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りょうちんのひとりごと
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2018年07月07日(土)
Vol.871 実習生のHくんへ

おはようございます。りょうちんです。

今日の採血検査の結果、明日退院することになった。予定よりも早く回復できたのはうれしいが、問題がひとつ。入院直後から俺に付いてくれていた看護実習生のHくんに、ろくにお礼も言えないまま去ることになってしまいそうだ。思案の末、彼に置き手紙を残すことにした。
実習生のHくんへ。短い期間でしたが、いろいろお世話していただき本当にありがとうございました。土曜日の検査の結果、先生からすぐにでも退院OKと許可が下りたので、早々日曜日に退院することにしました。本当はちゃんとごあいさつしたかったけど、できなくなってしまったことを許してください。ごめんね。
男性の看護師は、まだまだ少ないと聞きました。だからその分、各方面でも重宝されるとも聞きました。これからいろんな経験を積んでいく中で、想像を超える状況に出くわすこともきっとあると思います。目を覆いたくなるようなケガで苦しむ人、病気で泣き叫ぶ子ども、発作に苦しみもがく高齢者。それでもどんな状況であれ目を背けずに冷静に処置をして、安心をわけてあげることのできる特別な仕事をする人が「看護師」なのかもしれません。
その立派な看護師になるHくんの第一歩にもし自分がなれたのだとしたら、俺はとてもうれしく思います。看護師の仕事は、相手が「もの」ではなく「人」だからね。やり直しは効かない分、責任はとてつもなく重いけれど。だからこそ、やりがいのあるすばらしい仕事だと思います。これからもっと大変だとは思うけれど、がんばって! ずっと応援していますね。
俺の血圧と脈拍を測ってくれて、どうもありがとう。きれいにベッドメイキングをしてくれて、どうもありがとう。俺の背中を濡れタオルで拭いてくれて、どうもありがとう。ご両親ほどの年のおっさんの俺のくだらない話に長々と付き合ってくれて、どうもありがとう。俺のためにしていただいたすべてのことに、とても感謝をしています。本当にどうもありがとう。
いつかHくんが立派な看護師になったら、その時はぜひその姿を見てみたいなぁと思います。その日まで、元気にがんばってください。それでは、またいつか。



2018年07月06日(金)
Vol.870 あの日のホンビノス貝

おはようございます。りょうちんです。

【ホンビノス貝】北米大陸東海岸からメキシコ湾にかけて分布するハマグリに似た二枚貝。近年は東京湾でも急激に繁殖している外来種だが、在来種に被害は認められていない。食用で、ハマグリよりも安価で販売されている。
幕張の海に弟一家が磯遊びに出かけたのはゴールデンウィークも過ぎた頃だったろうか。例年より季節の巡りが早い今年、子どもたちをまだ少し冷たい波打ち際で水遊びさせるには絶好の日曜日。腰の高さまで波が深い場所へ進むと、時々足元にコロコロと石がぶつかることに気づいた弟はそれを拾い上げた。それは石ではなく、貝。最近スーパーなどでも見かける、ホンビノス貝だった。弟は持っていたビニール袋に貝を採取して、思いがけない潮干狩りになったとたくさんのホンビノス貝を持ち帰ってきた。数にしておよそ100個。当然実家にもそのおすそ分けがやってきた。
貝類が嫌いな父は無関心だったが、俺と母は大量のホンビノス貝に大喜びした。さっそく酒蒸しにしようと鍋に並べたが、貝そのものが大きすぎて全部は入りきらない。何度か貝を入れ替えつつ、それでもなかなか身が開かない貝に悪戦苦闘しながら、ようやく酒蒸しが完成した。身が少し硬かったので義歯を使う母は電子レンジでさらに過熱して小さく切って食べていたが、俺は豪快にそのまま身をはがして口にほおばった。うまい。さすがにハマグリには敵わないが、しっかりした噛みごたえで、ほのかな塩味に貝の甘みが濃厚に絡んでとてもおいしい。酒蒸しをおかずに、それだけでおなかいっぱいになった。
俺が今入院しているのは、もしかしたらあの日のホンビノス貝が原因だったのかもしれない。もちろん確信したわけではないが、俺の肝臓を侵したウイルスは主に二枚貝などに多く潜んでいるらしく、十分な加熱処理をせずに食べてしまうと発症してしまうらしい。潜伏期間は2〜6週間なので、俺の思い当たる節はあの日のホンビノス貝なのだ。弟一家の周りでも俺と同じような症状が現れた人は今のところいないし、加熱処理さえ十分にすれば発症もしないらしいので、俺の場合は完全なる自業自得なのだが。あなどるなかれ、貝。改めて、そう思った。



2018年07月05日(木)
Vol.869 入院生活を満喫しよう

おはようございます。りょうちんです。

まだ以前の仕事を目まぐるしくこなしていた頃、少しくらいなら入院してみたいかもと考えたことがあった。昨年からライフワークが大きく変わり自由な時間も多く過ごせるようになった今、皮肉にも夢見ていた入院生活を体験できるとは。
入院生活も数日が過ぎ、おかげさまで俺の体調は順調に回復傾向にある。夜になるとまだ熱が上がってしまうが、日中は普段と何も変わらない。今日になってやっと点滴の管も外してもらった。入院患者なので病院外に出ることはできないルールのもと、読書やネットサーフィンや館内散策であまり退屈せずに過ごせている。退院の見通しは来週だが、それまでこの入院生活を満喫しようではないか。
季節ははすっかり夏になったらしい。俺が入院する前も確かに暑かったが、それ以上に暑い毎日だと聞いている。朝晩はひんやりしていたのに、今は寝苦しい夜がずっと続いているそうだ。26℃の温度に設定された快適な病室の中では、窓の外に見える真夏の風景から実際の外気温を想像するだけだ。
病院食はまずい、という俺の固定観念は入院してすぐに崩壊した。今はおいしい白ごはんだが、3日目までは味も塩気もないおかゆにがっかりした。しかしおかずは思いのほかおいしくいただいている。はんぺんや豆腐など食材は明らかに消化の良いものを使ったいわば病人食が多いが、味付けはしっかりしている。フルーツやデザート、牛乳が出るのもうれしい。きっちり決まった時間に3食を食べられるし、栄養管理やバランスも考慮されているし、ここにいれば安静にしていても極端な体重増加で太ることはないだろう。
病室にはプリペードカード式のTVもあるし、デイルームにも共有の大型TVが置かれているが、入院してから俺は一切TVを見ていない。退屈だろうと父が持ってきた新聞にも目を通さず、外の情報を一切遮断している。西野ジャパンがベルギー戦で負けたとか歌丸さんが本当に亡くなったとか、そんな情報はうっすら入ってくるが、退院した時に他人よりも遅れた情報を得て大いに驚いてみたい。
こんなにまで入院生活を楽しんでいる俺だが、それでも病院が嫌いじゃなくなるなんてことはないんだろうな。