出向コージ苑

2002年09月30日(月) 怠惰

毎度のことながら、休日は怠惰に過ごしてしまうのだ。
今週は金土日と外出だらけだったし、まあいいかとばかりにごろごろしている。
活動的だったのは、小さいゴキブリを2匹と蚊を一匹しとめたこと位か。
(殺虫剤がなかなか効かなくてちょっと焦った)



2002年09月29日(日) 遠足

今週はどうも予定が詰まっているようで、
今日はクリスティの家族にエヴァを加えた5人で、
R市から車で1時間、国定公園の中にあるSという町に出かける。

まず、13世紀に建てられたというS城へ。
中世のお城っていうのはどこでも一緒だ。
確かイギリスで行った12世紀だか13世紀だかの城も、
レンガづくりで丸くて各階に部屋がひとつずつあって、
玉座っていってもただの木造の椅子で…
城や宮殿というと、どうしてもベルサイユの様な豪華なのを思い出してしまうが、
昔々からそんなのがあったわけじゃないってことだね。
近くの野原で、クリスティのお母さんが作ったケーキを食べながら、
温かいコーヒーを飲む。
敷地内にあるちょこちょことした設備を見て廻ったが、
一番印象的だったのはトイレである。
料金制のトイレは欧州でよく見るが、チケットを渡されたのは初めてだ。

次は車で更に奥へ、未舗装の道路を20分ほど行った所。
アマタ川という綺麗な川のほとりでバーベキューをする。
それぞれ持ち寄った食料を分けながら食べる。
コージ苑が話のねたに持っていったおにぎりを、
クリスティのご両親はおそるおそる食べていた。
初めての人に海苔はつらかったかもしれん。
そして本日のトイレ2つ目は、地面にただ穴があいているだけのものだった。
(扉があるだけましかも)
勿論こちらは無料である。

アマタ川沿いにもう少し行くと、大きな岩のある野原に出る。
ここでその「岩」に登る。
日本の神社かよ!という感のある、延々と続く階段をのぼりきると、
素晴らしい眺めが待っていた。
ちょっと日本の野山と似ている風景に、しばらく我を忘れてしまう。

クリスティが教えてくれたL国の迷信をひとつ。
小さな橋を渡るときに、心の中で願い事をするといいらしい。
ただし、何を願ったかは誰にも言わない事。
なるほどなるほど、とコージ苑も「お願い」しながら橋を渡ったのだが。
今日いくつそんな橋を渡った事か…(←しまいにはネタ切れ)



2002年09月28日(土) 初初初

Y先生の大家さんがノルウェーから来ている。
週末レンタカーを借りているというので、
郊外にあるショッピングセンターへ連れて行ってもらうことになった。
プラスチックのワゴンとかテレビとか、
大物をやっと買う事ができた。

夕方、R市近郊の海へ行く。
季節柄、とても水に入ろうという気はなかったので、
海岸を、貝を拾いながら歩いて「これがバルト海かあ」等とぼんやり考える。
スタンドで買ったココアがやたらとおいしかった。
それにしても、この国にはそこら中に森があって、
そこも海岸だというのに、50メートルも行かない内から木立の中である。
「この国は見通しが良くないよね」という大家さん。
確かに、すかっとした見晴らしというものはないかもしれない。
(その割に山はないのだ)

帰宅後は、買ってきたものをアレンジして、
とうとう最後の荷物を片付けることができた。
やっと「引越し」が終わった感じ。
これでケーブルが来てテレビがうつれば完璧。

それにしてもR市の郊外に行くのも初めて、
R市から出るのも初めてと、なかなかエキサイティングな週末だった。



2002年09月27日(金) 千と千尋の神隠し

R市では今月一杯、映画祭が開かれている。
日本からは、やっぱりと言うべきだろうか、「アニメ」が数本来ていて、
その中でも一番の呼び物は「千と千尋の神隠し」である。
会期中2度上映する予定が、チケットの売れ行きがあまりにも良いので、
さらに2回の追加上映が決定したらしい。
コージ苑はY先生や学生、同僚と一緒に今日の上映に行った。
日本では何人に一人、というヒットとなったこの映画であるが、
実はコージ苑、見たことがなかった。

L国で外国映画を上映する時には、字幕がつかないことが多い。
ではどうするかというと、
「弁士」が台詞に合わせて声を無理矢理上乗せするのだ。
今日もこの手段がとられており、日本語が時々聞き取れなかった。
(しかしそれは、L国人側も同様だと思う)
それでも宮崎ワールド爆発!といった映画で、満足できた。
会場での受けもかなり良く、これは人気が出るかな?といった雰囲気。
何しろ子供から大人、果てはL国で「超」有名な俳優なんかも来ていたという、
まさに老若男女がいっせいに笑ったり溜息をついたりしていたのだから。

帰宅後、遂に手を出してしまった青空文庫から、軽いのをひとつ。

エドガー・アラン・ポー「モルグ街の殺人」
これを読むと、ホームズってある意味パクリだなあ…
でもいいの、ジェレミー好きだから(笑)



