2005年01月01日(土) Happy New Year!
Happy New Year!

いかがお過ごしですか。

酉とはThe Year of the Rooster/the Henどちらでしょう。
全語をハイフンでつないでGOOGLEで検索すると、
the-year-of-the-rooster22700件
the-year-of-the-hen559件
オスメス両方合わせた
the-year-of-the-chicken516件
でroosterくんが多いけれども、これは昨日、ある客人に尋ねられて調べたもの。
英語では鶏といっても、男・女・総称といったあたりが気になるのですね。
ちなみにぼくはthe Chickenでどちらもオーケーと太っ腹の回答でしたが、実際どうなんだろう。

とにかく元旦。

New Year's Day is every man's birthday.― Charles Lamb
(元旦はすべての人間の誕生日である)

随筆家としても有名な英国作家の1月1日に関する何ともまあ元気一杯の名言をどうぞ。

Happy Birthday!であります。

と、おめでたい席を設けておいてなんなのですが、新年に気になるニ点。

1) ひとつは、この名言のevery man'sというフレーズも含め、「人間」とか「人類」とかいう意味で使われるmanという単語です。高校のころ気付いたか教わったかしてから気になり始め、最近では、いくら言葉の綾とはいえ、「男」という語で人類を表してしまうのはいかがなものかと思っております。
 2年前の冬、米国主導のイラク侵攻直前に呼びかけられた朗読会への誘いがありました。『女の平和』というギリシャ喜劇は、戦争へ行くならベッドを共にせぬ、という条件を出した女たちとそれに抗する男たちの物語ですが、これを世界中の役者が処々で集まり朗読しようという呼びかけでした。ぼくに声をかけてくれた女優で演出家の方もいらっしゃいましたが『薬屋の秘密』の本番直前で果たせませんでした。
 同じころ、身近な2名の女性が「戦争好きな人間たちだけで島かアリーナに集まってドンパチやればよい」と言っていたことを思い出します。
 25世紀も前から変わらぬ世界であります。
 ただ、menで「民衆」なども表してしまうこのmanさんは、男として元気の出る言語かもしれない。manとmankindを使って月面を舞台に壮大な言葉遊びをしようとした男性もいました。KENNISMSでも以前に書いたかもしれませんが、宇宙飛行士のニール・アームストロング氏で、月着陸の最初の一歩を、That's one small step for man, one giant leap for mankind.と地球へ報告しました。
 前半でa man(一人の男にとって)とすべきところを、aを落とし、前半後半ともに「人類にとっての」という意味になってしまったのは、「上がって」しまったからでしょうか。後半のmankindが、思わず前半に飛び出してきたのかもしれません。(aなしの形で上の名言を検索すると興味深い)
 とにかくこのようにa man/man/men/mankindといったグループが代表する「男っぽさ」が英語の大きな特徴です。
 女性も時に使いますが、それはeverybodyというより、every manと言ったほうが”重み”があるからでしょうか。それにいわゆるフォーマル正式な場などでは常套的です。
 
New Year's Day is everybody's birthday.― Ken Toyama

とやると、どうもこのToyamaっていうのは軽いなあ、ということになるのです。

Man's best friend is his dog.

は、女性にも、A man'sと言っていないからいい、という方々もいます。ここには日本語的な

人間の最良の友はその飼い犬である 

というある種、客観的なムードはなく、「男と彼の犬」という”男臭さ”が漂う。

また、いいことも悪いことも、manにかぶせる?という方向性も生まれます。

"God himself is not secure, having given man dominion over his work."
(神自身不安を持っている、自分の作った世界の支配権を人間に与えてしまったので)

これはヘレン・ケラーの言葉で、「神」とか「支配権」はキリスト教世界の話なのですが、英語を見れば、his work(His workとも)で、ああ神は男性なのだと思えるし(実際Fatherと呼びますから)、そのエコーで、manが男臭い人類という印象に包まれる。

神の所有格を”その”といわず、hisかherのどちらかにしなければ済まない英語のジェンダー力?はアンスタパブーですが、ぼくには強すぎてなじめません。

日本語のまだるっこしい「やらなければならなくなってしまいました」とかいうのは面倒ですが、英語のジェンダー力は面倒を通り越しています。

Oh, man.(ああもう)

これ、ああ人間よ、というわけではない? いや、誰という人に宛てているわけではないし・・・。

(ヒップホップ風というか) Yo, manとにかくたとえばpersonで「人」、peopleで人類、peoplesで世界の人々とかにできんもんだろうかman!

2)もう1点はたいしたことではありません。 Happy Birthday to You!の歌に著作権があることから、その関連で、従来英語圏のレストランが客の誕生日に無料でケーキなどを出し、servers(ウエイターやウエイトレス・・・と男女並べるのが面倒というか、どちらか一方を並べるのはポリティカリー・コレクトでないので・・・)を初め、その場にいる客全員が歌ってくれるという伝統が変化しているということ。もうこれをやらない店もあり、また、別の歌(というよりメロディーがないのでチャントchantというべき)を採用する店もあるとのこと。
なんでもその理由というのが、エージェントが聞きつけて訴えられることを恐れてのことと言うのです。
これもgreed(欲)の極地でありましょうか。

そもそもなぜ英語圏のレストランが誕生日の客にこうしたサービスを始めたか? それは店の宣伝にもなるでしょうし、いわゆるupscaleでなくファミリーレストランで行われるのも納得できるのですが。(もちろんこれとてgreed factorは無視できませんが)

嘘をついてただでケーキ(やデザート)を頂こうという客もいるだろうな、しかし全員に歌われて恥ずかしいということもあるだろうし、そのあたりの客の心理も含め、ラジオで一緒のJackさんが次のような思いを寄せてくれたので紹介します。food for thoughtかもしれません。

  Actually, I was just talking to my friend yesterday about WHY restaurants sing Happy Birthday. Some US Restaurants give you one free desert if it's your birthday. When people find out about this, they'll say it's their birthday even if it isn't. (i.e. They'll lie to get the free desert!) But, many people are shy about asking for the free desert if they know everyone in the restaurant is going to sing to them, so it saves the restaurant from giving away alot of free deserts. This is just my idea--I don't know if it's true or not--you'd have to ask a restaurant manager to find out. :-)

新しいハッピーバーズデーチャントは場所によって色々バリエーションがあるようですが、Happy, Happy Birthday!などで始まり、応援団や軍隊のトレーニングの掛け声といった印象です。どこかで聞いた方はよーくリスニングしてお知らせください。次は一例です。

We have a birthday! A happy, happy birthday! Our friend, Michele! Is turning 21! Sound off! One, two! Sound off! Three, four! Happy happy birthday to you!(各フレーズは、まず一人がチャントし、他のサーバーたちがリピートする)

Sound off!というのは、大声で!といった意味で、軍隊調です。

さて、新年の抱負は30日で終わる夢といわれますが、とりあえずは本ホームページに昨年末のコンサートの写真と報告をと思っとります。

またお寄りください。






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