日は2回目、第1課の復習からである。
日本語でいえば「こんにちは」「スミスさんですか」「これは大学です」ぐらいか。

日本語を教えていても外国語を習っていても、
コージ苑がいつも笑ってしまうのは初級の例文である。
例えばこんなの。

A:これは木ですか。
B:はい、これは木です。

見てわからんか、と脱力してしまう。
しかし忘れもしない中学校の英語の教科書に、こんな強烈なものがあった。

A:これは馬ですか。
B:いいえ、これは花です。

………。



2002年10月14日(月) はげ

とんでもなく風が強かった今日一日で、
自宅の窓のまん前にある木の葉は、紅葉を待たずにあらかた落ちてしまった。



2002年10月13日(日) 巨人

コージ苑、現在かなり不機嫌である。
理由は上階の住人だ。
彼(勝手に決めた)は、日がな一日大きな足音をたてて部屋を歩き回る。
かかとから足を下ろしているのでかなりうるさい。
そして始終何かをごとごとやっている。
床にどすんと物を置くので、こちらも大変耳障りである。
最初のうちは引越してすぐなんだろうしと我慢していたが、
さすがにここ数日、イライラがつのってきているのである。
おまけにテレビの音ったら、階下のコージ苑に聞こえる位の大音量。
音をたてずに動くという事を知らんのか、あんたは。
そうじゃなきゃきっと、上には巨人が住んでいるに違いない。
むむむー。

部屋では靴をぬぐ、というのを世界標準にして欲しい今日この頃である。



2002年10月12日(土) おおロミオ、ロミオ

またまたナショナルオペラ、本日はバレエ「ロミオとジュリエット」である。
優雅じゃねーか、などと思ってくれるなかれ。
こうでもしなきゃ本当に娯楽がない秋冬のL国である(首都でさえ)。

2時間ほど前にY先生と待ち合わせをして、買物をする。
どうにも寒くなってきたので、コージ苑名づける所の「黄金3点セット」
−即ち皮のコート、分厚い手袋、毛糸や毛皮の帽子−、が欲しいのだ。
まず、つい先日新装開店したベネトンをのぞく。
どんより曇り空が連日続いているものだから、
店内にあふれる原色がやけにまぶしい。
しかしくさってもイタリア製のベネトン、お値段もまぶしかったりする。
値札をひっくり返しまくって悩んだ挙句、
グレーがかった紫色の帽子とマフラーをセットで購入(←原色じゃないじゃん)。
毛皮のコートは中々見つからない。
早くしないと、いつか道端で冷凍マグロ状態になってしまう。

さて、バレエである。
会場は満席状態(もっとも3分の1は観光客だった)。
演出がいいので知られているこの演目、
舞台が上下二層に分かれており、オケはそのまん中で演奏する。
そして指揮者が、通常では考えられないような大活躍をするのだ。
(詳しく知りたい方はL国へいらっしゃるとよいです)
物語は言わずと知れた悲恋もの…であるが、やっぱり笑える。
あの話、結局のところロミオの気が短いのが全ての原因じゃないだろうか。
「どんな薬やねん!」と突っ込みたくなるようなものを持っている、
あの牧師も相当あやしいぞ(何に使うつもりだったんだ)。
そしてジュリエットの両親ったら!
バレエなんだから当たり前なのだが、
息子が死んだっちゃ踊り、娘が反抗したっちゃくるくる回り、
嬉しがって跳び、悲しがって足をふり上げる。
…この家族おもしろすぎ。

ジャンプの高さと回転の鋭さで人気の、コージ苑がお気に入りのダンサー君は、
今日もひときわ大きな拍手を貰っていた。
主役じゃなくても、こういう役割で名を成すっていうのはいいなあ。



2002年10月11日(金) コージ苑、銀幕デビウ

ろくに寝られないまま、早朝に起床。
なぜかというと、本日コージ苑とY先生はバイトなのだ。
仕事の内容は「映画のエキストラ」。
日本人が少ない国にいると、たまにこういうおもしろい事が舞い込んでくる。
どんな映画かとか監督とか、ろくに情報もないまま指定の場所に出かける。