2002年09月26日(木) 切り絵

ジャパンウィークと銘打って、大学に日本人の団体がやって来る。
昨日は大使館で映画(のビデオ)を上映したらしい。
そして今日は、大学で切り絵のワークショップが行われた。
コージ苑はてっきり、寄席で良くやる「紙切り」だと思っていたのだが、
黒い和紙を切り抜いて色をつけるという方であった。
机が余ったので、Y先生と一緒に参加させていただく。
実はコージ苑、小学校の時にクラブ活動でこの切り絵をやったことがある。
しかしその当時は和紙なんて使うわけもなく、
旧式の印刷機で出るインクまみれの黒い紙を再利用していた覚えが。
まあ、原画はちゃんとした作家の方のものなので、下手になるわけもなく、
全員がかわいらしく仕上げることができた。

楽しかったことは楽しかった。
しかし肩も腰もこってしまった。



2002年09月25日(水) 胸にこみ上げてくるものは

まだ本調子ではないが、前々から約束していたので、4年生とお茶に行く。
と思ったら、「しっかり遅めの昼ご飯」だったようで、
向かった先はピザ屋だった。

…チーズ…(涙)←コージ苑が人生に積極的に取り入れたくない食物No.1

それでも、1ヶ月前には首を縦に振るか横に振るかしか反応がなかった彼らが、
何とか日本語で会話しようとしている、その事実が嬉しい。
いいよいいよ、先生チーズくらい平気で食べちゃうよ!ほ〜らおいしいぞ!
(しかしその後、胸焼けがして夕食は抜いた。)



2002年09月24日(火) 百薬の長

一日中、咳をごほごほえほえほとやっていたら、
学生に「大丈夫?日本の風邪薬は効かないんじゃないですか?」といわれた。
「そうかなあ、L国の風邪にはL国の薬じゃないとだめかなあ」と聞くと、
「薬草酒ですよ!あれが効きますよ!」と口をそろえて言う。
じゃあ試してみようかな…とは言ったものの、もうとっくに飲んでたりして。

夕方、図書館の改装オープン記念セレモニーがあった。
簡単なお菓子もあるわよ、という声に誘われて、
やっぱり昼抜きのY先生と行ってみた。
もう片付けが始まっていたものの、いくらかワインとお菓子があったので、
薬草酒じゃないけど体が温まるかも、と赤ワインに手を出す。
「重装備ねえ」と学科長の先生が仰るので、
「風邪ひいちゃって」と苦笑いしながら答えた。
あらあら、と先生は近くにいた同僚にラトビア語で説明する。
(多分「この子、かわいそうに風邪ひいたんですって〜」という感じ)
すると、到着の時に空港まで迎えに来てくれた運転手のおじさんが、
無言でそばによってきて、無言で赤ワインをグラスになみなみとついだ。
まさに「どぼどぼ」といった勢いで、
ワインっていいよね、などとお洒落にグラスをゆらしてみるどころの話ではない。
そしてやはり無言で「どんどん飲め」と促すおじさん、
心配してくれてるのかも、とコージ苑はありがたくグラスを空けた。

ただねえ、風邪っぴきのすきっ腹に強いワイン2杯はきつかったんだな。



2002年09月23日(月) カレーライスを食べなさい

秋分の日の今日、L国は未だ7時半まで明るい。

まだ本調子ではなかったが、昼前に買出しに出かける。
明日までに必要なカセットテープと、今すぐ必要な箱ティッシュ。
その他食料品を…と、別段何も考えずにスーパーに向かったが、
「カレーライスを食べなさい」という食欲の神の啓示があったため、
黄金の3点セット(玉ねぎ・じゃがいも・にんじん)を買う。
肉は日持ちするソーセージ。
店の外に並んでいるミニ市場から、いつものように花を選ぶ。

固形のルーがないので、昔々家庭科で習ったのを思い出しつつ作る。
そこら辺にあったスパイス等を適当にぶちこんだら、
どうやらそれらしい味になった。
お米は日本産だし、幸せ幸せ。

乙川優三郎『生きる』
主に母のおかげで、時代小説を読むのに抵抗は感じない。
ただ、山周だの司馬遼だの池波だの、
最初からいいものばかりにあたってきたので、
他のものがどうにも物足りない、と感じる事が多い。
しかし、この話はいいんじゃないだろうか。
(だから、年寄りの出てくる話には弱いんだってばコージ苑は!)
実直な文体と実直な話。



2002年09月22日(日) 寝込む

数日前からの寒さに体が対応し切れなかったらしく、
昨夜から風邪気味で寝込んでしまった。
高熱が出たわけではないが鼻水がひどくて、一日中ティッシュを手放せない。
それでも、ベッドに横になって本を読んだりうとうとしたりしていると、
夕方には大分気分が良くなった。
明日が休みでよかったなあ…赴任早々病欠なんてみっともないし。

江國香織『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』
恋愛小説は苦手。
というより、人ひとりの感情を独白の形式で綴ったものが苦手なのである。
なぜかというと、コージ苑は本を熟読するタイプでは決してないので、
「一度読んでおもしろい」本、つまりストーリーの充実した方が好みなのだ。
(そして「何回読んでもおもしろい」のが当然お気に入りの本になる)
これは「何回か読んでおもしろい」本なのだろう。
個人的な恋愛の経験を質量ともにこなしていないので、
感情移入しきれないというか…

