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2003年01月27日(月)   The MANZAI/あさのあつこ


おもしろいと某誌ではかなりの評判のこの本。
確かにおもしろいです。
転校生の瀬田は、同級生の秋本からおつきあいを申し込まれる。
でもそれは…で。
文化祭で演じる漫才ロミオとジュリエットのために、ひたはしる中学生たち。
これは99年に初版されているので、その当時の流行ものがちょこちょこと出てきます。
なので、今の中学生とかにはちょっと分からないかもしれませんね。
そんなちょっと前の流行ものも、瀬田くんと秋本くんの言葉のかけあいも、中学生どうしの人間関係やこころの動きも、みんな懐かしいです。
森絵都氏に引き続き、あさのあつこ氏にもはまりそう。
次はいよいよ「バッテリー」に手を出しますよ



「だから、おまえはふつうやないんやって」(略)
「おれにとっては、特別なんや。全然ふつうとちがうんや。ほかのやつとは、ちがってて……歩だけなんや。(略)」


あさのあつこ:The MANZAI,p.104,岩崎書店.



2003年01月26日(日)   電池が切れるまで/すずらんの会編


長野県こども病院の院内学級の子どもたちが書いた詩や絵です。
どんな状況にあっても、子どもたちは笑顔でいてほしいし、だからこそ私もいつも子どもたちの前では笑顔でいようと思いました。



一回二回あぶない時があったけど、それも、のりきったんだからすごいよ
僕の体頑張ってくれてありがとう。


すずらんの会編:電池が切れるまで,p.65,角川書店.



2003年01月13日(月)   虚空の逆マトリクス INVERSE OF VOID MATRIX/森博嗣


4冊目の短編集です。
う〜ん。
これ読みながらものすごく感じたことは、年をとったな(私がですよ)ということ。
以前は、もうちょっと森氏の短編で感じるものがあったんですけどね。
年をとったからか、環境が変わったからか、昔ほど感性が働きませんでした。
まぁ、私はもともと森氏の作品は、短編よりも長編のほうが好きなので、それもあるかもしれません。
この短編集には「トロイの木馬」「赤いドレスのメアリィ」「不良探偵」「話好きのタクシードライバ」「ゲームの国」「探偵の孤影」「いつ入れ替わった?」の7編が収録。
喜多先生好きとして「いつ入れ替わった?」ははずせませんが、「探偵の孤影」もよいです。
寒い部屋に弦楽器っていうイメージでした。



死者は自分の名前を忘れている。その名を呼ぶ者の前には決して現れないという。(「探偵の孤影」)


森博嗣:虚空の逆マトリクス INVERSE OF VOID MATRIX,p.209,講談社.



2003年01月12日(日)   石ノ目/乙一


4つのホラー短編、「石ノ目」「はじめ」「BLUE」「平面いぬ。」が収録されています。
どれもホラーだけど切ない。
その目で人と目が合ってしまうと、その人を石に変えてしまう石ノ目。
耕平と淳男の想像が生み出した女の子はじめ。
青い残り布で作られたできそこないの人形BLUE。
左上腕に掘られた刺青の犬ポッキー。
いちばん好きな話は「はじめ」かな。
実体がなくても、他の人から見えなくても、誰かにとってだけ存在している、見えているってものが、実はけっこうあるんじゃないかな、と思いました。
たとえば、亡くなったひととかも。
誰かの想い出の中ではずっと存在しているし、いつか目に見えることがあったとしても、そんなに不思議なことではないのかもしれません。



私は急に気付いた。
なぜ八年間もはじめが消えなかったのか。それは、消えたくなかったからなんだ。(「はじめ」)


乙一:石ノ目,p.152,集英社.



2003年01月03日(金)   秘密室ボン/清涼院流水


例の密室本です。2002年しか発表されないらしいので、この12月分で最後ですね。
メフィスト翔は密室の神様によって秘密室に囚われてしまう。ここの酸素は90分で無くなる。脱出方法はただひとつ、密室YES・NOクイズに正解すること。メフィスト翔は90分で秘密室の謎を解くことができるのか。
久しぶりに清涼院氏の本を読みましたが、やっぱりこの方の密室論というか密室観はすごいですね。
なるほど、と納得させられてしまいました。
おまけのような本文中の謎謎もセンスがあるし、おもしろい本でした。
ところで、表紙が葉書のようなデザインなのですが、郵便番号の"342-4649"ってもしかして、”密室よろしく”なんですかね。



ジジイの言う、人生の必勝法が見えてきた。
それは――たぶん、固定観念を捨てること。(略)
たとえ非常識でも、これが人生の必勝法だ。


清涼院流水:秘密室ボン,p.90-91,講談社.



2003年01月02日(木)   GLASS HEART LOVE WAY/若木未生


グラス・ハートの番外編(?)です。
カリスマバンド、オーヴァーサイト・サイバナイテッド・クローマティック・ブレイドフォース(略してオーヴァークローム)の結成から解散までの軌跡。
解散しそうな気配が本編の方からぷんぷんしてましたけど、やっぱりこのバンドは解散してしまうんですね。
なんだかとっても生き急いでいる感のある、オーヴァークロームのボーカル真崎さん。このバンド解散しちゃってもちゃんと歌っていけるとよいのですが…。
歌を取り上げられたら、この方死にかねないですしね…。
さて、本編も終わりが見えてきたみたいです。テン・ブランクはどうなっていくんでしょうかね。



僕は宇宙の何処にあなたがいても苦労はしないだろうな。
あなたが歌っていれば、僕の特別な耳ならば、すっかり聴きとってしまうだろうな。


若木未生:GLASS HEART LOVE WAY,p.189,集英社.






ゆそか