しかし骨の髄までニッポン人の二人は、
ここでなんとも疲れる半日を過ごす事になる。
まず、ロケバスで何をするでもなく1時間待ち。
のんびりやってきたトラックが、セットの設営を始めたのが1時間半後。
呼ばれて動きの指示を出されたのが、集合時間から2時間過ぎ。
…だったら集合時間遅くしてくれよ。
いくら「日」給だからって、人を待たせるにも程があるよ。
そして肝心の指示は、
コージ苑達に出している方もなんだかわけがわかっていない。
映画ってこんなものなのか?
話によると、一応有名な監督らしいんだが。
(ちなみに主役はかつて「ET」に子役で出演していた男性らしい)
同じ事、もしくは似たような事を何度も何度もやらされて、
すっかり凍えた二人が解放されたのは、5時間後のことだった。
たったワンシーン撮るのにこれじゃあ、いつ完成するんだろうこの映画。
日本で公開されないことを切に願う。

めでたくお給料を貰ったコージ苑とY先生、
しばらく旧市街をうろつくが、疲れたから帰ろうということに。
バス停に向かって歩いていると、
なんともタイミングよく(または悪く)、学科長のS教授に出くわす。
外国からきた客員教授を自宅に呼ぶということで、
私たち二人も誘われてしまった。
S教授はいわば上司、しかも優しくて人のいい女性である。
従ってこの誘いを断れるわけはなかった。
結局2時間近く、専門書で埋まった教授の自宅で飲んだり食べたり。

客員教授は、フランス人とロシア人のご夫婦である。
その奥様のお話。
調査でカトマンズへ行った時、
知り合ったフィンランド人のグループとクリスマスを過ごしたそうだ。
「そしてね、ロシアのクリスマスソングを歌ったのよ。
おかしいわよね、フィンランド人とフランス人とロシア人が、
カトマンズでクリスマスソング!」
奥様(というか教授)はそう言って笑っていらっしゃったが、
「フランス人とロシア人と日本人が、L国で英語を使ってお喋りをする」のも、
同じ位「あまりない」シチュエーションだと思ったコージ苑であった。



2002年10月10日(木) カルメン・イン・ユーゴ

公使に誘われ、Y先生と3人でオペラ観劇。
チケットも公使もち(←ラッキー)なため、2階の一番よい席である。
それだけで気持ち三割おしとやかになるというところがいい加減なコージ苑。

演目は「カルメン」。
L国のナショナルオペラ、バレエは正統派のくせにオペラはは前衛的という、
まことに対照的な二つの顔を持っている。
「カルメン」も例外ではなく、本来スペインを舞台にするべきところが、
ボスニア・ヘルツェゴビナとなっており、
従って役者の衣装もふわふわぴかぴかのドレスではなく、
灰色やら茶色やらの、Y先生曰くボスニアチックなものである。
加えて、台詞や歌は完全にL国語に翻訳されているため、
コージ苑は舞台上方のフランス語字幕を時折眺めながら鑑賞した。
といって、コージ苑は仏語が出来るのだと思ったら大間違いである。
記憶のジュラ紀あたりの地層から単語を掘り起こしつつ見ているため、
正直何の足しにもならなかった。

演出を全面的にアレンジしているとはいえ、
登場人物や話の筋、メロディが違うわけではないので、
大方は楽しく鑑賞する事が出来た。
ただ、ちょーっとカルメンが年増だったという気がしないでもないような。
気の強い年上の女に翻弄されるドン・ホセ、といった印象だった。

L国は歌が盛んな事で有名なので、
歌手の出来は勿論すばらしく、
特にドン・ホセ役のテノール歌手は、喝采を浴びていた。
バックのオケもめりはりのきいたいい演奏をしていた。
バレエもそうだが、この国のナショナルオペラ、結構質が高いかもしれない。
いいぞいいぞ。

休憩中にシャンパン、帰りに軽食と、
普段に比べたらとんでもなく贅沢なアフター5を過ごしたコージ苑、
夜はY先生宅にお泊りである。
リクエストにお答えして持参したサザンを聞きながら、
夜更け過ぎまでおしゃべりをする。
明日早いというのにこの二人…



2002年10月09日(水) 積「雪」?