吉田修一『熱帯魚』
先の本と同様、本来なら文庫落ちを待って読む本。
芥川賞とか山周賞とかは、こういうものがとるのかと、
そういう視点で読んでしまった。
ただ、収録されている三本の短編ともに、
読みつつ脳裏に浮かんでくる情景がやたらと綺麗だ。
ドラマ化するといいかも。



2002年09月21日(土) おかいもの

二人ともぐっすり寝ていたようで、起きたのは昼前だった。
Y先生が突然食べたくなったというちらし寿司をブランチにして、
雨の合間を見計らって買物に出かけた。
今週に入ってからの寒さは最早日本の真冬なみで、
たまらず服を補充しようという目論見なのである。
新市街にMANGOがあるというので、そこまで20分ほど歩いていく。
時々思い出したように雨がふるので、折り畳み傘を手放す事ができない。

店内には、秋冬物にしては薄手の服が並ぶ。
Y先生によると、真冬は暖房が効いて室内では半袖でも大丈夫なくらいになるので、
めちゃくちゃごついコートに中は薄着、というのがこちらのスタイルだそうだ。
(そういえばイギリスでもそうだった)
従って、秋冬物といってもコートが出るくらいで、春夏と大差はないとのこと。
そうかそうかと納得しつつも、今!現在!寒いんだよ!!というコージ苑、
そそくさとニットを選ぶ。
前開きのものが欲しくて、
暖色系の色が数種類はいったニットのジャケットを買う。
それにあわせて、というわけではないが、軽い生地の上下セット。
かなり堅実な色合いのものばかり日本から持ってきたのでその反動か、
これも複数の生地やらリボンやらを組み合わせたものになった。
コージ苑のスカートを見て、えらく心を動かされたらしいY先生、
結局同じものを買った。おそろいおそろい。
(同じ日に学校にはいていったらかなりおもしろい)

気分は温かく財布はさむくなった二人であるが、
お茶でも飲もうとRホテルのスカイラウンジへ行く。
ここからはR市が一望できる…のだが、今日は生憎の天気。
それでも雨に煙る旧市街はなかなか綺麗だった。

戦利品を抱えて自分の部屋に戻ったコージ苑がドアを開けた途端、
閉め切っていた室内に充満していたペンキのにおいがどっと襲い掛かってきた。
これ、数日ぬけないんだろうなあ…と少々うんざりしたものの、
昨日までとはうってかわったような部屋の色合いにほぼ満足。



2002年09月20日(金) ペンキ

元々塗られていた、コージ苑名づけて「しなびたレタス色」が
どうにも気に入らなくて、
学生3人とY先生に手伝ってもらい、部屋の壁にペンキを塗る。
色は薄いうすいピンク。
日本のアパートにいると、画鋲ひとつうつのもためらうところだが、
ここでは殆どやりたい放題なので、思いっきりロールを動かした。
時々誰かの顔にペンキがついて、ひゃーと叫ぶ声が聞こえる以外は、
皆黙々と作業をつづける。
一応養生をしていたものの、全員が動いているうちに床にはペンキの跡が点々と。
クリスティが最後にベンジンでそれらをふき取った。

ペンキが乾くまではにおいもひどいだろうし、
うかつに動けもしないということで、
Y先生宅に泊めてもらうことになった。
帰り道、よく手伝ってくれた学生に中華料理をごちそうする。
先生宅に着いて早々、シャワーを浴びて汗とペンキ臭を洗い流す。
邦画のビデオがあるというので、二人して毛布をかぶって見る。
「チゴイネルワイゼン」という、鈴木清順監督のこの映画、
なんと言えばいいのやら…シュールというか難解というか、
疲れた頭が更に疲れただけだった。(誰か解釈してくれ)



2002年09月19日(木) ザッツ寒帯

この寒さったら、日本の12月ぐらいだろうか。
昨日なんて雹が降ってたし。
耳やら鼻やら、外に出ている部分が痛くてしょうがない。
予想していたとはいえ、コージ苑が持ってきた「冬服」なんて、
所詮温帯の衣服である。
帽子買わなくちゃ。コート買わなくちゃ。ごわごわのセーターも買わなくちゃ。

台湾で日本語教師をやっているQOO吉さんによると、
あちらではまだ30度近くあるそうで、
そして彼女の担当する授業時間はコージ苑のウン倍
(つまりすごく多い)だという。
彼女曰く、「授業時間と気温、足して2で割りたいですね」。
う…うん、気温はできたら是非…(授業時間は御遠慮願うとして)。



2002年09月18日(水) food fighter

Y先生のお宅で、明日の授業準備をするついでに夕食をごちそうになる。
クミンシード入りのソーセージにゆでたじゃがいもとマッシュルーム、
つけあわせにピクルスとビールという、なんともジャーマンなお食事。
そこで「食べ方」の話になったのだが、ソーセージの皮をむく人がいるそうだ。
誰かというと、Y先生の彼氏である。
かくいう彼女も長らく日本を離れているので、
段々と母国のスタンダードというのがわからなくなってきているとのこと。
というのは、先日カフェでサラダを頼んだコージ苑が、
マッシュルームが生で入っているのに少々驚いて「生って大丈夫なの?」と言い、
Y先生は「そうか、きのこは生で食べなかったっけ」と思い出したらしい。
コージ苑のこれまでの既成概念だと、
新鮮だろうがなんだろうが菌類よ菌類!生は危険じゃない?
という感じだったのだが。

