| 2002年11月30日(土) |
陰陽師 鳳凰ノ巻/夢枕獏 |
短編連作の陰陽師シリーズです。 今回は、晴明さんのライバルと言われている、廬屋道満が何編かに登場してきます。 けど、全然ライバルには思えない関係ですね。お互いに一目置いているというか…。法術比べをするにしても、争うよりは楽しんでいるように見えます。 ちょっと道満さんの方が晴明さんをからかっているような感じもしますが、晴明さんもそれを楽しんでいる感じ。 ライバルって言われてますけど、こんな関係もおもしろいですよ。 今回は、この道満さんの印象が強くて、博雅さんがあまり目立ちませんでしたが、それでもやっぱり博雅さん。おいしいとこでボケてくれてます。
「博雅よ、散らぬ花などはない(略)散るからこそ花ぞ」 「しかし、おまえという枝から、全ての花びらが散りきってしまうことなど、おれにはあるようには思われぬのだがなあ……」 しきじみと博雅は言った。 晴明は、博雅を困らせぬ程度に、微かな笑みをその唇に浮かべた。
夢枕獏:陰陽師 鳳凰ノ巻,p.116-117,文藝春秋.
自分の将来に不安を持ち、孤独を感じている中学生のさくらと梨利は、あることがきっかけで話さなくなってしまう。それを心配し、どうにかしようとする勝田くん。さくらの出会った不思議な智さんは、地球の滅亡から人類を救うための船を設計し続ける。誰もが壊れやすいこころを抱えて、苦しんでいる。 この本、おそらく対象は中学生以下なんですが、とてもおもしろい。大人が読んでも、なにかを感じることができると思います。でも、できればその頃に読みたかった本。 自分の存在意義がわからなくなったり、自分が嫌いになったり、ひとりになりたかったり、ひとりになりたくなかったり、そんな複雑な気持ちを抱えている中学生の登場人物たちを見ていると、切なくなってきます。 子どもには、自分の存在意義が肯定される環境が必要です。まわりから認められない自分を、自分だけが信じてあげることなんて、とても難しく辛いことだと思うのです。
ぼくわ小さいけどとうといですか。 ぼくはとうといものですか?
森絵都:つきのふね,p.226,講談社.
| 2002年11月15日(金) |
黄金を抱いて翔べ/�眤七� |
銀行の本店地下に眠る6トン、金額にして約100億円の金塊。そこから盗み出すのは500キロ。男たちは、鉄壁のハイテク防御システムを破り強奪することは可能なのか。金塊強奪計画の一方で錯綜する人間関係の行方は。 日本推理サスペンス大賞受賞の�眤七飴瓩離妊咼紂失遏�詳細すぎる描写に圧倒されます。 �眤嫉瓩涼�作は「李歐」以来2作目。はまりますよ、イイ男っぷりに。 幸田(主人公?)は、人間にというかこの世界にあまり執着がなく、≪人間のいない土地≫いるんですけど。それって、自分が幼い頃にしてしまったことを、ずっと枷にしてきたからなんでしょうか。 しかし、モモと会ってしまい、そこに自由を見つけてしまったから、もう≪人間のいない土地≫を求めない。でも、モモさん…。 金塊強奪!サスペンス!と思って読み始めたのですが、読後の印象は切ない話。ん〜でもこれはこれで、幸田さんにとっては幸せなのかな…。
ふと、≪自由だ≫と思った。(略)自由であり、少し孤独だった。≪人間のいない土地≫はもう、どうでもよかった。人間のいる土地で、自由だと感じるのなら。
�眤七亜Р�金を抱いて翔べ,p.347,新潮社.
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