今日は朝から寒かった。
ご丁寧に「貼るカイロ」(必需品である)まで装備していったというのに、
バスを待つ間にほとんど凍りかけたコージ苑である。
頭が痛くなるほどの寒さというのを経験するのは初めてだ。
今まで「寒くて痛い」んだと思っていたのだが、
実はそうでなくて、寒い所から暖かい所に入った時に、
耳やらなんやら、とにかくこめかみのあたりが痛むのだ。
早いところ帽子と手袋(手持ちのものより数倍分厚いやつ)を買わないと、
しもやけか凍傷にかかって首ごと落ちてしまいそうである。

2年生の作文の授業をしていると、目の端になにかちらちらとする。
見ると、窓の外ではプチ吹雪である。
先日の初雪解禁以来、毎日のように降るので迷惑極まりない。
ちっとは我慢しろと、空に向かって苦情を言いたくなるほどだ。
もっとも元々天気が変わりやすい北国のこと、
この雪も数分毎に降ったりやんだりする。
昼休みに昼食代わりのリンゴをかじりながら窓に降る雪を眺めているうちに、
何となく違和感を覚え、それが何か考えた結果ある事に気がついた。
…これ、本当に雪か?

粒がやたらと大きく、しっかりしているのである。
日本でなじみのある、あの何というかフワッとした感じが全くない。
塩や砂糖というより、金米糖。
従って、窓に当たると跳ね返っている「これ」は…雹に近いんじゃないだろうか。

ちなみにこの雪だか雹だかは、正味1時間程度で地面にうっすらと積ってしまった。
溶けろよ。←寒くて文句も口数が少ない
結論をいえば、本日のR市は氷点下を記録したのだ。



2002年10月08日(火) 通勤点描

いつも通りのバス通勤。
同じバス停から乗った長身のお兄さんがコージ苑の隣に座った。
そしてわずか2、3分後、コージ苑は恐ろしい事実に気づく。

椅子からはみ出ている足の長さが違いすぎるんですけど。

それだけならまだしも、目の高さは同じ位なんですけど。
…それって…

※※※※※

大使館で用事があったので、帰りがすっかり遅くなってしまった。
さしものL国も、最近では7時には暗くなるので、
ちょっと嫌だな、と思いながら超満員のバスに乗る。
市街地を抜け、ダウガワ川を渡ると、
そこには夢のようにきれいな夕焼けがあった。
乗客の視線が一様に空を向いているのを見て、
こういうのはいいなあ、としばらく疲れを忘れた。

行きと帰りでこんなに心境が違うなんて(笑)。



2002年10月07日(月) 楽ありゃ

日本が世界に誇る(?)長寿番組の主題歌ではないが、
お楽しみの後には仕事が待っている。

「苦」っていうほどのことじゃないけどね。

いやいや、10時間近くパソコン見つづけるのはさすがに…←もっと前々にやれよ



2002年10月06日(日) 週末小旅行

今日はエヴァの家族にクリスティ、Y先生を加えた6人で週末のドライブ。
母親の具合が悪いということで、
優しそうな父親と弟君を伴って現れたエヴァである。
行き先は車で1時間ほどのルンダーレ宮殿。
説明によるとこの宮殿、当時の領主が
帝政ロシアの女帝エカテリーナの愛人になった時に送られたものらしい。
…すごいかも。
そこらへんのホストがロレックスだのベンツだの貰うのとはケタが違う。
いくら愛人だってお城をぽーんとやっちゃうか?
下々の者には理解し難い感覚である。

ともあれ、宮殿はベルサイユやエルミタージュ程とはいかないものの、
人間の住居としては十分広くて十分豪華。
しかしソ連時代には兵士の宿舎として使われたこともあるそうで、
その時には食堂で若い兵隊さんがバスケットなどに興じていたらしい。←おいおい
ということで、この宮殿はいまだ修復作業中。
入場料だけでは資金をまかないきれないらしく、
各所に寄付金入れがあったり、時には結婚式場としても使用されるなど、
いじましい努力をしている。
ちなみにクリスティは「ここで結婚式をしたい」そうである。

今日はどうやらお城巡りがテーマらしく、次はバウスカ城へ向かう。
宮殿しかないルンダーレとは違って、こちらは近くの町もとても愛らしい。
お城はというと、これははっきりいって廃墟。
つまり遺跡にはなりきれず、
荒れるまま放っておかれたといった感のある場所だった。
それでも、こちらもこつこつと修復作業が進められている。
ほとんど新しいレンガで造られた城に、
果たして古城としての魅力があるかどうかは疑問であるが、
まあ少なくとも、ここの塔からの眺めは素晴らしかった。

それにしても今日は寒い。
10月も初旬だというのに、今日のR市は初雪である。
観光をしつつ散歩というのもいいのだが、鼻や耳がちぎれるかと思う。
とても外でランチというわけにはいかず、
車の中で各自が持ち寄った料理をあける。
コージ苑は、先週のドライブで学んだ彼らの好みを分析し、ポテトサラダを。
Y先生は体が本調子ではないので、チョコレートなどおかしを。
クリスティは母親特製のアップルケーキ、
そしてエヴァはお手製のサラダやサンドイッチ、魚のフライなど。
それに加えてこんな日に欠かせないのが、ポットに入れた熱いコーヒーである。
日本でも、寒い日にコーヒーを飲むとほっとするが、
ここではありがたみが全然違うのだ。