外国に行くと、食では何かとナーバスになるものだが、
逆にたくましくなる部分もある。
例えばコージ苑の場合、それはタマゴだった。
イギリスで初めて卵を買った時、
その賞味期限のあまりにも長いのにびっくりしたものだ。
(大体3週間〜1ヶ月くらい)
購入後3週間、半信半疑でスクランブルエッグを作って食べてみたのだが…
何だ全然平気じゃないかと、それ以降抵抗なく「古い卵」をいただいていた。
そして帰国後、日本の、おそらく「生で食べられる限界」をとうに過ぎた卵も
(つまり賞味期限を思いっきりぶっちぎったものも)、
もりもりと料理して賞味して消化するようになった。

さあ、あなたも賞味期限1週間過ぎぐらいのものからチャレンジしてみないか?
(ただし胃には個人差があります。万が一のことはあっても責任は持ちません)



2002年09月17日(火) debate

4年生、ディベート1回目の今日。
かなりシャイな子達なので、討論ができるかしらと危ぶんだのだが、
全然心配することはなかった。
沈黙がその場を支配するどころか、あまりにも白熱する議論に、
時間を延ばさなくてはならないほどだった。
これは予想外だが、嬉しい「ハズレ」である。

中国語の先生がやってきた。
コージ苑やY先生とは違い、びしっとスーツで決めている大人の女である。
しかし、私たちとの共通語がないので、
片言の英語と漢字による筆談でやりとりする。
これもまた楽しい東洋学科の講師控え室。



2002年09月16日(月) books again

朝食はそばの実のおかゆ。
日本ではわざわざ注文しないと手に入りにくいのに、
ここではどこでも売っている。
(しかし麺にはしない。)
授業に行くY先生と一緒に家を出て、コージ苑は帰路へ。
と、旅行者と思しき日本人から声をかけられる。
レストランを探しているらしいのだが、朝の9時にセルフでないレストランは、
ここではなかなか見つからない。
まあ、一見おいしくもなさそうなセルフのカフェが、
実はかなりおいしいんだけど。
で、大変申し訳ないのだが、コージ苑が教えられたのは「マクド」だけだった。
聞きましたかF田会長!コージ苑はここでも売り上げのばしてるよ!!
(←日本のマクドとは何の関わりもない事を忘れている。
どっちにしても行かなかっただろうなあ…)

帰宅後は、ちょっとだけ寝なおすことにして、ベッドで読書。

ウォルター・ワンゲリン『小説「聖書」新約編』
どんな本を何回読んでも疑問なのは、
イエスはどうして死ななくちゃならなかったのか。
「世界の罪を背負って」とか「神様の意志で」とか、そういうことを考える前に、
純粋に「ひでえ」と思っちゃうんですが…(だって釘ではりつけだよ?)

この他、『キリスト教大研究』(新潮OH!文庫)という本を読んだのだが、
著者を忘れてしまった。
なんとまあ、色んな宗派があること。
この学校がこの宗派だったんだあ、などと、かなりおもしろく読むことが出来た。
こういう雑学本はおもしろいなあ。



2002年09月15日(日) leaving,staying

Y先生の彼が帰国する。
1ヶ月も人といれば、突然一人になったときの寂しさを感じるのは当然である。
(まれにほっとする人もいるだろうが)
で、Y先生のお願いもあり、コージ苑は彼女が空港へ彼を送っている間、
彼女の部屋でお留守番をすることにした。
一人の部屋に帰るのと、誰かが待っているのとでは全然違うから。
今日は10℃を割るんじゃないかという程の冷え込みで、
別れはますますつらかろう。
…などと恋人達のことをあれこれ思いながら、
人の家で思い切りくつろぐコージ苑だった。

Y先生が帰ってくる頃お茶を用意し、部屋の電気をつけて明るくする。
しばらく色々と話をするが、二人とも空腹を覚えたため、夕食をとることに。
彼女の彼(という歌がどっかにあったなあ)は
ジャンクフードがあまりお好きではないので、
1ヶ月我慢していたというY先生、インスタントラーメンを作ってくれた。
しかも博多ラーメン。コージ苑は感動した。
何となく思っていたことを口にする。
「今夜寂しい?」
まるで男の台詞であるが、Y先生は泊まってくれると嬉しいとのこと、
話は決まってそのままお泊り会になってしまった。
お酒を飲みつつ2時ごろまで喋る。
今夜の酒はL国の特産薬用酒である。ブラックカラントのジュースで割って飲む。



2002年09月14日(土) books

本を読み、本を読み、本を読む。
しまいには頭が痛くなってしまった。
(論文書くはずだったのに、こうやって快楽に負けていくコージ苑)

