ブックス
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2003年06月27日(金)   恋刃〜Lancet 〜(3)/五條瑛


革命シリーズの第4弾。
雑誌「小説推理」の連載3回目。
彫翔さん…。どんどんリョウちゃんにはまっていきます。
それに気づかず、↓なセリフを他意なくこぼして、ますます彫翔さんを墜としていくリョウちゃん。素面でなんてことを…。
さて、まだ今回のMISSIONの役者(サ様の手駒)は揃ってないみたいです。どんな展開にこれからなっていくのでしょうか。



「(略)この世界は作品がすべてだ。素晴らしいものを見れば評価は変わる。俺は変えさせる自信があったよ。(略)」(小説推理8月号p.321)



2003年06月21日(土)   しずるさんと偏屈な死者たち The Eccentric Dead in White Sickroom/上遠野浩平


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「ねえ、よーちゃん――この世界には不条理としか思えない謎がいくつもあるわね?」
しずるさんはそう言うけれど、私には彼女こそ、この世で一番謎めいてみえる――何年も病床にありながら、とても綺麗で、この世の誰よりも聡明で――どんな不可解なおぞましい殺人事件の数々も彼女の前では只のごまかしになってしまう――(裏表紙より抜粋)
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著者の名前にひかれて、明らかに対象年齢外と思われる文庫を買ってしまいました。
で、読んで思ったこと、やっぱり対象外…。
ちょっと乙一氏にも近いかんじの話でしたけど、上遠野氏にしては軽いかんじでした。



「(略)人が人を殺すときというのは、その段階で既に失敗をしているということなのよ。(略)つまり殺人というのは、基本的には失敗の埋め合わせであり、自分の怠惰をごまかそうっていう姑息なものなのよ」


上遠野浩平:しずるさんと偏屈な死者たち The Eccentric Dead in White Sickroom,p.29-30,富士見書房.



2003年06月19日(木)   神の影/五條瑛


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元サラリーマンの金満と年若い安二に、パキスタンからの出稼ぎ労働者アキムを加えた三人組が、不法滞在のイスラム教徒の不可解な行動に立ち上がる。(p.397 解説より抜粋)
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ミステリー・アンソロジーに収録されている短編。上陸シリーズのひとつですね。
日本に生まれて日本に育った私には、宗教の重みというのはわかりませんが、宗教が日常にあって、神こそが何をおいても絶対の存在、という生活はどんなかんじなんでしょう。
きっと、常に神の目を意識してしまうんじゃないかと…。



「(前略)すべては、アラーの思し召しなんだ。人の未来は、神のみぞ知る。運命の前では、誰もが無力だよ」


五條瑛:神の影(翠迷宮 結城信孝編 収録),p.107,祥伝社.



2003年06月14日(土)   この闇と光/服部まゆみ


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失脚した父王とともに、小さな別荘に幽閉されている盲目の姫君・レイア。優しい父と侍女のダフネ、そして父が語り聞かせてくれる美しい物語だけが、レイアの世界の全てだった。シルクのドレスや季節ごとの花々に囲まれた、満ち足りた毎日。しかしレイアが成長するにつれて、完璧だったはずの世界が少しずつ歪んでいく――。(裏表紙より抜粋)
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初の服部まゆみ本。
読み始めは、レイアのおかれている環境が把握しきれなくて、この本最後までいけるかな…とも思いかけたのですが、全然そんなことありませんでした。
はまりきれないけど、止められないまま中盤まで読んで、ガクンと堕ちました。うわ〜やばいよ、これってかんじ。
微妙なレイアと父王の関係に漂う退廃的なエロティシズムが…。むしろ、
離宮から離れて、15歳になって再開したときの関係の方が、こう…どきどきしますね。


朧とはいえ、形や色を知ったままで過ごしたあまりに長い闇は、美への憧れを増幅し続け、あらゆるものを美化していた。すべては言葉だった。すべてはイメージだった。(略)闇の中に在って、世界は何と美しく輝いていたことだろう!


服部まゆみ:この闇と光,p.250,角川書店.



2003年06月11日(水)   バッテリー�掘銑后燭△気里△弔�


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野球に必要なのはチームワーク、という顧問の言葉に耳を貸さず、仲間と打ち解けることもなく、自分がマウンドに立つことだけを目指し練習を続ける巧。巧の枉げられない意志、潔癖さ、才能が、豪との部員たちとの溝を深める。
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確かに野球っていうスポーツにおいて、チームワークは不可欠。顧問戸村のように、協調を押し付けるのもどうかと思いますけど、それ以上に、自分のためにしか野球のできない巧って…。不器用すぎてかわいそうになってきました。
そんな巧の気持ちもわかってしまうけど、チームとしての野球もしたい豪の心中も複雑ですよね。大丈夫なのか、このバッテリーは…。
そしてそんな不安材料だらけのバッテリーを指揮するキャプテンの海音寺くん。なかなかのすてきキャラですね。純粋に野球の好きな野球少年ってかんじで、がんばれ!と応援したくなります。
さてさて、全国大会ベスト4のチーム横手中との試合はどうなる?