もう一つ、小さなお城に行ったが、こちらは外を散歩しただけである。
近くにある川に、白鳥を数羽見た。
周辺の紅葉とあいまって、とても綺麗な風景。

各自の家まで送ってもらい、リンゴまでお土産にもらってお開きとなる。
交通の便がいいとはいえない国なので、
こうして学生に誘ってもらう時が観光のしどき。
この調子で時々週末に遊べるといいのだが、
本格的に寒くなると、一切外に出たくなくなるのだとか。
残念、次の機会は4月になってからか。



2002年10月05日(土) コージ苑のエンゲル係数

ゆっくり起き出し、だらだらと喋りながらブランチ。
話題は主に昨日のハードスケジュールである。
しっかり寝たはずなのに、何故かまだ眠いのは余程疲れたのかただのぐうたらか。

昼過ぎにY先生宅を辞去し、帰り道にスーパーでお買物。
自宅近くのこの店は野菜があまりよろしくないので、主に保存食品を買う。
まだビザが下りず、従って給料をもらえていないコージ苑、
ここしばらく食生活は(お呼ばれ外食以外は)かなりぎりぎりだ。
物価が安いこともあるが、1ヶ月2000円程度に抑えなくてはならない。
それでも買物ごとに一つだけ、ささやかな贅沢をすることにしている。
今回のそれは、外国産のロースハム。
朝食のパンにのっけて食べるぞう!(泣けてきた)



2002年10月04日(金) 食事会ハシゴ

昨夜は「ショコラ」だの「アリゾナ・ドリーム」だの、
ジョニー・デップが出てくるビデオを延々と見ていたため、
二人して日が高くなるまで眠りこけてしまった。

昼過ぎに買物に出かける。
この寒さでガビガビになってきたコージ苑の肌を救うために、
昨日Y先生といろいろ相談したのだ。
ヨーロッパの基礎化粧品は、日本人にはかなりきつい。
かといって、いちいち日本で買ってくるには重いし面倒くさい。
ルーマニアにいたY先生、肌に負担のないシリーズを知っているという。
今度それを買って来てもらうことにして、
それまでの場つなぎに、自然食品などを売っているお店で化粧水とパックを買う。
ああ、女って面倒くさい。楽しいけど。

アレルギーの具合がどうもよくないY先生、
帰り道にフットバスを衝動買い。
コージ苑はその場で一旦別れて、家に帰る。
少し昼寝をして、着替えて再び市街地へ。
夕食を公使にごちそうになるのである。
川岸近くにある「上海」は、ちょっと高級な中華料理店。
自分の給料ではとてもじゃないけど入れない。
公使とY先生と3人、鳥のスープを皮切りに、魚のガーリックソース、
野菜のXO醤炒め、鶏肉のレモンソース(これは洋風南蛮みたいなもの)、
炒飯にビール、お茶とコーヒー。
まるで妊婦のようなお腹になってしまった二人である。

これで帰宅してゆっくりできたらいいのだけど、
今日はもう一つ食事会が入っている。
大使館職員の一人が近々転勤でロンドンへ行くので、
送別会が開かれているのである。
さすがにコージ苑とY先生は食べ物は受け付けなかったが、
飲み物を頼んで談笑する。

街は、今夜は遅くまでにぎやかだ。
なぜかというと、明日の選挙の前夜祭で、
旧市街でコンサートが開かれているから。

…選挙の「前夜祭」…(いいけどね)

おかげで夜かなり遅かったにも関わらず、
Y先生宅まで大して怖い思いもせず歩くことができた。
それにしても一晩に食事会2連チャンは疲れたわ。



2002年10月03日(木) 王子様とお姫様

コージ苑、クラシックバレエ初体験(勿論観る方)である。

※※※※※

オペラ座の本日の演目は「白鳥の湖」。
Y先生お気に入りのダンサー「セルゲイ」が出るという。
どんな人?と聞くと、「もうねえ、王子様なの」という答。
おお、王子様?白いタイツが似合うのかしらと、
かなり(色んな意味で)期待するコージ苑であった。