ウォルター・ワンゲリン『小説「聖書」 旧約編』(上・下)
ホテルに泊まる機会があるたびに、
退屈しのぎに聖書を読んでみようとは思うものの、
冒頭の「系譜」のところで挫折していたコージ苑である。
上下巻に分れているこの本であるが、
特に上巻(アブラハム〜サウル王)がおもしろい。
神様っていうのは、どこでも勝手気ままなのね。

ハリー・クレッシング『料理人』
コージ苑父セレクションの一冊。
映画「デリカテッセン」(邦題「肉屋」だったっけ)の映像を思い出した。
小さな街に現れた謎の名コックが、雇われた家で引き起こす様々な出来事と、
その過程で少しずつ変化していく家中の人々。
…と書くと「メアリーポピンズ」だの
「サウンド・オブ・ミュージック」のような話の様だが、
実は全然そうではないことは、
表紙のイラストを見ていただければ一目瞭然である。
作者はどうやら変名だそうだが…誰だろう。
文章を読んで「この人」と類推できるほどの読書はしていないコージ苑だった。

立川健二・山田広昭『現代言語論』
名だたる学者(ソシュールやウィトゲンシュタイン等)の思想や著書を読み解く。
「この人はこう言った、こういう活動をした」という事実を述べるだけでなく、
著者達のいわゆる「読解」が入っているために、読み物としてもおもしろく、
おそらく超絶的に難解なこれらの書を読んでみようかという気にもさせる。



2002年09月13日(金) oishii? oishii!

ちょっとした用事も、たまれば結構な手間になるもので、
Y先生と待ち合わせている時間までにそれらを全部済ませようとしたコージ苑は、
結局半分の「用事」も完了することができなかった。

ハンザ銀行(!)で、キャッシュカードの受け取り。←済
スカンジナビア航空で、余計に買わされたチケットのキャンセル。←未済
電話代の払込。←カウンターに続く長蛇の列に諦め、未済
郵便局にて、親戚にエアメール。←済
同じく郵便局にて、小包の受け取り。←未済?

この最後の「?」については、かなりあきれたコージ苑である。
荷物を探しに奥に引っ込んだ係員のおばさんは手ぶらで戻ってきて、
「郵便局のミステイクで、実は届いてないのよ」という。
コージ苑がわけもわからず突っ立っていると、
英語の出来る人を呼んできてくれた。
彼女によると、先日両親から届いた小包の通知が、
間違って重複して(しかも発行されたのは受け取りに行った次の日)いたそうだ。
…何だそれ。
ついでだったからよかったけどさ、バスで30分はかかる郵便局に呼びつけといて、
「はい、ミスでした」で終わるわけ?
うーん、小泉さんに、日本はさておきこの国の郵便事情を改善してほしいもんだ。
ぶつぶつ言っていたコージ苑であるが、絵葉書を出すために切手を買うと、
綺麗な記念切手を出してくれたので、すっかり気分はなおってしまった。
(こういう気遣いをしてくれるところは素敵だと思うんだけどねえ…)

Y先生と、市場へ買物。
相変わらず、好きな人にはたまらないが
コージ苑にも「たまらない」チーズのブース。
口で呼吸をしながら通り抜け、今日の夕食に使う野菜や魚を三人で選ぶ。
Y先生の彼、どうやら食に関しては保守的らしく、
見慣れない食べ物にはなかなか手を出さないんだとか。
おまけにコショウやニンニク、パプリカなど、スパイスの類が全くだめで、
Y先生は彼の滞在中、毎日のメニューを考えるのに一苦労。
彼女曰く、宗教の問題よりも食生活の問題の方が、
交際を続ける上で「先が思いやられる」要素なんだそうだ。
で、今日のメニューは…としばし考え、グラタンにしようという話になる。
Y先生が材料を切り、コージ苑がホワイトソースを作る。
興味しんしんで見ている彼氏。
オーブンからホワイトソースとチーズの匂いがしてくると、
日本語で「うーんいいにおい」と言っていたが、さてお味は?
一口食べて、彼はおもむろに自分の指に音をたててキスをした。
(←おいしいのジェスチャー)
…どうやら大丈夫だったようだ。
やっぱりね、ホワイトソースだったら平気だよね。うんうん、よかったよかった。



2002年09月12日(木) coffee of beer?

またもや週末である。
会話の授業では、2年生各人によるユニークなロールプレイを見せてもらい、
涙が出るほど大笑いしたコージ苑とY先生。
帰りにY先生の彼と3人で、夕食に出かけた。
彼が夏休みを終えて国に帰るので、なんとなく来年の話などをする。
「いつルーマニアにくるの?」と問う彼。
い、行きたいルーマニア。出来れば雪解けの頃。
何でも、ブカレストはあまり綺麗じゃないそうで、
黒海のあたりはいいよということだ。
そういえばポーランドも、
ワルシャワよりはクラクフの方が数段良いという話だった。
(最も、民主化以降はかつての町並みがかなりの程度復元されているらしいが)
かつての東欧は、ソ連の影響が強かった所ほど、
首都に面白みが欠けているようだ。
ブカレストの「国民の館」その他の大建築群は、未完のまま放置されており、
既に廃墟と化してしまった所も少なくないとか。
何だか勿体無い気もするけど、それも時代、あれも時代ということなのか。
まるで中島みゆきの歌のようだ。
と、何だか珍しく深刻(か?)に考えたのは、
きっと中欧の味がする黒ビールのせいだ。
…また飲んだのかコージ苑!給料貰うまで我慢するんじゃなかったのか!!
(でもさあ、コーヒー一杯と500ml瓶が同じ値段だったらやっぱりねえ…)