「(略)おまえって、自分のためにだけしか、怒ったり、戦ったりできんのんじゃ。わかってた?」
「だから、何だよ。何、ごちゃごちゃわけのわかんないこと言ってんだよ。おれは、マウンドに立てればそれでいい。マウンドに立って、おまえにむかって最高のボールが投げられるなら、ほかのことなんかどうでもいい。そう思っちゃうんだから……だから、しかたないだろうが」


あさのあつこ:バッテリー�掘�p.191,教育画劇.



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横手の天才バッター門脇を抑える巧の最高の球を受けた豪は、巧の成長に自分がついていけるのかという不安に襲われる。不安はすぐに現れた。巧のボールを迷いなくキャッチすることができなくなった。そして、豪の不安は巧に伝わり、バッテリーは崩れていった。
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だーっ!いらいらします。
これまでは顧問とか上級生とか学校に抗ってきた巧と豪のバッテリー、横手中との試合の後、自分と向き合って戦わなければいけなくなります。でもって、お互いにお互いの気持ちがわからなくなって、もんもんとするわけで、ヤりたいならヤっちゃえ(?)ってかんじ。
このバッテリーの乱れの原因、横手中の5番ショート瑞垣。彼はすごいです。彼の内面は複雑そう。単純に野球が好きってだけですることのできない分、この方も不器用なのかも。でも、その不器用さを周囲に悟らせないだけの頭の回転が彼にはあるんですよね。
その瑞垣くん曰く「おれは、姫さんみたいなタイプが好きなんや。才能があって、プライドが高てく、お美しくていらっしゃる。生意気で、自分勝手で、自信過剰で、他人のことなんかチラッとも考えない。傲慢で、冷静で、妥協しなくても生きていける。最高やね。最高に嫌なやつやないか」な巧。瑞垣くん、見る目あるよ。
次巻では、バッテリーの復活なるのでしょうか。



おまえ、ここまでかもしれないって、ここまでが精いっぱいだって、もうだめだって、自分のこと感じたことあるか?他人のしんどさや苦しさを、痛みや辛さを、ちらっとでも、わかろうとしたことあるか?なんで、なにも言わんと立っとるんじゃ。ここまで近づいてきたくせに、なんで、なにも言わんのじゃ……巧、俺は、どうしたらいい?おれは、おまえのキャッチャーを……。


あさのあつこ:バッテリー�検�p.196,教育画劇.



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豪に向かって投げる楽しみ、巧のボールを受ける喜び。それを再び感じたふたりは再びバッテリーに。
しかし、お互いの葛藤は続く。だが、葛藤し続けてでも、離れられない。
新田のバッテリーとナインは、横手中との再戦に向けて始動した。
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瑞垣さん…やばいヒトです。S?M?
この巻、わきキャラが続々おいしいです。青波くんも、海音寺くんも。
そして、ピッチャーの豪ではなく、豪個人を知りたくなった巧。がんばれー。
なんだか本当にこの本、児童文学?と疑いたくなるこのシリーズ。
現在刊行されているぶんの最新刊。これであと少なくとも1年は新刊が読めないんですね…。早く次巻を。



「知らないことは、知りたい。おまえが本当は、どういうやつなのかとか、知りたい。なんも知らんもんな、おれ」
「お互いさまだろうが」
豪は、声を出さないで小さく笑った。立ち上がり、ミットをはめる。ボールを巧に渡し、視線をマウンドにむけた。
「行くか」
「了解」


あさのあつこ:バッテリー�后�p.155,教育画劇.



2003年06月10日(火)   バッテリー〜�供燭△気里△弔�


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野球をするために生まれてきた天才児、原田巧。誰より速い球と、誰より恵まれた才能を持つ巧。小学校を卒業し、父親の転勤で引っ越してきた町で巧は、彼にとって最高のキャッチャー永倉豪に巡り会う。お互いがお互いしかないと認めたとき、バッテリーとなった。
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とうとう手を出してしまったシリーズ。
読んですぐに思ったのが、ほんとにきみたちは中学生(この巻では小学校を卒業した春休み)ですか?12〜13歳ってこんな感じでしたっけ?そしてこの年頃の子の親ってこんなに「勉強、勉強」って言うものだったかなぁ。イマドキはそうなのかもしれませんけど。
このシリーズの主人公巧、プライドが高くって、野球というか自分がいい球を投げるっていうこと以外には本当に不器用で、しかも興味がないようです。
彼が今後、中学校の中で生活していけるのか心配です。
もうひとつ気になるのが、巧の弟青波くん。2000g以下で生まれ、成長してからもさまざまな病気を繰り返してきた青波。巧は母親に守られて育ってきた青波に微妙な感情(嫌いなわけではないような…)をもっているようです。でもって、青波くんは野球をやっているお兄ちゃんが大好きで、自分も野球を始める。
大人たちが手をやく巧をうまくかわしている青波くん、最強キャラの予感。



「キャッチャーは女房役っていうじゃろ。おまえのこと心配してんだ」
「バッテリーを組んだらの話だろ」
「組むさ。決まっとるじゃろ」


あさのあつこ:バッテリー,p.68,教育画劇.