オペラ座は、こんな小国にしてはかなり立派なものだ。
観光客は勿論、地元の人たちもそれぞれお洒落をして来ている。
こんな子が、と驚くほどの小さい子が大人しく観劇しているのを見ると、
日本のしつけって…とちょっと思ってしまった。
何に重点をおくかはまあ、国によって違うのだろうが、それにしても。

さて、肝心の舞台である。
1幕は王子の誕生会から始まる。
舞台を所狭しと飛んで廻っている道化師は、どうやら「技術派」らしい。
ジャンプの高さ、回転の速さ、素人目にもすごいと分る。
しばらくすると、彼が登場するだけで観客が沸くようになった。
そして王子様セルゲイの登場。
………
…女の子かと思った。
なるほど確かに「王子様」だわ。
後に出てきたプリマも小柄な美人だったのだが、
彼と踊るとたくましいお姫様に見えるから複雑である。

「白鳥の湖」、ストーリーに関しては有名なので省略するとして、
休憩時間にコージ苑とY先生が話したのは、
「王子様ってバカだよねー」ということだった。
白と黒だぞ、間違い様がないだろ普通。
そんな彼と結婚してお姫様のその後の人生は果たして幸せなのか?←現実的

ついでにもう一つ、王子と魔王の闘いのシーンである。
まあ、喧嘩も優雅な事(笑)。
コージ苑は「さっき母親に貰った弓矢を出さんかい!」と、
心の中で烈しく突っ込んでいたのだが、
後でY先生に聞くと、あれは力でなく「真実の愛」で勝ったんだ、とのこと。
白と黒間違える男が真実の愛ねえ…←まだ言っている

※※※※※

夜の長いL国の秋冬、観劇は数少ない娯楽の一つ。
来週も観に行く計画を立てて、今日はY先生宅に泊めてもらう。



2002年10月02日(水) 朝の大冒険

ビザの申請をするのには、あきれるほどの時間がかかる。
今までにも書類の翻訳を頼んだり、銀行に口座を開いたりと、
ちょこまかと動かなければならなかった。
今回のクリアすべき「イベント」は、ビザの代金振込みと証明写真の用意。
夕方は仕事で時間がないので、朝少しだけ早起きして出かけた。
英語が通じにくい国なので(コージ苑の英語力の問題もあろうが)、
こんなちょっとした用事にも、中々手間がかかるのだ。

まず、口座を開いた銀行へ行く。
ここでは日本のように、番号札をとって順番を待つのだが、
機械の表示が(当然)わからないので、
どのセクションを選んだらいいのかわからない。
ちょうど守衛さんがいたので、身ぶりで「どこだ」と聞くと、
あっさり「ここだと思うよ」と答えてくれた。……英語で。
もうー、こういう事がたまにあるから困るんだよ。
これじゃまるでコージ苑があほである。
朝のことなので、1分も待たないで窓口に呼ばれた。
ここのおばさんは英語ができないが、書類を渡せば事は済む。
無事クリア。

次に証明写真をとる。
3分写真機械が、ここにはない。
なぜなら3分ではなく、5分かかるのである。
何故か郵便局に機械があるので、小銭を用意して行く。
見合い写真でもなかろうし、なんでもいいやと面倒くさがったコージ苑、
かなり適当な服と化粧でさっさと撮る。
他にやることもないので、機械の前でぼーっと仕上がりを待っていると、
エリツィンみたいなおじさんがいきなり話し掛けてきた。
ちなみにこの人はロシア語である。
勿論さっぱりわからないが、おそらく彼は
「そんなにへばりついてないでも出来たらわかるから」
とか何とか言ってたのだろう。
別に心配してるわけじゃないんだけどね。
そして写真がペランと出てくると、「ほらほら」と指差す。
わかってるってば、乾かしてるの待ってるんだよ。
おもむろに取り出して、おじさんに向かってニヤッと笑うと、
「よく撮れたか?」と聞いてきた(ようだ)。
よく撮れたよ、まるで犯罪者みたい。
ほらほら、と見せると、彼はふーむと覗き込んで「ハラショ」と笑った。
心温まるっつーか、外国でよくあるパンダ気分っていうか…



2002年10月01日(火) Yeeeeeees!

仕事を終えて自宅に戻った時、
何だかアパートの中が暖かいような気がした。
もしや。もしやもしや。
部屋に入ると、明らかに暖かい。
これは、これはもしや!

暖房が入ってる!!!!(ほのかにだけど)


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コージ苑