2002年09月11日(水) この記号

ここ数日、コージ苑の目を奪ってしまっている街頭広告。
(あの、欧州でよく見かけるばかでかいやつである。
バス停なんかの脇に設置している)
スーツで決めた渋めのおじさんが数人、書斎らしき所にいる。
写真から想像するに、どうやら政治家達の内密な話し合い、といったところか。
そして白抜き文字で大きく「KOMANDA Nr.8」とある。
やたらと色んなところで見かけるので、
コージ苑はこの記号を次のように解釈した。
「テレビ8チャンネル(…フジ?)で始まった新ドラマの広告。
真中にいる人が大統領で、毎回起こる政治的ハプニングに対して、
参謀達が知能の限りを尽くし、それらを解決する硬派な話。
そしてタイトルは『コマンド』」。
(「レッツゴー!永田町」のシリアス版みたいなものを想像してください)
そして、ああおもしろそうだ、早くテレビを買いたいなあ、
と勝手にじたばたしていたのだが、
実はこれ、「選挙の公示」だったらしい。
そして、出演している男性陣は現役の政治家、
しかも党首クラスの方々だというお話。
うーん…コージ苑の予想、3分の1くらいは当たってた?
※ただし未確認情報。



2002年09月10日(火) 愛の小包

帰り道、郵便局で両親から届いたEMSを受け取る。
この国、郵便物を配達しないのだ。
そういうところで雇用を生み出せとは思うのだが、
もしかしたら手紙の類が盗まれやすいということなのかもしれない。
とにかく、所定の用紙にあれこれと記入し、出てきた箱を見てみると、
一体何が入っているのか、というほど大きなものだった。
これを抱えてバスには乗れない。というかコージ苑には持てない。
タクシーをつかまえ、受取人ともども自宅まで運んでもらう。

そして注目の中身は。
虫に悩まされているコージ苑への、両親の愛情これでもか攻撃だった。
バルサン9個、虫刺されの薬各種
(薬屋が開けそうな程だ。きっと買い占めたに違いない)、
防虫剤、蚊取り線香、ダニアースにキンチョール、
防ダニ加工のベッドマットや枕や毛布。
ついでに殺菌用アルコールとカビキラーとマイペットと…亀の子タワシ(爆笑)。
使わなくとも、これらを床に並べておくだけで虫共が退散しそうな量だ。
ありがとうお父さんお母さん!
コージ苑は元気でがんばるよ!



2002年09月09日(月) 笑ったり黙ったり

世間的には月曜日だというのに、今日もコージ苑は休日である。
昨夜夜更かしをして読書をしていたため、昼前になってやっと目が覚める。
Y先生が退屈しているコージ苑のために、本を貸してくれたのだ。
日本語の教科書以外の活字を目にするのが久しぶりだったため、
貪るように読んでしまった。

澤地久枝『ボルガ いのちの旅』
心臓の手術を控えた著者が、人生最後となるかもしれない旅に、
若い頃から思いつづけていたボルガを選んだ。
NHKのドキュメンタリーになったこの旅を、文章に綴った本である。
ドキュメント系に定評のある彼女(だったと思う)であるが、
今回に限っては自らの心情と歴史的事実と、
どちらに主眼を置くのかが曖昧になっている気がする。
あるいは、彼女にとって両者はイコールだったのかもしれない。

西村京太郎『神戸 愛と殺意の街』
実は初読。しかし…
「十津川は無言だった」。
コージ苑も無言だった。
これ程感想が浮かばない本も久しぶりというか…

土屋賢二『われ笑う、ゆえにわれあり』『われ大いに笑う、ゆえにわれ笑う』
再々々々々々読ぐらいかなあ…
半年ほど間をおいて読むと、何度でも笑える。



2002年09月08日(日) ...and fish!!!

Y先生からお誘いがかかり、彼女のお家に昼食を頂きに行く。
なんと寿司なのである。
そこで、以前にもちょっと書いたのだが、今日は「魚」の話をば。

欧米では生食用の魚が手に入りにくい、というのは通説だが(違う?違うかも)、
ここL国では北の海で育ち、脂ののりきった鮭がバンバン売られているのだ。
(ただし、外見上良く似た虹鱒と間違えないようにすることが肝心である)
ついでに言うと、イクラも「IKRI」(←ちょっとだけ外人なまり風)として、
日本より比較的安い値段で入手可能である。
更にいうと、すし酢に似たビネガーの類もあり、
醤油もポーランド産のものがあり、
ねぎも白青そろえて売っており、
米も日本のものがなければ中欧各国のものがあり。
結論を言えば、かつてイギリスで涙を流して喜んだメニューが、
ここでは「ちょっとした御馳走」程度の間隔で手に入る(口に入る)のである。
手軽に手に入らないものは納豆巻きくらいのものだ。
(コージ苑が最も好きなのが納豆巻きだということはこの際忘れる事にする)
魚好きにはありがたい国だ。