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中学校に入学した巧と豪。しかし、野球部には徹底した生徒指導(という名の管理)をする野球部監督戸村と、巧の才能と自信に反発する上級生がいた。巧は理不尽な指導・命令を振り切り、自分の道を守るためにマウンドに立つ。
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予想どおり、中学校でもめています。
中学校の部活動って、今思えばがちがちでした。いろいろ制限があって、上下関係が厳しくて、顧問が理不尽かつ怖くって。高校に入ったら、部活って楽しいものなんだ、と思った覚えが。
今回はかなり痛いです。巧が痛いめにあっているから、っていうのもあるんですけど、それ以上にそのやり方が汚いから。中学生ってこんなに陰湿だっけ?しかも男の子が。
自信にあふれ平気で顧問にたて突く巧の存在が、今まで顧問の下で抑圧されてきた展西たち(野球部3年生)には我慢できなかったんでしょうけどね。その巧への感情がこんなに大きかったってことは、それだけ抑圧も大きかったってことですよね、きっと。
さてさて、こんな大問題を起こした野球部の存続はいかに。そして、巧と豪のバッテリーはどうなっていくのでしょうか。



「(略)もっと楽にさ、素直に信じてますって言えないわけ」
「楽に言えるようなことかよ。けど、信じる。おれがキャッチャーでおるかぎりは、絶対信じる。じゃけん、マウンドからいなくなったりするな」


あさのあつこ:バッテリー�供�p.213,教育画劇.



2003年06月07日(土)   二十才の微熱 A Touch of Fever/橋口亮輔


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「僕がなりたいものは、なんでもないもの」
19才、島森樹。昼はごく普通の大学生。夜はアルバイトで二丁目の少年売春クラブで、からだを売っている。家族からも、友達からも、浮遊し、誰も愛さず、誰も憎まない。とどまる場所を探しながら。青春の真っただ中を生きている。(裏表紙より抜粋)
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橋口監督の映画をご本人が小説化したものです。
橋口監督の映画は、「ハッシュ!」しか観たことがありませんが、たんたんと日常を送る青年の姿が印象的なんですよね。
この小説もそう。
売りをやっていても、昼間はそれぞれ大学・高校に通う樹と信。
実際こんなかんじなのかもしれません、現実も。



信は、手でカメラを真似て四角いフレーム越しに樹を捉えた。
今、樹が振り向けば自分のこれからは大丈夫だと、願をかけた。(略)
信は、樹の白い背中に向けて焦点を絞るとゆっくりシャッターを切った。


橋口亮輔:二十才の微熱 A Touch of Fever,p.194,扶桑社.



2003年06月02日(月)   心洞 《Open Sesame》 R/EVOLUTION 3rd Mission/五條瑛


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家出少女エナと、“鳩探し”をさせられているヤスフミ。
二人の住む新宿は、複数のルートでドラッグが流通し、若者たちは「ドゥルダ」と名乗る、謎の女性の虜となっている。
彼らの心には、とてつもなく深く大きな空洞があいている。
その穴を埋めるのが、革命なのか!?(帯より抜粋)
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<革命小説>シリーズの第三弾。
全10巻で完結予定(五條氏曰く)の超大作です。
1巻目の断鎖を読んだときから、もうぐいぐいと惹かれているのです。
今回の主人公はエナちゃんとヤスフミのふたりの日本人。ただお互いを守りたいがために、組織同士の争いに関わることになってしまったふたり。
もうエナちゃんの爆弾娘っぷりと、ヤスフミの情けなさっぷりが…。
そして、なんと言っても先生ー!!断鎖で死んだと見せかけておいて、やっぱり生きていらっしゃったのですね。魔性の男ですからね、さすがです。
今回もその毒牙、手練手管でヤスフミを誘い込むわけで、もうしっかりしてよヤスフミっ。と私は読みながら地団駄を踏むのでした。
すみれちゃんも育ての親(サーシャ様)に似てきたのか、とっても頭のキレる子になってるし、サ様(サーシャ)はやっぱり誘惑するしかしないし。
っていうか最後の章の屋上の、リョウジとすみれちゃんとサ様のシーンはいったい何?五條氏は何を狙って、リョウジにこのようなことをさせたのでしょう。読んでいて口元が緩んでしまいましたよ。
さて、次のミッションはすでに雑誌で始まっています。 To be continued Next mission 恋刃《Lancet》



人が流す血の上で栄えているのがこの街だ。ならば、その血をもっと与えてやるのもいいだろう。ドゥルダは言った。真に美しい花は、泥の沼でしか咲かないと。この街に、誰も見たことのないような大きな花を咲かせてやろう。血の沼に咲く花を。


五條瑛:心洞 《Open Sesame》 R/EVOLUTION 3rd Mission,p.272,双葉社.






ゆそか