蛇足ながら、魚の類についてもう少し。
生魚を食べるという習慣は、ここでは勿論一般的ではない。
従って、市場に並ぶ魚をどうやって食するかというと、
大体において焼くかスープにするか、
といったところであるかと思われる。
しかし、ここで晩酌を愛するニッポンのお父さん方
(並びにコージ苑の友人であるお姉さん方)、
あなたがたにとっておきの朗報である。
海辺の町のご多分に漏れず、ここでも干物の類が豊富なのである。
おそらくサバであろう、と思われる魚が燻製にされているのだが、
そのままのベーシックなもの、ニンニクのローストがのっているもの、
香味野菜がたっぷりまぶされているもの、
とにかく店の数だけ種類がある、といった感がある。
これとビールがとにかく最高の相性なんだな…(ニヤリ)

あまったイクラを貰ってうきうきと帰宅し、
はたと気づけば例の「謎魚」が冷蔵庫に。
これ以上放置すると確実に傷むので、味噌とあわせて鯛味噌風にしてみた。
味噌汁にしてもよし、ごはんのお供に良しの一品…になるといいなあ。



2002年09月07日(土) fish,fish,fish!

一日中、文字通り寝てすごす。
魚は、まだ半身も食べ終わらない。
食料があるっていうのはありがたいことではあるのだが…
(夜は別のものが食べたいなあ)



2002年09月06日(金) 魚と夕立

目覚ましをかけずに寝たら、昼頃に起き出すという体たらく。
(「疲れていたのね」と言ってくれ)
夕方にY先生とその彼氏が来訪する予定だったので、2時間ほど掃除に費やす。
2人は床に敷く「ゴザ」を持ってきてくれた。
靴文化のご多分に漏れず、ここL国も部屋は土足仕様のコンクリートなので、
じかに座るには、どうも硬すぎるし腰が冷える。
敷物を買わなきゃなあ…と思っていたところ、
以前海で買ったからと譲ってくれたのだ。

時間をおかず、2年生のクリスティーナが父親を連れてやってくる。
部屋に塗る予定のペンキを買いに行く約束をしていたのだ。
ロシア語で挨拶をしたお父様は、
さっさと部屋の各所を見てまわり娘に某かのアドバイスを与え、
無言ではあるが「さあペンキを買いに行くぞ」とばかりに靴を履く。
あわてて後を追いかけるコージ苑達。
車に乗って3分ほど、あっという間に塗装専門の店に着く。
色を選べというので、薄いピンクがいいというと、店員がパソコンに向かう。
どうやら色の配合等のデータが入っており、
自動的に基本色が混ぜ合わされる仕組みらしい。
ありとあらゆる色のペンキが所狭しと並んでいる所を想像していたコージ苑は、
どうやら相当時代おくれの人間であることが判明した。
ペンキ缶が壊れんばかりに振り回されている様子を、
感心して眺めている日本人をよそに、
クリスティーナ父子は、はけやベンジン、目張りテープなどをかごに放りこむ。
会計を済ませ、車で再び部屋に戻り、道具を上まで運んだ後、
お父さんはやはり手短に挨拶をすると、後も振り返らずに去って行った。
まるで夏の夕立だかスコールだかである。
やれやれ、と息をついたそのとき、クリスティーナが再びドアをノックする。
あけてみると、「父が釣りました」と、ビニールに入った魚を差し出す。
後で見ると、40センチはあろうかという、見たことのない魚であった。
(海のものかも川のものかもわからないが、多分前者であろう)

Y先生とその彼氏は、
その後本当に降って来た夕立をやりすごしてから帰っていった。
残されたコージ苑はというと、その謎の魚と奮闘して30分、
やっと夕食にありつけたのだった。



2002年09月05日(木) 村上春樹、読まれる

木曜日、なんとコージ苑にとっては週末である。
大学の担当授業は、週に3日しかないのだ!うわあ給料泥棒!!
(それでもあっぷあっぷしているコージ苑って…)

4年生が「週に1時間、日本語の本を読みたい」というので、
木曜日は読書の時間にした。
読みたい本をあげさせたところ、
よりによって村上春樹なんぞを指定してきやがった。
「先生はその人嫌いだからだめ。池波正太郎にしよう」
などというわけにもいかず、
短編集『レキシントンの幽霊』の中から、「七番目の男」を選んだ。
コピーする時間がなかったため、いきなり数ページ読ませたのだが、
やはり全くだめだった。
出来のいい子でさえ首をかしげるぐらいなのだから、
出来ない子は何をかいわんや。
わずかに、話の展開を予想させた時には言葉がぽんぽん飛び出したが…
来週はきちんと予習する時間があるからね。

週の締めくくりは、Y先生と共同でやる2年生の会話の授業。
待遇表現をとりいれた会話の練習である。
モデル会話をY先生と二人で演じた(というほどでもない)後、
学生たちに適当にシチュエーションを与えて自由に会話を作らせる。
その成果は、次週テストと称して「舞台」上で演じてもらうのだ!わははは!
…しかし、この4年生なら恥かしがって逃げ出しかねない課題も、
2年生にとっては面白がる材料にしかならなかったようだ。
来週が楽しみである。

帰り道、週末の買物をスーパーで。
ともあれ1週間を終えたご褒美に、ビールでも…と思っていたのに、
あまりにも疲れていたため、買い忘れてしまった。
まあいいや、元々「お給料の日だけ」って決めたんだし
(だったら今日は何のつもりだったのだ)。



2002年09月04日(水) 作文と子供たち

水曜日は2年生の作文の授業と、4年生の総合。
2年生には実力テストを兼ねて、
「自分について」という課題で作文を書いてもらった。
「終わったと思ったらいつでも提出して帰っていいよ」と言ったのだが、
結局全員が最後まで奮闘していた。
どうも「学年のカラー」というものがここにも存在するらしく、
全てにおいて大人しい4年生に対して、この2年生の明るいこと。
そして出来た作文を読んで、(悪いのだけど)爆笑することしきりである。
「私の夏休み」となるところが「私の青春休み」となっているのは、
新しい言語の創造活動の結果か単なる間違いか。
銀行でのアルバイトが「くりぬき仕事」というのは、
一体どんな仕事をさせられたのか。
想像はしていたけれども、教師ってこういうところで息抜きをするのだな。

授業の後、文化学校(日本語専門の初等中等教育機関)のK先生とお茶をいただき、
さらに1時間ほど、学校を見学に行く。
見学といっても、もう授業は終わっているので、
がらんとした学校の中を見てまわっただけだが。
久しぶりに見る「子供達の学校」は、いくらか天井が低く、全体に可愛らしい。
学校内に住んでいらっしゃるK先生のお部屋には、
しじゅう生徒が遊びに来るそうだ。
「公私がなくて…」と仰る先生だが、どことなく楽しげな表情を浮かべていた。



2002年09月03日(火) 初授業

コージ苑、初授業。
主な担当は4年生。卒業を間近に控え、日本語の授業に倦怠感を抱くお年頃である。
しかし、倦怠感だろうが現代人だろうが、
出る授業にはきっちり出ていただきます。
(とか言ってるくせに、60%の出席を最低条件にした自分は甘いのだろうか)

今日は初めての日ということもあり、簡単に自己紹介をしてもらって終りにする。
さすがは4年生、手慣れている…といいたいところだが、いかんせん声が小さい。
色んな人から聞かされていたとおり、L国の方々はどうやら多少シャイなようだ。
従って、教室内の盛り上がりも今いちというか全然というか…
まあ、コージ苑はお笑い芸人ではないので、別にそれはそれでいいんだけど。

とにかく1日目、大した事故もなく(?)終了してほっとしたコージ苑である。



2002年09月02日(月) 新学期

授業はなかったけれど、朝のラッシュ時の通勤時間をはかろうと、
がんばって早起きし、大学へ行ってみる。
大学から遠い寮ではあるが、唯一いい点があるとすれば、
始発のバス停なので、すしづめ状態の通勤時間にも確実に座れるというところだ。
市の中心を流れる川にかかる橋の上が絶望的に混んでいたが、
本格的なラッシュの時間は過ぎているため、1時間ほどで大学に到着できた。
しかし明日以降、2時間目の授業がある時には、
もうちょっと早めに出ないといけないだろうなあ…

車窓からぼんやり景色をながめているうち、おや、と思ったことを一つ。
今日から新学期ということもあって、
道行く子供達は今日ばかりはちょっとおめかし。
女の子はお約束の白いタイツなんかはいて、大きな花の髪飾りなんかしている。
そして男の子はスーツ。
子供といえども欧米人体型、さすがにスーツが良く似合っているのである。
そんな彼らが、手に手に花束を持っている。
最初のうちは「美少年に花かあ、似合っているのう」などと
至極のんきに構えていたコージ苑だが、
そのうち、その数の尋常でない事に気がついた。
バスに乗ってくるOL風の女性、小学生になるかならないかのハナタレ小僧
(この子は実際たれていた)、
大学生ぐらいの(花を持つことに恥ずかしさを覚える年代である)男の子、
ちょっと異常なほどに「手に花」人口が多いのである。
ガイドブックに「R市は花の町」と書かれていたが、
いくらなんでも町中の人間が花の子ルンルンっていうわけでもなかろう。
(年がばれるぞコージ苑)

後で聞いてみると、新しい年度の始まりには、
花を学校なり職場なりに持っていく慣習とのこと。
学生は大体最初に会った先生にプレゼントするんだそうだ。
実際、今日1時間目に授業のあったY先生は、
帰りにはちょっとした花束を携えていた。
鮮やかな黄色のひまわりが、夏の名残のようだった。
もう外は肌寒いL国R市である。



2002年09月01日(日) 住めるように

荷物を整理する。
空いた箱は、玄関脇にある謎の洋服掛けスペースに押し込んだ。
スーツケースは、邪魔にならないたんすの上へ。

後は台所にワゴンなんかを入れて、食品を収納すれば一応の荷解きは完了だ。
長い道のりだなあ…


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コージ苑